子どもが生まれることになって、育児休業を取る方向で話が進んでいる。でも、休んでいる間の収入がいくらになるのか、社会保険料はどうなるのかが分からず、貯金の残高を見ては不安になる。共働きの家庭からいちばん多く聞くのが、この状態です。

休業中の家計は、給付金の額だけ見ても分かりません。雇用保険からの給付、健康保険と厚生年金保険の保険料免除、給付に税金がかからないこと。この3つが重なって、はじめて手取りの見当がつくんです。厚生労働省と日本年金機構が公表している数字で、順に確かめていきましょう。

育児休業中に受け取れる給付と保険料免除を時期別に並べた表。産後パパ育休の期間は出生時育休給付が67パーセント、出生直後28日は出生後休業支援給付金が13パーセント上乗せ、育児休業180日目までは育児休業給付金が67パーセント、181日目以降は50パーセント、休業中は毎月の社会保険料が免除になることを示した図解
給付率だけでなく、保険料が免除されることまで含めて手取りを考えます。

この記事で分かること

  • 育児休業給付金を受け取れる条件と、67%・50%の給付率
  • 2025年4月に始まった上乗せで、合計80%・手取り10割相当になる条件
  • 健康保険・厚生年金保険の保険料が免除される期間の数え方
  • 賞与の保険料が免除されるのは「連続1か月超」の休業に限られること

結論|180日目までは67%。出生直後に両親で休めば80%で手取り10割相当

育児休業給付金の給付率は、休業開始から180日目までが67%、181日目以降が50%です。67%と聞くと「3割以上減る」と感じますが、手取りの減り方はもっと小さくなります。厚生労働省はその理由を「育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担はありません。また、育児休業等給付は非課税です」と説明しています。

さらに2025年4月からは、子の出生直後に両親がそろって休むと13%が上乗せされます。合計80%になると、同省の資料では「手取り10割相当」です。2026年8月1日からの支給上限額は、給付率67%で月332,454円。確かめる順番は、受給の条件を満たすか、給付率が何%の期間か、保険料免除の条件を満たすか、の3つです。

誰がもらえるか|2年間に「11日以上働いた月」が12か月あるか

育児休業給付金の条件は4つあります。

  • 1歳未満の子を育てるために育児休業を取った、雇用保険の被保険者であること。分けて取れるのは原則2回まで
  • 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること
  • 1支給単位期間中に働いた日数が10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であること
  • 有期雇用の場合、子が1歳6か月になる日までに労働契約が満了することが明らかでないこと

支給単位期間とは、育児休業を始めた日から数えた1か月ごとの期間のことです。なお産後休業(出生日の翌日から8週間)は育児休業給付金の対象外で、この期間は健康保険の出産手当金が受け持ちます。2つ目の条件は、転職直後や休職を挟んだときに満たせないことがあります。被保険者期間の数え方は失業給付と共通なので、失業給付は何日分もらえるかとあわせて確かめると分かりやすいでしょう。

いくら出るか|67%と50%、そして上限額

支給額は休業開始時賃金日額×支給日数×67%(181日目以降は50%)です。休業開始時賃金日額は、休業前の直近6か月の賃金総額を180で割った額で、賞与は含みません。この日額には上限と下限があり、上限額は16,540円、下限額は3,203円(いずれも令和9年7月31日までの額)です。

支給の上限額は、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減にもとづいて毎年改定されます。2026年8月1日からの額は次のとおりです。

給付の種類給付率支給上限額
育児休業給付金(支給日数30日)67%332,454円
育児休業給付金(支給日数30日)50%248,100円
出生時育児休業給付金(休業28日)67%310,290円
出生後休業支援給付金(休業28日)13%60,205円

例えば休業開始時賃金日額が10,000円(賃金月額30万円)の人が、賃金を受けずに30日休むと、10,000円×30日×67%=201,000円。181日目以降は10,000円×30日×50%=150,000円です。

2025年4月に増えた13%の上乗せ|出生後休業支援給付金

出生後休業支援給付金は2025年4月1日にできた給付で、子の出生直後の一定期間について最大28日分、給付率13%が上乗せされます。条件は2つ。本人が対象期間に通算14日以上の育児休業を取ること、そして配偶者も同じ期間に通算14日以上の育児休業を取ることです。

ただし配偶者が働いていない、自営業者やフリーランスなど雇われて働く人でない、産後休業中である、といった場合は、配偶者側の取得は条件になりません。母親が産後休業中に父親が14日以上休めば、父親はこの給付を受けられます。

賃金日額10,000円の人が28日分を受けると、10,000円×28日×13%=36,400円が別に支払われます。この上乗せ分は、勤務先から賃金が出て育児休業給付金が減額される場合でも減りません。ただし賃金が80%以上になって育児休業給付金そのものが出なくなると、上乗せ分も出ません。

社会保険料はいつ免除されるか|月末・14日・賞与の3つのルール

健康保険と厚生年金保険の保険料は、申出によって本人負担分も会社負担分も免除されます。対象は「育児休業等を開始した日の属する月から育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月まで」。月末に育児休業中ならその月は免除、と覚えると実務に合います。

