相続税シミュレーション
相続財産は土地の割合が大きいため、最初の難所は税率ではなく 「その土地はいくらと評価されるのか」です。このツールは 路線価方式と倍率方式で土地を評価するところから始め、 小規模宅地等の特例による減額まで内訳で示します。そのうえで 一次相続と二次相続を通して、 配偶者がどれだけ取得すれば合計税額が最小になるかを出します。
制度基準日 2026-09-09
土地の評価額の調べ方
相続税の土地の評価には2つの方式があります。どちらを使うかは土地の所在地で決まっており、 国税庁の路線価図で確認できます。
路線価方式(市街地)
路線価(円/㎡)× 地積(㎡)× 補正率
路線価図では千円単位で書かれています。「300D」なら1㎡あたり30万円です(アルファベットは借地権割合)。
倍率方式(路線価のない地域)
固定資産税評価額 × 評価倍率
固定資産税評価額は、毎年届く固定資産税の課税明細書に載っています。
調べられる公的サイト
- 路線価図・評価倍率表(国税庁) 相続税の評価に使う路線価と評価倍率の正本。まずここで、その土地が路線価方式か倍率方式かを確認します
- 全国地価マップ(資産評価システム研究センター) 相続税路線価・固定資産税路線価・地価公示・地価調査を地図上でまとめて見られます
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省) 実際の取引価格・地価公示・ハザード情報などを地図で確認できます
- 標準地・基準地検索システム(国土交通省) 地価公示(1月1日時点)と都道府県地価調査(7月1日時点)の価格
- No.4602 土地家屋の評価(国税庁) 宅地・農地・建物それぞれの評価方法の解説
まだ路線価を調べていない場合の当たりの付け方: 路線価は公示地価の概ね80%、固定資産税評価額は概ね70%の水準に設定されています。路線価が分からない段階では、公示地価や取引価格の8割程度を当たりとして置き、あとで路線価図の実数に置き換えてください。
相続税(一次+二次の合計)
400,000円
一次相続
400,000円
二次相続
0円
課税価格の合計額
56,000,000円
基礎控除(法定相続人 3人)
48,000,000円
課税遺産総額
8,000,000円
相続税の総額(軽減前)
800,000円
初期表示はサンプル条件(自宅の土地200㎡・路線価25万円/㎡、現預金3,000万円、配偶者と子2人)による試算です。
配偶者はどれだけ取得すべきか
一次と二次の合計が最小になる割合です。一次だけを見ると配偶者が全部取得するのが有利に見えますが、合計では逆になることが多くあります。
いまの割合での合計
400,000円
合計が最小になる割合
そのときの合計/差額
320,000円
▲80,000円
| 配偶者の取得割合 | 一次相続 | 二次相続 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 0% | 800,000円 | 0円 | 800,000円 |
| 10% | 720,000円 | 0円 | 720,000円 |
| 20% | 640,000円 | 0円 | 640,000円 |
| 30% | 560,000円 | 0円 | 560,000円 |
| 40% | 480,000円 | 0円 | 480,000円 |
| 50% | 400,000円 | 0円 | 400,000円 |
| 60% | 320,000円 | 0円 | 320,000円 |
| 70% | 240,000円 | 220,000円 | 460,000円 |
| 80% | 160,000円 | 780,000円 | 940,000円 |
| 90% | 80,000円 | 1,340,000円 | 1,420,000円 |
| 100% | 0円 | 1,900,000円 | 1,900,000円 |
⚠️ 注意
- 配偶者の取得割合を 50% から 60% に変えると、一次と二次の合計税額が 80,000円 少なくなります。
- 配偶者は「1億6,000万円」と「法定相続分相当額」の多いほうまで相続税がかかりません。ただしこの枠を使い切ると、配偶者が亡くなったときの二次相続で税が増えます。二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、法定相続人も1人減って基礎控除が小さくなるためです。
- 本ツールが計算するのは、自分で所有して自分で使っている土地(自用地)の評価です。借地権・貸宅地・貸家建付地、農地・山林、複数の路線に面する角地の加算などは扱っていません。該当する場合の評価はこれより複雑になるため、税理士へご相談ください。
- 未成年者控除・障害者控除・相次相続控除・外国税額控除は扱っていません。該当する場合は実際の税額がこれより小さくなります。
土地の評価の内訳
評価額 50,000,000円 のうち 40,000,000円 が 小規模宅地等の特例で減額され、課税価格に入るのは 10,000,000円 です。
| 土地 | 計算 | 評価額 | 特例の区分 | 減額 | 課税価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自宅の土地 | 路線価 250,000円/㎡ × 200㎡ × 補正率 1 | 50,000,000円 | 特定居住用宅地等(自宅の敷地) | ▲40,000,000円 | 10,000,000円 |
小規模宅地等の特例(国税庁)で適用の要件をご確認ください。
税額を下げている制度
その制度を「使わなかった場合」との差です(一次+二次の合計で比較)。
