「賞与引当金」とは
次の決算期に支払う従業員のボーナスのうち、当期に働いた分に相当する金額を、あらかじめ費用と負債に計上しておくもの。
📌 投資判断のポイント
翌期に払うボーナスのうち当期の働きに当たる分を、先に費用と負債に計上しておく引当金。見積りなので実際の支給額との差は翌期に調整される。
賞与引当金はどういう仕組み?
例えば3月決算の会社が6月にボーナスを払う場合、その金額の一部は前の年の冬から春にかけての働きに対する対価である。支払いは翌期でも、費用の原因は当期にあるため、当期の費用として見積もって計上し、同じ額を負債として貸借対照表に載せる。これが賞与引当金で、通常は1年以内に支払うので流動負債に入る。費用をそれが生まれた期間に対応させる考え方に基づく処理である。
賞与引当金の具体例と注意点は?
賞与引当金は見積りの金額なので、実際の支給額と差が出ることがあり、その差は翌期の費用で調整される。業績が良くボーナスの増額が見込まれる年は引当金も膨らみ、利益を押し下げる要因になる。四半期ごとの決算では、ボーナスの支給月の前後で引当金の額が大きく動くので、季節的な動きとして読むとよい。
未払費用との違い
支給額と支給の対象期間がすでに確定している場合は、賞与引当金ではなく「未払費用」(未払賞与)として計上するのが一般的である。賞与引当金は、まだ金額が確定していないものを見積もって計上する点に特徴がある。決算日の時点で就業規則や労使の合意によって支給額が決まっているかどうかで、科目が分かれる。
数値でみる
3月決算の会社が、12月から5月までの6か月間の勤務に対して6月に600万円のボーナスを払う見込みだとする。このうち12月から3月までの4か月分は当期の働きに当たるので、600万円×4÷6=400万円を当期の費用として見積もり、賞与引当金として計上する。残りの200万円は翌期の費用になる。
投資家が気をつけたいこと
賞与引当金が前の年より大きく増えているときは、業績の好調を受けてボーナスを増やす見込みであることが多い。一方、売上が伸びていないのに引当金だけが増えている場合は、人件費の負担が重くなっていないかを確かめたい。四半期の決算では、ボーナスを支給する月の前後で引当金の残高が大きく増減するのがふつうなので、前年の同じ時期と比べて読むとよい。なお、役員に支払う賞与は従業員の賞与とは別に「役員賞与引当金」として扱われることがあるので、注記で内訳を確かめるとよい。金額の推移は貸借対照表の流動負債の欄で確かめられる。
関連用語
将来の費用や損失のうち、原因が当期にあるものを見積もって先に計上する項目です。見積もりを含むため、利益の質を見るときの手がかりになります。
買掛金や短期借入金など、おおむね1年以内に支払う必要のある負債。流動資産と並べて短期の支払い能力を見るが、業種によって適正な水準は大きく異なる。
売上と、その売上を生んだ費用を同じ期に並べる考え方。仕入れ代を在庫として翌期に回したり、機械の代金を年数で分けたりするのは、その期の本当のもうけを見せるためである。
引当金や減損など、確定していない金額を決算時点の情報で算出すること。前提次第で利益が大きく動くため、注記で主な仮定を確かめておきたい。
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