2022年10月1日からは、「開始日の属する月と終了日の翌日が属する月が同一の場合でも、育児休業等開始日が含まれる月に14日以上育児休業等を取得した場合は免除となります」という扱いも加わりました。月をまたがない短い休業でも、同じ月に14日以上取れば免除されます。毎月の天引き額がどの月から変わるかは、給与明細の見方で確かめられます。

見落としやすいのが賞与です。2022年10月1日以降に始めた育児休業では、「当該賞与月の末日を含んだ連続した1カ月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除」になりました。例えば賞与が12月10日に出て、12月25日から1月5日まで休んだ場合、12月末日は休業中でも連続1か月を超えないので、賞与の保険料は免除されません。賞与の保険料は標準賞与額に保険料率を掛けて計算するため、金額が大きいほど差が出ます。

休業中に働くと給付はどうなるか

1支給単位期間に働いた日数が10日(10日を超える場合は80時間)以下なら、休業中に働いても給付は受けられます。ただし勤務先から賃金が出ると、額に応じて調整が入ります。

支払われた賃金の額育児休業給付金の支給額
賃金日額×日数の13%以下減額されない(67%のまま)
同13%超〜80%未満賃金日額×日数×80%-賃金額
同80%以上支給されない

賃金月額30万円の人が支給単位期間に12万円の賃金を受けると、240,000円-120,000円=120,000円が給付金として出ます。181日目以降の期間では、減額されない上限が13%ではなく30%になります。在職老齢年金や傷病手当金にも似た調整があり、「働いた分だけ手取りが増えるとは限らない」点は共通です。

短時間勤務に切り替える場合は、2025年4月にできた育児時短就業給付金が別にあります。社会保険の加入条件そのものは社会保険の適用拡大の影響も受けます。申請は勤務先を通じてハローワークと年金事務所へ行うので、休業に入る前に担当部署へ手続きの予定を確かめておきましょう。

ここは誤解しやすいポイント

  • 67%が続くのは「通算180日」までです。産後パパ育休(出生時育児休業)で出生時育児休業給付金を受けた日数も、この180日に数えられます。産後パパ育休を28日取ると、その後の育児休業で67%になるのは152日分です
  • 保険料の免除は自動では始まりません。勤務先が年金事務所または健康保険組合へ「育児休業等取得者申出書」を出して手続きします。延長したときも、その都度の届出が要ります。最初の1か月分の給与明細で、保険料が引かれたままになっていないか確かめておくと安心です
  • 短い育児休業を賞与月に合わせて取っても、連続1か月を超えなければ賞与の保険料は免除されません

まとめ|確かめる順番は「条件・給付率・免除」

  • まず、休業開始日前2年間に11日以上の月が12か月あるかを確かめる
  • 給付率は通算180日まで67%、181日目から50%。出生直後に両親そろって休めば13%が上乗せされる
  • 保険料は、月末に休業中か、同じ月なら14日以上か、賞与は連続1か月超か、で免除が決まる

よくある質問

Q. 育児休業給付金はいくらもらえますか
休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算します。休業開始から181日目以降は50%です。休業開始時賃金日額は休業開始前6か月の賃金を180で割った額で、上限は16,540円です。2026年8月1日改定後の支給上限額は、支給日数30日の場合、給付率67%で332,454円、50%で248,100円です。
Q. 手取り10割相当になるのはどういう場合ですか
子の出生直後に両親がそろって14日以上の育児休業を取得し、出生後休業支援給付金の13%が上乗せされる場合です。育児休業給付金の67%と合わせて給付率80%になります。育児休業中は健康保険・厚生年金保険の保険料が免除され、給付そのものが非課税であるため、給付率80%で休業前の手取りとおおむね同じ水準になります。上乗せの上限は28日分です。
Q. 社会保険料はいつから免除されますか
育児休業等を開始した日の属する月から、終了する日の翌日が属する月の前月までが免除されます。月末時点で育児休業中であればその月が免除になる、と考えると実務に合います。加えて2022年10月1日以降は、同じ月の中に開始と終了がある場合でも、その月に14日以上取得していれば免除されます。免除されるのは本人負担分と会社負担分の両方です。
Q. 賞与の保険料も免除されますか
2022年10月1日以降に開始した育児休業では、賞与月の末日を含んだ連続1か月を超える育児休業を取得した場合に限って免除されます。賞与月の月末に休業していても、連続した期間が1か月以下であれば賞与の保険料は免除されません。短い育児休業を賞与月に合わせて取るという考え方は、現在の制度では成り立ちません。
Q. 育児休業中に働くと給付は減りますか
支給単位期間中の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば給付は受けられます。勤務先から支払われた賃金が休業開始時賃金日額×日数の13%以下なら減額されません。13%超80%未満なら、賃金日額×日数×80%から賃金額を引いた額になります。80%以上になると支給されません。

参考資料

本記事は2026年9月22日時点の公開情報をもとに作成しています。支給上限額は令和8年8月1日改定後の値で、毎年8月1日に改定されます。休業開始時賃金日額の上限額・下限額は令和9年7月31日までの額です。個別の支給可否と金額は、勤務先の事業所を管轄するハローワークおよび年金事務所で確認してください。