「会計上の見積り」とは
金額がまだ確定していないものについて、決算書を作る時点で手に入る情報をもとに金額を算出すること。引当金や減損、繰延税金資産などが代表例である。
📌 投資判断のポイント
引当金や減損など、確定していない金額を決算時点の情報で算出すること。前提次第で利益が大きく動くため、注記で主な仮定を確かめておきたい。
会計上の見積りはどういう仕組み?
決算書の数字は、すべてが確定した金額でできているわけではない。売掛金のうち回収できなくなりそうな額、将来支払う退職金や修理費、工場の価値が下がった分、将来の税金の減り方などは、予想を置いて金額を決める必要がある。こうした見積りは、前提が少し変わるだけで利益が大きく動くことがある。日本では企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」により、翌年度の決算書に大きな影響を及ぼすおそれのある見積りについて、金額や算出の方法、主な仮定を注記で示すことが求められている。
会計上の見積りの具体例と注意点は?
例えば工場の減損を判断するとき、将来の売上の伸びをどう見込むかで、損失を計上するかどうかが分かれる。見積りの注記を読むと、会社がどの数字に不確実さを抱えているかが分かる。見積りが外れたときは翌年以降の利益で調整されるため、毎年のように大きな修正が出る会社は、前提の置き方が楽観的すぎないかという視点で見ておきたい。
会計方針との違い
会計方針は計算のルールそのもの、会計上の見積りはそのルールに当てはめる予想の数字である。機械を定額法で減価償却するのは会計方針で、その機械を10年使えると見込むのは見積りにあたる。方針を変えたときは過去の決算書にもさかのぼって当てはめるのが原則だが、見積りを変えたときは、変えた年度以降の決算書に影響を反映させる。扱いがはっきり分かれているので、注記でどちらの変更なのかを確かめたい。
数値でみる開示のルール
企業会計基準第31号は、2021年3月31日以後に終了する事業年度の年度末の決算書から適用されている。対象は、翌年度の決算書に重要な影響を及ぼすリスクがある見積りで、何を見積もったか、当年度の決算書に計上した金額、金額の算出方法や主要な仮定などを注記する。
投資家が気をつけたいこと
見積りは経営者の判断が入りやすい部分であり、利益を調整する余地が生まれやすいところでもある。業績が苦しい年に引当金を取り崩したり、減損の判断を先送りしたりしていないかは、注記の金額の推移から確かめられる。監査報告書の「監査上の主要な検討事項(KAM)」には、見積りに関する項目が挙がることが多いので、あわせて読むと、どの数字に注意すべきかが分かりやすい。
関連用語
将来の費用や損失のうち、原因が当期にあるものを見積もって先に計上する項目です。見積もりを含むため、利益の質を見るときの手がかりになります。
減損損失は資産価値の切り下げ。過去投資の失敗や収益力低下を示すことがある。
将来の減税効果を資産計上したもので、税効果会計で生じる。将来の黒字が前提のため、業績が悪化すると取り崩しを迫られ利益を押し下げる。現金のような確実な資産ではなく、収益力に依存する点を見落とさないようにしたい。
在庫の評価や減価償却、引当金、売上の計上時点など、決算書づくりで会社が選んだ主な会計の方法を示す注記。同業他社と比べる前に前提の違いを確かめるのに役立つ。
企業分析 の他の用語
🏷 関連タグ
⚠️ ご利用にあたって
本用語解説は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。