賃貸住宅を借りるとき、申込書に「保証会社加入必須」と書かれていることが増えました。親に連帯保証人を頼まなくて済むのは助かる一方で、入居時に家賃の半月分ほどの保証料を払い、毎年のように更新料がかかります。定年後や親の住み替えで部屋を借りる場面では、保証会社の審査そのものが入居の関門になることもあります。

先に結論を書くと、家賃保証会社は「連帯保証人の代わりに滞納分を立て替えてくれる会社」であって、借りた人の支払いを肩代わりしてくれる会社ではありません。 国土交通省の資料と民法の保証のルールをもとに、保証料の目安、連帯保証人との違い、契約前に確かめる点、審査に通りにくいときの窓口を整理します。

家賃保証会社の契約前に確かめる6つの項目を、初回保証料、更新保証料、保証の範囲、立替後の請求、契約の解除、会社の登録に分け、それぞれの目安と確認点を並べた図解
保証料の額だけでなく、立て替えた後に誰が何を請求されるかまで確かめます。

この記事でわかること

  • 家賃保証会社が滞納時に何をして、その後に何を請求するのか
  • 初回保証料と更新保証料のよくある設定と、住む年数ごとの負担
  • 親族の連帯保証人・緊急連絡先・保証会社の責任の違い
  • 契約書で確かめたい条項と、2022年の最高裁判決で使えなくなった条項
  • 高齢で審査に通りにくいときに頼れる制度と窓口

結論|保証会社は立て替えるだけで、借りた人の負担は消えない

家賃保証会社(家賃債務保証業者)は、借りた人から保証料を受け取り、滞納が起きたときに家主へ家賃を立て替えます。立て替えた分は、あとで借りた人に全額請求されます。 保証料は、入居時に月額賃料の50%、以後1年ごとに1万円とする会社が多いとされています。家賃8万円なら入居時に4万円、4年住めば合計7万円ほどです。

選べる場面では、保証料の額に加えて、保証の範囲、立て替えた後の手数料や遅延損害金、契約の解除に関する条項を確かめます。国の登録を受けた会社かどうかも一覧で確認できます。

この記事で扱う範囲

ここで扱うのは、賃貸住宅の家賃を保証する会社の仕組みと費用です。賃貸と持ち家の総額の比べ方は 賃貸と持ち家はどちらが得か|30年の支出と前提の置き方で比べる、 高齢者向け住宅や施設の費用は 老人ホームの費用はいくらかかるか|施設の種類別の月額と入居一時金で扱っています。 住宅ローンの保証会社は仕組みが異なるため、 住宅ローンの審査では何を見られるか|事前審査と本審査・返済負担率の目安を参照してください。

仕組み|誰が誰にお金を払うのか

家賃債務保証には、借りた人・家主・保証会社の3者が関わります。借りた人は保証会社と保証委託契約を結んで保証料を払い、保証会社は家主と保証契約を結びます。 家賃が滞ると、保証会社が家主へ立て替え払い(代位弁済)をし、その後、立て替えた金額を借りた人に請求します。この請求の権利を求償権といいます。

国土交通省の資料(平成28年)は、民間の調査をもとに「賃貸借契約の約97%において、何らかの保証を求めており、約6割が家賃債務保証会社を利用」と整理しています。 同じ資料では、回答した48社の保証契約の件数が合計347万件にのぼりました。背景には、高齢の単身世帯が増え、親族に保証人を頼みにくくなったことがあります。

保証の対象は、滞納家賃に加えて、退去時の原状回復費用、訴訟費用、残置物の撤去費用などを含む会社が多く、範囲は会社ごとに異なります。

保証料の目安|入居時は家賃の50%、以後は年1万円が多い

国土交通省の同じ資料には、26社の保証料の設定が載っています。最も多いのは「初回に月額賃料の50%、以後1年ごとに1万円」の11社で、初回50%の会社は全体で17社でした。 少し古い調査ですが、現在も同じ水準の設定をよく見かけます。月額賃料には共益費を含めて計算する会社もあります。

初回の保証料以後の保証料社数
月額賃料の50%1年ごとに1万円11社
月額賃料の50%1年ごとに1.2万〜2万円・賃料の10%6社
月額賃料の60%〜100%1年ごとに1万〜1.2万円5社
月額賃料の30%・40%1年ごとに1万円など2社
定額(1万円・2万円)1年ごとに1万円など2社

家賃8万円で「初回50%・以後年1万円」の会社を使う場合、負担は入居時に4万円、2年住めば5万円、4年で7万円、10年で13万円です。 初回を抑えて毎月一定額を払う型の会社もあるため、住む予定の年数で総額を比べると判断しやすくなります。保証料は掛け捨てで、滞納がなくても戻りません。

連帯保証人との違い|上限・請求の順番・緊急連絡先

親族が連帯保証人になる場合、2020年4月1日施行の改正民法により、保証する金額の上限(極度額)を書面で定めなければ契約は無効になりました。 法務省のパンフレットは、極度額について「『○○円』などと明瞭に定めなければなりません」と説明しています。保証会社は法人なので、この上限のルールは適用されません。

立場支払いの責任上限費用
親族の連帯保証人滞納分をいきなり請求されうる契約書の極度額まで無償が一般的
家賃保証会社立て替えた後に借主へ全額請求契約で定める保証範囲保証料(借主負担)
緊急連絡先負わない―なし

保証会社を使う契約でも、親族を緊急連絡先として書く欄があることが多く、さらに連帯保証人を求める家主もいます。緊急連絡先は連絡を受けるだけで、支払いの責任は負いません。 書類に署名するときは、どの欄に自分の名前を書いているのかを確かめてください。

