退職日が決まって、ハローワークに行くことは分かっている。 ただ、実際にいつ振り込まれて、何日分もらえて、1日いくらなのかが読めないまま、 貯金だけを見て不安になっている——退職前後の相談でいちばん多いのがこの状態です。

失業給付(雇用保険の基本手当)の金額は、担当者の裁量で決まるものではありません。 離職理由・離職時の年齢・雇用保険に入っていた期間の3つが決まれば、日数も日額も機械的に決まります。 ここではハローワークインターネットサービスと厚生労働省が公表している数値だけを使って、 待期と給付制限の数え方、所定給付日数の早見表、1日あたりの上限額までを順に並べます。

失業給付が何日分もらえるかを加入期間・自己都合・会社都合の3列で並べた表。1年未満は自己都合が対象外で会社都合が90日、1年から5年は自己都合90日で会社都合180日、5年から10年は自己都合90日で会社都合240日、10年から20年は自己都合120日で会社都合270日、20年以上は自己都合150日で会社都合330日であることを示した図解
同じ加入期間でも、離職理由が変わると日数は2倍前後違います。

この記事でわかること

  • 自己都合退職の給付制限が、2025年4月1日以降の離職では原則1か月に短縮されたこと
  • 所定給付日数は自己都合で90〜150日、倒産・解雇等では最長330日になること
  • 1日あたりの上限額が年齢区分ごとに7,450円〜9,110円と決まっていること
  • 受け取り続けるには4週間に1度の失業認定と、原則2回以上の求職活動実績が要ること
  • もらえる期間そのものに「離職の翌日から1年」という枠があること

結論|日数は「離職理由・年齢・加入期間」の3つで決まる

基本手当を受け取るには、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。 倒産・解雇などによる特定受給資格者特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上でも受給できます。 ここでいう被保険者期間の1か月は、賃金支払の基礎となった日数が11日以上、または時間数が80時間以上ある月を指します。

要件を満たしたうえで、もらえる日数は離職理由・年齢・加入期間の3つで決まり、 1日あたりの額は離職前6か月の賃金で決まります。裏を返せば、この4つの情報がそろえば ハローワークに行く前に総額の見当がつくということです。

いつから振り込まれるか|待期7日と、原則1か月の給付制限

離職票を持ってハローワークで求職の申込みをすると、その日が受給資格決定日になります。 そこから失業の状態にある7日間は誰であっても支給されません。これを「待期」といいます。

自己都合で辞めた場合は、待期のあとにさらに給付制限が続きます。厚生労働省は 「雇用保険の被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3か月間(※)は基本手当を支給されません」 と説明しており、注記で「退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月31日以前である場合は原則2か月です」としています。 2025年4月1日以降の離職なら、原則1か月まで縮んだということです。

1か月にならない2つのケース

退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合は3か月です。 自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)も3か月になります。 一方、2025年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた(受けている)場合は給付制限が解除されます。 転職のために講座の受講を考えているなら、申込みの前に窓口で対象かどうかを確認する価値があります。

何日分もらえるか|加入期間と年齢で決まる所定給付日数

支給される上限日数を所定給付日数といい、90日から360日の間で決まります。 自己都合や定年など一般の離職者は年齢に関係なく、加入期間だけで決まります。

被保険者であった期間一般の離職者(自己都合・定年等)
1年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」をもとに作成。

倒産・解雇等で再就職の準備をする余裕なく離職した特定受給資格者と、契約更新がなかった一部の特定理由離職者は、 年齢区分も加わって手厚くなります。同じ加入期間でも日数が2倍前後変わるため、 離職理由の判定は金額に直結します。

年齢1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日180日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

特定受給資格者および一部の特定理由離職者の場合。被保険者であった期間が1年未満のときは全年齢90日。 ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」をもとに作成。

離職理由に納得がいかないときは、そのままにしないことです。 実際は退職勧奨なのに自己都合とされている場合など、ハローワークは事実関係を調査したうえで離職理由を判定します。 日数と給付制限の両方が変わるため、相談する価値は大きい論点です。

1日あたりいくらか|賃金日額の50〜80%と、年齢別の上限

1日あたりの金額を基本手当日額といいます。まず離職直前6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割り、 賃金日額を出します。賞与は含みません。基本手当日額はその賃金日額の およそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)で、賃金が低い人ほど率が高くなります。

ただし上限があり、年齢区分ごとに次のとおり定められています(令和8年8月1日現在)。 上限は毎年8月1日に改定されるため、翌年度は同じ計算でも額が動きます。

離職時の年齢基本手当日額の上限所定給付日数90日の場合の上限総額
30歳未満7,450円670,500円
30歳以上45歳未満8,270円744,300円
45歳以上60歳未満9,110円819,900円
60歳以上65歳未満7,830円704,700円

上限額はハローワークインターネットサービス「基本手当について」より。総額は上限額×90日で試算した参考値。

たとえば45歳で月給36万円、加入20年、会社都合で離職した場合、賃金日額は12,000円、 給付率を50%とすると基本手当日額は6,000円です。所定給付日数330日なら総額は198万円になります。 同じ条件でも自己都合なら150日で90万円です。金額の差は、この日数の差から生まれます。

