銀行の窓口で、円預金よりずっと金利の高い外貨預金を勧められた。気になるのは、利息や為替でもうかったときの税金でしょう。実は外貨預金の税金は、円預金とも投資信託とも扱いが違うんです。
ポイントは、利息と為替のもうけで税金のかかり方が分かれること。そして、円に戻したときに申告が必要になる場合があることです。商品としてのリスクは「外貨建て保険・外貨建て債券のリスク」にまとめたので、ここでは税金に絞ります。
結論|利息は引かれて終わり、為替のもうけは給与と合算
利息は受け取るときに税金が差し引かれ、原則そこで終わります。一方、円に戻したときの為替のもうけ(為替差益)は雑所得として給与などと合算され、所得が高い人ほど税率も高くなります。会社員で給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要な場合がありますが、住民税の申告は別に必要になることがあります。
| 種類 | 中身 | 課税の考え方 |
|---|---|---|
| 利息 | 外貨建てで付く利子 | 利子所得として源泉徴収され、原則そこで完結 |
| 為替差益 | 円に戻したときの為替の値上がり分 | 原則として雑所得(総合課税) |
為替のもうけは、給与と合わせて税率が決まる
利息は受け取りの時点で税金が引かれるので、通常は自分で手続きしなくて大丈夫です。気をつけたいのは為替差益のほうです。
為替差益は、給与などと合計して税金を計算します。これを総合課税といいます。株式や投資信託の利益のように、一定の税率で別に計算されるわけではありません。そのため、所得が高い人ほど高い税率がかかります。
ただし、預け入れるときに円での受取額があらかじめ決まっている一部の商品では、為替差益の部分も利息と一緒に源泉分離課税になる場合があります。自分の契約がどちらなのかは、金融機関の商品説明で確かめてください。
為替差益は、円に戻したときに確定する
外貨のまま持っているだけでは、為替差益は確定しません。円安で含み益が増えていても、その時点では税金の対象にならないんです。一般に、次のような場面で為替差損益が確定します。
- 外貨預金を解約して円に換えたとき
- 外貨をそのまま使って、円建ての支払いに充てたとき
- 外貨で別の資産を購入したとき(取引の内容によります)
一方、同じ外貨のまま、別の金融機関の同じ通貨の預金へ預け替える場合は、元本部分の為替差損益を認識しないという取扱いが示されています。判断が難しい取引もあるので、まとまった金額を動かす前に国税庁の情報や税務署で確認しておくと安心です。
損が出ても、株式の利益とは相殺できない
実務でいちばん影響が大きいのがここです。円高の時期に円へ戻して為替差損が出ても、その損を株式や投資信託の利益と相殺することはできません。上場株式等の損益通算は、上場株式等どうしの制度だからです。
雑所得の損失は、原則として給与など他の所得から差し引くことも、翌年以降へ繰り越すこともできません。利益が出れば総合課税、損が出ても救済が乏しいという、片寄った扱いになっています。比べてみたい方は「NISAで損をしたらどうなるか」も確認してください。
「20万円以下」の話と、残しておく記録
給与を1か所から受けている会社員で、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は不要とされる場合があります。為替差益もこの合計に含まれます。仕組みは副業と同じで、「副業の「20万円ルール」で確定申告は本当に不要か」で詳しく整理しています。
為替差益を計算するには、外貨を取得したときのレートと、円に戻したときのレートが必要です。何年も積み立てていると、取得時のレートが分からなくなりがち。最低限、次の記録は保管しておきましょう。
- 入金日・入金額・適用された為替レート(TTSなど)が分かる明細
- 解約日・解約額・適用された為替レート(TTBなど)が分かる明細
- 金融機関が発行する年間の取引明細
預ける前に確かめたい5つのこと
- その外貨をいつ円に戻すか:戻す予定がないなら、税金の話はまだ先になる
- 自分の契約は源泉分離型か:商品説明で為替差益の扱いを確認する
- 他に雑所得があるか:副業などと合算して20万円を超えないか
- その年に確定申告をするか:するなら金額にかかわらず記載が必要
- 取得時のレートの記録はあるか:なければ今から残す
ここは誤解しやすいポイント
- 所得税の申告が不要でも、住民税は別です。金額にかかわらず、住民税の申告が必要になる場合があります
- 医療費控除やふるさと納税で確定申告をする年は、20万円以下でもすべての所得を申告書に書く必要があります。「20万円以下だから書かなくてよい」ではありません
- 外貨預金は預金保険制度(ペイオフ)の保護の対象外です。金融機関が破綻しても、円預金と同じようには守られません。金利の高さと引き換えのリスクとして理解しておきましょう
まとめ|金利の高さの裏に、税と保護の違いがある
- 利息は源泉徴収で完結し、為替差益は原則として雑所得の総合課税になる
- 為替差損は株式の利益と相殺できず、翌年以降にも繰り越せない
- 金利だけでなく、円に戻すときの為替・税金・預金保険の3点を合わせて比べる
よくある質問
- Q. 外貨預金の為替差益にはどんな税金がかかりますか?
- 原則として雑所得となり、給与所得などと合算して課税される総合課税です。株式や投資信託のように一定の税率で分離して計算されるわけではないため、所得が高い人ほど適用される税率が高くなります。一方、利息は利子所得として源泉徴収され、通常はそこで完結します。
- Q. 外貨のまま持っているだけでも課税されますか?
- されません。円安が進んで含み益が増えていても、その時点では課税の対象になりません。一般に、外貨預金を解約して円に換えたときや、外貨をそのまま円建ての支払いに充てたときなどに為替差損益を認識します。
- Q. 為替差損が出たら株式の利益と相殺できますか?
- できません。上場株式等の損益通算は上場株式等どうしの制度です。また雑所得の損失は原則として給与所得など他の所得から差し引くこともできず、翌年以降への繰越しもできません。利益は総合課税、損は救済が乏しいという非対称な扱いになります。
- Q. 会社員で20万円以下なら何もしなくてよいですか?
- 所得税の確定申告は不要とされる場合がありますが、住民税は別です。金額にかかわらず住民税の申告が必要になる場合があります。また、医療費控除やふるさと納税で確定申告をする年は、20万円以下でも申告書にすべての所得を記載する必要があります。
- Q. 外貨預金はペイオフの対象ですか?
- 対象外です。金融機関が破綻した場合、円預金と同じようには保護されません。金利の高さと引き換えのリスクとして理解しておく必要があります。
参考資料
- 国税庁「No.1520 金融類似商品と税金」
- 国税庁「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」
- 国税庁「No.1500 雑所得」
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
- 金融庁「預金保険制度」
本記事は2026年7月26日時点の公開情報をもとに作成しています。 税制・商品内容は変更される場合があります。 実際の取引や申告にあたっては、金融機関の商品説明書と国税庁の最新の案内をご確認のうえ、判断に迷う場合は税務署・税理士にご相談ください。