「発生主義」とは
お金を受け取ったり支払ったりした時点ではなく、取引や価値の消費が「起きた」時点で収益や費用を記録する考え方。企業会計の基本ルール。
📌 投資判断のポイント
現金の受け払いではなく、取引や価値の消費が起きた時点で収益・費用を記録する企業会計の基本ルール。期間の成果を正しく測れる反面、利益と現金の動きがずれる。
発生主義はどういう仕組み?
3月に商品を引き渡し、代金は5月に受け取る取引では、発生主義なら売上は3月に計上する。同じように、3月分の電気代を4月に払っても、費用は3月に計上する。こうすることで、その期間に生み出した成果と、そのために使った費用を同じ期間で対応させられ、期間ごとのもうけを正しく測れる。ただし収益については、実際に商品やサービスを引き渡すなど確実になった時点で計上する(実現主義)という考え方が組み合わされる。
発生主義の具体例と注意点は?
年間契約のソフトウェアを4月に12万円前払いで受け取った会社は、受け取った月に12万円の売上にせず、毎月1万円ずつ売上にしていく。逆に、6年使う機械を600万円で買えば、毎年100万円ずつ減価償却費として費用に配分する。発生主義のおかげで利益は期間の実態に近づくが、そのぶん利益と現金の動きはずれる。
現金主義との違い
現金主義は、お金が出入りした時点で記録する方法で、家計簿やお小遣い帳と同じ発想。わかりやすい反面、代金の回収や支払いのタイミングで利益が大きくぶれる。発生主義の利益と現金のずれを補うのが、キャッシュフロー計算書の役割になる。
決算書を読むときの意味
発生主義で作られた利益は、会社の「稼ぐ力」を期間ごとに比べるのに向いている一方、現金の裏付けまでは保証しない。売上を前倒しで計上したり、費用の計上を遅らせたりすれば、利益を実態より良く見せることも理屈のうえではできてしまう。そのため、損益計算書の利益と、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローを数年分並べて比べるのが基本になる。利益が毎年1億円前後なのに営業キャッシュフローが数年続けて大きく下回る場合は、売掛金や在庫の増え方を確かめるきっかけにする。
個人の確定申告でも、事業所得の収入金額は「その年において収入すべき金額」で計算するため、年末に未回収の売上も、原則としてその年の収入に含める。家計簿の感覚で現金の出入りだけを見ていると、売上や経費の計上時期を誤りやすい点に注意したい。会社の会計と個人の申告で、考え方の土台が共通していることがわかる。
関連用語
営業・投資・財務の3区分で現金の出入りを示す決算書。利益に現金の裏付けがあるかを確かめる道具で、利益が出ていても営業キャッシュフローが赤字なら売掛金や在庫の増え方を確認する。
ひとつの取引を借方と貸方の2つの面から左右同額で記録する帳簿のつけ方。集計すると貸借対照表と損益計算書が同時にでき、借入と売上のように利益への影響の違いも区別できる。
減価償却費は設備投資を期間配分する費用。利益とキャッシュフローの差を理解する鍵になる。
利益は出ているのに支払いに必要な現金が尽きて倒産すること。売掛金や在庫が急に膨らむ成長局面で起きやすく、営業キャッシュフローの赤字が続くことが兆しになる。
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