| 制度 | 税額への影響 | 使わなければ | 説明 |
|---|---|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | ▲3,550,000円 | 3,950,000円 | 限度面積までの評価額を大きく減額できます。使えるかどうかは誰が相続してどう使い続けるかで決まります。 |
| 生命保険金・死亡退職金の非課税枠 | ▲787,500円 | 1,187,500円 | それぞれ 500万円 × 法定相続人の数 まで非課税です。現金で残すより保険で残すほうが課税価格が小さくなる理由がここにあります。 |
| 配偶者の税額軽減 | ▲400,000円 | 800,000円 | 配偶者は「1億6,000万円」と「法定相続分相当額」の多いほうまで相続税がかかりません。ただしこの枠を使い切ると、配偶者が亡くなったときの二次相続で税が増えます。二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、法定相続人も1人減って基礎控除が小さくなるためです。 |
配偶者の税額軽減による一次相続の軽減額は 400,000円 です。
この数字をどう読むか
相続税の第一関門は、税率ではなく土地の評価
相続財産の中で最も大きく、最も分かりにくいのが土地です。現預金や上場株式は 残高や時価がそのまま評価額になりますが、土地には 時価が4つあると言われます。
- 実勢価格… 実際に売買される価格
- 公示地価… 国土交通省が毎年1月1日時点で公表する標準地の価格
- 相続税路線価… 相続税・贈与税の評価に使う。公示地価のおおむね80%
- 固定資産税評価額… 固定資産税の計算に使う。公示地価のおおむね70%
相続税で使うのは3番目の 相続税路線価 です。売れる値段より2割ほど低く 評価されるため、「売却額で計算したら税額が大きく出すぎた」という誤解が起きやすいところです。 路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に倍率を掛ける倍率方式を使います。
路線価図の読み方
国税庁の路線価図では、 道路に「300D」のような数字とアルファベットが書かれています。数字は 千円単位の1㎡あたりの価額なので、300なら30万円です。 アルファベットは借地権割合で、自分の土地(自用地)なら使いません。
地積は登記簿(登記事項証明書)か固定資産税の課税明細書で確認できます。 補正率は土地の形で変わり、間口が狭い・奥行が長い・不整形といった土地は評価が下がります。 標準的な整形地なら1.00のままで構いません。 まずは補正率1.00で桁を掴み、税額が大きく出るようなら専門家に補正を見てもらう—— この順番が現実的です。
小規模宅地等の特例は「効きすぎる」ほど大きい
自宅の敷地は330㎡まで 評価額が80%減 になります。5,000万円の土地が 1,000万円として扱われるということです。この特例が使えるかどうかで、 相続税がかかるかどうかが決まることも珍しくありません。
ただし要件は「誰が相続して、どう使い続けるか」で決まります。配偶者が相続する場合は 無条件ですが、同居していた子が相続する場合は申告期限まで住み続け、所有し続ける必要があります。 特例を使って基礎控除以下になる場合でも、相続税の申告は必要です。 何もしなければ特例は適用されません。
配偶者が全部相続するのが、いちばん高くつくことがある
配偶者は1億6,000万円と法定相続分相当額の多いほうまで相続税がかかりません。 この枠を使えば、一次相続の税額をゼロにすることも珍しくありません。 そのため「とりあえず配偶者が全部相続する」という分け方が選ばれがちです。
しかし配偶者が受け取った財産は、その配偶者が亡くなったときに子へ課税されます。 そして二次相続では次の3つが同時に効きます。
- 配偶者の税額軽減が使えない
- 法定相続人が1人減るため、基礎控除が600万円小さくなる
- 財産が1人に集中しているため、超過累進税率の高い帯にかかる
上の表とグラフは、配偶者の取得割合を0%から100%まで振って、一次と二次の 合計を並べたものです。多くの場合、合計が最小になるのは 100%でも0%でもなく、その中間にあります。
ただし、税額の最小化だけで決めない
二次相続まで含めた税額が最小になる割合は、あくまで 税金だけを見た答え です。 配偶者にはこれから何十年もの生活があり、住まいも介護費も必要です。 子の側にも住宅資金や教育費の事情があります。 合計税額の差が数十万円なら、配偶者の生活の安心を優先するほうが合理的なこともあります。 この試算は「いくら違うのか」を示すもので、「どう分けるべきか」を決めるものではありません。 金額の差を知ったうえで、家族で話し合う材料にしてください。
現金より保険で残すほうが、課税価格は小さくなる
死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があり、死亡退職金にも 同額の別枠があります。配偶者と子2人なら、保険金1,500万円まで課税されません。 同じ1,500万円を現金で残せば全額が課税価格に入ります。 上の「税額を下げている制度」で、この非課税枠が実際にいくら効いているかを確認できます。 保険金は受取人固有の財産なので、遺産分割の対象にならず、すぐに受け取れるという 実務上の利点もあります(納税資金の確保に使えます)。
この試算が扱っていないこと
- 借地権・貸宅地・貸家建付地、農地・山林の評価(自用地としてのみ計算します)
- 複数の路線に面する角地・二方路線の加算、不整形地の詳細な補正
