「費用収益対応の原則」とは
ある期間の収益と、その収益を得るためにかかった費用を同じ期間に対応させて利益を計算する、という会計の考え方。
📌 投資判断のポイント
売上と、その売上を生んだ費用を同じ期に並べる考え方。仕入れ代を在庫として翌期に回したり、機械の代金を年数で分けたりするのは、その期の本当のもうけを見せるためである。
費用収益対応の原則はどういう仕組み?
会社の利益は、お金が出入りした時点ではなく、取引が起きた時点で収益と費用を認識する発生主義で計算する。そのうえで、売上という成果と、その成果を生んだ費用を同じ期に並べることで、その期の本当のもうけが見えるようにするのが費用収益対応の原則である。売れた商品の仕入れ代を売上原価として売上と同じ期に計上し、売れ残りは在庫として翌期に回すのが代表例。何年も使う機械の代金を、使う年数に分けて減価償却費として配分するのも、この考え方に基づく。対応のさせ方には、商品と売上のように個別に結びつける方法と、家賃や給料のように期間で結びつける方法がある。
費用収益対応の原則の具体例と注意点は?
例えば1月に100万円で仕入れた商品のうち、3月の決算までに売れたのが60万円分なら、今期の費用になるのは60万円で、残る40万円は在庫として翌期の費用に回る。仕入れた額をすべて今期の費用にすると、今期の利益は小さく、翌期の利益は大きく見えてしまう。逆に、費用を先送りしすぎると今期の利益が膨らむため、在庫や前払いの金額が売上に比べて増えすぎていないかを見ることが、決算書を読むうえでの確認点になる。
お金の出入りとのずれ
この原則で計算した利益は、その期に実際に入ってきた現金とは一致しない。在庫を多く仕入れた期は、利益はあまり変わらなくても現金は大きく減る。利益と現金の動きの違いを確かめるには、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローと当期純利益を並べて見るとよい。
身近な例で考える
例えば1年分の保険料12万円を4月にまとめて払った個人事業主なら、その年の12月までの9か月分の9万円がその年の費用になり、残る3万円は翌年の費用になる。払った年にすべてを費用にしないのは、保険で守られている期間と費用を対応させるためである。会社の決算書の前払費用や減価償却費は、この考え方を数字にしたものと理解すると読みやすい。
この原則があるおかげで、大きな設備投資をした年だけ極端な赤字になる、といった見え方の偏りが避けられる。ただし、費用の配分には見積もりが入るため、会計方針の変更で利益が動くことがある点も知っておきたい。
関連用語
現金の受け払いではなく、取引や価値の消費が起きた時点で収益・費用を記録する企業会計の基本ルール。期間の成果を正しく測れる反面、利益と現金の動きがずれる。
お金を受け取った時に収入、支払った時に費用を記録する考え方で、家計簿と同じ仕組み。会社の会計は発生主義が原則で、所得税には小規模な青色申告者向けの特例がある。
売れた分だけを費用にするのが売上原価の考え方。期末在庫の数え方ひとつで利益が動くため、在庫が売上より速く増えていないかを合わせて確かめると、決算の数字の確かさが見えてくる。
販売のために持つ商品・製品・仕掛品・原材料などの総称で、貸借対照表の流動資産に計上される。期末の評価額が売上原価と利益を左右する。売上が伸びないのに増えているなら売れ残りを疑う。
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