契約前に確かめる5つの項目

保証委託契約は、入居の申込みと同時に不動産会社の窓口で結ぶことが多く、読み飛ばしがちです。少なくとも次の5点は、契約書か重要事項の説明書面で確認します。

  1. 初回と更新の保証料/何年ごとに、いくらかかるか。家賃が変わると更新保証料も変わるか
  2. 保証の範囲/滞納家賃のほか、原状回復費用や残置物の撤去費用まで含むか
  3. 立て替え後の費用/代位弁済の手数料や遅延損害金の率(年何%か)
  4. 契約の解除に関する条項/保証会社が一方的に賃貸借契約を解除できる書き方になっていないか
  5. 登録の有無/国土交通省の登録家賃債務保証業者の一覧に載っているか

2022年の最高裁判決で使えなくなった条項

令和4年12月12日の最高裁判決は、滞納があれば保証会社が「何らの限定なく」賃貸借契約を無催告で解除できる条項と、一定の条件で部屋の明け渡しがあったとみなせる条項を、消費者契約法第10条に当たるとして差し止めました。 国土交通省は登録業者に同様の条項を使わないよう求め、消費者にも契約時にこれらの条項を確認するよう呼びかけています。

国の登録制度は2017年10月に始まった任意の制度で、純資産1,000万円以上などの要件を満たした会社が登録を受け、有効期間は5年です。 国土交通省のQ&Aは「登録を受けていることが何か特別な保証を与えるものではありません」としつつ、重要事項の説明や書面の交付などのルールに沿っていることが一般に明らかになると説明しています。

審査に通りにくいとき|高齢者の住まい探しで頼れる窓口

保証会社の審査は年齢や収入の形で差が出ます。国土交通省の資料が引く保証会社への調査(平成28年)では、「通りやすい」と答えた割合が30代では75.5%だったのに対し、70代では22.6%にとどまりました。 年金収入で家賃を払えても、単身の高齢者は審査で不利になりやすいのが実情です。

2025年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法は、ここに手当てをしています。高齢者などの住宅確保要配慮者が使いやすい保証会社を国土交通大臣が認定する制度ができ、認定を受けた会社は、見守りのある居住サポート住宅に入る要配慮者の保証を正当な理由なく断れません。 保証人の設定を条件にしないことや、緊急連絡先を親族に限らないことも認定の基準です。

住まい探しの相談は、都道府県が指定する居住支援法人でも受けられます。国土交通省の一覧では、令和8年6月30日時点で1,196法人が指定されており、家賃債務の保証や見守りを行う法人もあります。 離職などで家賃の支払いが難しくなりそうなときは、滞納する前に自治体の自立相談支援機関へ相談すると、家賃相当額を原則3か月(最長9か月)支給する住居確保給付金を使える場合があります。 失業時の手当と税・保険の手続きは失業給付を受けると扶養・税金・健康保険はどう変わるかもあわせて確認してください。

まとめ|保証料の額より、立て替えた後の条件を読む

家賃保証会社を使うと、親族に保証を頼まずに部屋を借りられますが、保証料は入居時に家賃の半月分ほど、以後も年1万円前後かかるのが一般的です。滞納すれば立て替えた分を全額請求されるため、借りた人の責任が軽くなるわけではありません。 契約前には、保証の範囲、立て替え後の手数料と遅延損害金、契約の解除に関する条項、国の登録の有無を確かめます。

保証料は、住む年数によって総額が変わる固定費です。家計の固定費の見直しの順番は 家計改善で先に見直すべき固定費|投資の前に整えるお金の土台で扱っています。 高齢の親の住み替えで審査に通らないときは、自治体の住宅担当課や居住支援法人に相談すると、認定を受けた保証会社や見守りのある住まいを紹介してもらえることがあります。

よくある質問

Q. 家賃保証会社を使えば、滞納しても払わなくてよくなりますか?
なりません。保証会社は家主に滞納分を立て替えるだけで、立て替えた金額は後で借りた人に全額請求されます。代位弁済の手数料や遅延損害金が加わることもあるため、支払いが難しくなりそうなときは滞納する前に自治体の相談窓口へ相談してください。
Q. 保証料はどのくらいかかりますか?
国土交通省の資料では、入居時に月額賃料の50%、以後1年ごとに1万円とする会社が最も多く、26社中11社でした。家賃8万円なら入居時に4万円、4年住めば合計7万円ほどです。保証料は掛け捨てで、滞納がなくても戻りません。
Q. 保証会社を使うのに、親族を緊急連絡先に書くよう求められました。支払いの責任はありますか?
緊急連絡先は連絡を受ける立場で、支払いの責任は負いません。ただし同じ書類に連帯保証人の欄がある場合は別です。連帯保証人になると滞納分を請求されることがあり、2020年4月以降の契約では極度額(上限額)を書面で定める必要があります。署名する欄を必ず確かめてください。
Q. 高齢で保証会社の審査に通りません。どこに相談できますか?
市区町村の住宅担当課や、都道府県が指定する居住支援法人に相談できます。2025年10月からは、高齢者など住宅確保要配慮者が使いやすい保証会社を国が認定する制度も始まりました。認定を受けた会社は、見守りのある居住サポート住宅に入る要配慮者の保証を正当な理由なく断れません。

参考資料

本記事は2026年9月29日時点の公開情報をもとに作成しています。保証料の設定は国土交通省の資料(平成28年)に掲載された26社の例で、現在の各社の料金を示すものではありません。 実際の保証料・保証の範囲・契約条件は保証会社や物件ごとに異なります。契約の際は、保証委託契約書と重要事項の説明書面でご確認ください。