- 小規模宅地等の特例で、貸付事業用と併用する場合の限度面積の按分
- 非上場株式の評価(同族会社の株式は別の方法で評価します)
- 未成年者控除・障害者控除・相次相続控除・外国税額控除
- 相続時精算課税を選択している場合の扱い
- 二次相続での小規模宅地等の特例(子が同居していれば使える場合があります)
相続税は財産の中身で結論が大きく変わります。この試算は「桁を掴み、 どこが論点かを知る」ためのものです。実際の申告は税理士へご相談ください。
あわせて確認したいこと
納税資金が足りるかどうかは、 家計収支シミュレーションで 手元資金の余裕を確かめてから考えてください。配偶者の生活費が二次相続までにいくら必要かは 老後資金・資産寿命シミュレーションで、 年金額は 老齢年金の繰上げ・繰下げシミュレーションで 試算できます。
よくある質問
土地の相続税評価額はどうやって調べますか?
まず国税庁の「路線価図・評価倍率表」で、その土地が路線価方式と倍率方式のどちらかを確認します。路線価が定められている地域なら、路線価(1平方メートルあたりの価額)に地積と補正率を掛けます。路線価がない地域は倍率方式で、固定資産税評価額に評価倍率を掛けます。固定資産税評価額は毎年届く固定資産税の課税明細書で確認できます。
路線価が分からないときはどう見積もればよいですか?
路線価は公示地価のおおむね80%、固定資産税評価額はおおむね70%の水準に設定されています。公示地価や近隣の取引価格しか分からない段階では、その8割程度を当たりとして置いて桁を掴み、あとで路線価図の実数に置き換えてください。公示地価は国土交通省の「標準地・基準地検索システム」や「不動産情報ライブラリ」で調べられます。
小規模宅地等の特例とは何ですか?
自宅の敷地や事業用の敷地について、限度面積までの評価額を大きく減額できる特例です。自宅の敷地(特定居住用宅地等)は330平方メートルまで80%減、事業用(特定事業用宅地等)は400平方メートルまで80%減、賃貸用(貸付事業用宅地等)は200平方メートルまで50%減です。誰が相続してどう使い続けるかで適用の可否が決まるため、要件は国税庁の解説をご確認ください。
配偶者が全部相続すれば相続税はかからないのですか?
一次相続では、配偶者は1億6,000万円と法定相続分相当額の多いほうまで相続税がかかりません。しかしその財産は、配偶者が亡くなったときに子へ課税されます。二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、法定相続人も1人減って基礎控除が600万円小さくなります。合計で見ると、配偶者が全部相続するのが最も高くつくことも珍しくありません。本ツールは配偶者の取得割合を0%から100%まで振って、合計が最小になる割合を表示します。
基礎控除はいくらですか?
3,000万円に、法定相続人1人あたり600万円を足した額です。配偶者と子2人なら4,800万円になります。課税価格の合計額がこれ以下なら相続税はかからず、原則として申告も不要です。ただし小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使った結果として基礎控除以下になる場合は、申告が必要です。
生命保険で残すと相続税は減りますか?
減ることがあります。死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があり、死亡退職金にも同額の別枠があります。同じ額を現金で残すよりも課税価格が小さくなります。本ツールは、この非課税枠を使わなかった場合との差を表示します。
入力した内容は保存されますか?
保存しません。計算はすべてお使いのブラウザの中で完結し、入力した財産の額が当社のサーバーへ送信されることはありません。ページを閉じると入力内容は消えます。
計算に使った制度の出典
- 国税庁「No.4152 相続税の計算」
- 国税庁「No.4155 相続税の税率」
- 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
- 国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
- 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
- 国税庁「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」
- 国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
- 国税庁「路線価図・評価倍率表」
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
制度基準日 2026-09-09。税制改正により変わることがあります。
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このツールの計算に用いている制度の数値は、以下の一次資料にあたって確認しています。 制度は年度ごとに変わるため、実際の手続きの前に最新の内容をご確認ください。
- No.4152 相続税の計算 (国税庁)
- No.4155 相続税の税率 (国税庁)
- No.4158 配偶者の税額の軽減 (国税庁)
- No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例) (国税庁)
- No.4602 土地家屋の評価 (国税庁)
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