受け取り続ける条件|4週に1度の失業認定と求職活動

所定給付日数は自動的に振り込まれるものではなく、 原則として4週間に1度の失業の認定を受けて初めて支給されます。 認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書に求職活動の状況を記入して提出します。 支給は認定を行った日から通常5営業日で口座に振り込まれます。

認定を受けるには、認定対象期間中に原則2回以上の求職活動の実績が必要です (最初の認定日の対象期間は1回、給付制限が3か月の場合は原則3回以上)。 求人への応募、ハローワークの職業相談や職業紹介、各種セミナーの受講、資格試験の受験などが該当し、 単に求人情報を閲覧しただけ、知人に紹介を頼んだだけでは実績になりません。

公共職業訓練の受講を指示された場合は扱いが変わります。訓練期間中に所定給付日数が終わっても、 訓練が終了する日まで基本手当が支給されます。あわせて受講手当が日額500円(上限20,000円)、 通所手当が月額最高42,500円支給されます。日数が足りないと感じたら、先に訓練の相談をする手があります。

受け取れる期間には「離職の翌日から1年」の枠がある

見落とされやすいのが受給期間です。基本手当を受けられるのは 原則として離職した日の翌日から1年間で、所定給付日数330日の人は1年と30日、 360日の人は1年と60日です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れません。 手続きを何か月も先延ばしにすると、日数を使い切れなくなります。

病気、けが、妊娠、出産、育児などで引き続き30日以上働けなくなったときは、 その日数だけ受給期間を延長できます。延長できる期間は最長3年間です。 該当したら、働けなくなった日の翌日以降、早めに住所地のハローワークへ申請します。

この記事で扱わない範囲

ここで整理したのは「いつから・何日・いくら」という給付そのものの計算です。 受け取っている間の税金・社会保険・家族の扶養の扱いは別の論点で、 失業給付を受けると扶養・税金・健康保険はどう変わるかにまとめています。 退職後の健康保険を任意継続・国民健康保険・家族の扶養のどれにするかは 退職後の健康保険はどう選ぶか、 在職中の所得に対して翌年かかる住民税退職後にかかる住民税で扱いました。

また、65歳以上で離職した人は基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になり、 被保険者であった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分が一時金として支給されます。 60歳以降も働き続ける場合の給付は 高年齢雇用継続給付とはで整理しています。

まとめ|先に「いつから・何日・いくら」を並べてから辞める

自己都合で20年勤めた人なら、待期7日と給付制限1か月を経て、90日から150日分が支給されます。 45歳以上60歳未満の上限額で計算しても1日9,110円が天井で、90日なら約82万円です。 退職前に見積もるべきなのは「もらえるかどうか」ではなく、 無給の期間が何週間あり、その後に何か月分の収入が確保できるかです。

そのうえで押さえておきたいのは、離職理由の判定に納得がいかなければ相談できること、 受給期間には1年の枠があること、訓練を受ければ給付制限の解除や給付の延長につながる場合があることの3点です。 いずれも自分から動かないと適用されません。離職票が届いたら、まず窓口に行く日を決めてしまうのが確実です。

よくある質問

Q. 自己都合で辞めると、いつから失業給付を受け取れますか?
受給資格決定日から7日間の待期があり、そのあとに給付制限が続きます。2025年4月1日以降に離職した場合の給付制限は原則1か月です(それ以前の離職は原則2か月)。ただし、退職日から遡って5年間に2回以上の自己都合離職がある場合と、重責解雇の場合は3か月になります。待期と給付制限が終わってから失業の認定を受けて振り込まれるため、実際の入金はさらに数週間後になります。
Q. 所定給付日数は何日ですか?
自己都合や定年など一般の離職者は、雇用保険の加入期間が1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。倒産・解雇等による特定受給資格者と一部の特定理由離職者は年齢区分も加わり、45歳以上60歳未満で加入20年以上なら330日になります。就職困難者の場合は最長360日です。
Q. 1日あたりいくらもらえますか?
離職前6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割った賃金日額の、およそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)です。賞与は計算に含みません。年齢区分ごとに上限があり、令和8年8月1日現在で30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円です。上限額は毎年8月1日に改定されます。
Q. 手続きを後回しにすると損をしますか?
損をする場合があります。基本手当を受けられる受給期間は原則として離職した日の翌日から1年間で、この期間を過ぎると所定給付日数が残っていても受け取れません。所定給付日数330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日です。病気やけが、妊娠、出産、育児などで引き続き30日以上働けないときは最長3年まで受給期間を延長できるので、該当したら早めに申請してください。
Q. 給付制限が解除されることはありますか?
あります。厚生労働省は、2025年4月以降にリ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合は給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになったと案内しています。対象となる訓練の種類や訓練実施施設による証明書など手続きが決まっているため、受講を申し込む前に、ハローワークの窓口で対象になるかどうかと必要書類を確認してください。

参考資料

本記事は2026年9月18日時点の公開情報をもとに作成しています。 基本手当日額の上限額は令和8年8月1日現在の値で、毎年8月1日に改定されます。 所定給付日数と離職理由の判定は個別の事情によって異なります。 実際の手続きと金額は、住所地を管轄するハローワークで確認してください。