黒字倒産

リスク管理
よみ:くろじとうさん
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛) 編集方針
🗂 投資戦略・リスクを管理する ★★ 標準

「黒字倒産」とは

決算では利益が出ているのに、支払いに必要な現金が足りなくなって倒産すること。利益と現金のずれが原因で起きる。

📌 投資判断のポイント

利益は出ているのに支払いに必要な現金が尽きて倒産すること。売掛金や在庫が急に膨らむ成長局面で起きやすく、営業キャッシュフローの赤字が続くことが兆しになる。

黒字倒産はどういう仕組み?

会計では、商品を引き渡した時点で売上と利益を計上する。代金の回収が3か月後なら、その間の帳簿上の利益は現金を伴わない。仕入代金や給料、借入金の返済は期日どおりに出ていくため、売上が急に伸びて売掛金と在庫が膨らむ局面ほど、手元の現金は減りやすい。支払期日に現金を用意できず手形が不渡りになったり、取引先や金融機関への支払いが止まったりすると、利益が出ていても事業を続けられなくなる。

黒字倒産の具体例と注意点は?

月に1,000万円売れる会社が、受注増で月2,000万円に売上を伸ばしたとする。仕入れは翌月払い、売上の回収は3か月後なら、増えた売上分の仕入代金を先に払い続けることになり、数千万円の資金が一時的に寝てしまう。利益率が高くても、その間の資金を借入などで用意できなければ行き詰まる。

兆しを見つけるには

損益計算書の利益が増えているのに、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローがマイナスの年が続く、売掛金や在庫の増え方が売上の伸びを大きく上回る、短期借入金が急に増える、といった組み合わせが警戒信号になる。いずれも単独では断定できないので、注記や決算説明で理由を確認する。

個人の家計にも通じる考え方

黒字倒産の仕組みは、家計にも当てはまる。年収が十分あっても、住宅ローンの返済日にボーナスの支給が間に合わなければ、一時的に支払いが苦しくなる。会社も同じで、もうけの大きさと、支払いの日に手元に現金があるかは別の問題である。会社が手元に月商の1〜2か月分程度の現金を置くよう意識するのは、回収の遅れや急な支出に備えるため。決算書を読むときは、利益の額だけでなく、現金及び預金の残高と月々の売上の大きさを比べて、何か月分の支払いに耐えられるかを考える習慣をつけるとよい。

資金繰りの余裕を見る簡単な目安として、現金及び預金を月商(年間売上高÷12)で割った手元流動性比率がある。たとえば年商24億円で現金が4億円なら、月商2億円の2か月分。比率の適正水準は業種によって異なるが、急に下がっている場合は理由を確かめたい。利益と現金は別物だと覚えておくだけで、決算書の見え方は変わる。

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