「複式簿記」とは
ひとつの取引を「原因」と「結果」の2つの面から同時に記録する帳簿のつけ方。左側を借方、右側を貸方と呼び、左右の金額は必ず一致する。
📌 投資判断のポイント
ひとつの取引を借方と貸方の2つの面から左右同額で記録する帳簿のつけ方。集計すると貸借対照表と損益計算書が同時にでき、借入と売上のように利益への影響の違いも区別できる。
複式簿記はどういう仕組み?
お小遣い帳のような単式簿記は現金の増減だけを書く。複式簿記では、たとえば「商品を100万円で仕入れ、代金は翌月払い」という取引を、商品(資産)が100万円増えたこと、買掛金(負債)が100万円増えたことの両面で記録する。すべての取引を左右同額で記録していくため、集計すると貸借対照表と損益計算書が同時にできあがり、どこかで記入を誤れば左右の合計が合わなくなって気づける。会社の財務諸表は、この方法で作られた帳簿をもとにしている。
複式簿記の具体例と注意点は?
銀行から500万円を借りれば、現金(資産)が500万円増え、借入金(負債)も500万円増える。利益は変わらない。一方、商品を80万円で売って現金を受け取れば、現金が80万円増え、売上という収益も80万円立つ。借入と売上はどちらも現金を増やすが、利益への影響が違うことを、複式簿記は自然に区別できる。
単式簿記との違い
単式簿記は現金の動きしかわからないため、借りたお金と稼いだお金の区別がつきにくい。複式簿記は「何が増えて、その理由は何か」を必ず書くので、財産の状態ともうけの両方を把握できる。
歴史と広がり
複式簿記の仕組みは、15世紀末のイタリアで商人の帳簿の技術として体系的に書物にまとめられたことで広く知られるようになった。いまでは世界中の会社の帳簿がこの考え方で作られており、会計ソフトも内部では借方と貸方の記録を積み上げている。海外の高校の会計科目でも、取引の記録、元帳への転記、試算表の作成という流れで複式簿記を学ぶ例が多い。投資家として決算書を読むだけなら仕訳を自分で切れる必要はないが、「資産が増えた理由が必ずどこかに書かれている」という原則を知っていると、貸借対照表と損益計算書のつながりが理解しやすくなる。
日本では、商業高校の科目「簿記」や、民間の検定試験などで複式簿記を学ぶ人が多い。会計を仕事にしない人でも、借方と貸方が同じ額になるという原則だけを押さえておくと、ニュースで聞く「債務超過」や「減損」が貸借対照表のどこを動かすのかを想像しやすくなる。原則を知るだけでも十分役に立つ。
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