「移行リスク」とは
脱炭素へ社会が移っていく過程で、規制や技術、市場の変化によって企業の価値が損なわれるリスクです。
📌 投資判断のポイント
脱炭素へ社会が移る過程で、規制や技術、市場の変化によって企業価値が損なわれるリスク。政策・技術・市場・評判の四つに整理され、災害被害そのものを指す物理的リスクとは区別される
詳しい仕組み・意味
気候に関連するリスクは、災害そのものによる被害を指す物理的リスクと、社会の移行に伴う移行リスクに大きく分けられます。移行リスクの内訳は四つに整理されるのが一般的で、炭素税や排出規制の導入といった政策・法規制リスク、代替技術の登場で既存設備が陳腐化する技術リスク、顧客の選好が変わって需要が減る市場リスク、環境対応の遅れが不買や採用難につながる評判リスクです。時間軸が長く、いつどの程度の規制が入るかが読みにくい点に特徴があります。金融機関にとっては、融資先が受ける影響が信用リスクとして跳ね返ってくる経路も重要です。
具体例・注意点
炭素税が導入されれば、排出量の多い企業ほどコストが増えます。内燃機関から電動化への転換が進めば、エンジン部品に特化した設備や技術は価値を失います。投資家の側では、こうした影響が財務にどう表れるかを見るため、企業の開示情報や気候関連のシナリオ分析を参照します。注意したいのは、移行リスクが高い企業を一律に避ければよいとは限らないことです。移行を先取りして設備を入れ替える企業には投資機会が生まれる面もあり、対応の進み具合と価格に織り込まれた度合いの両方を見る必要があります。移行が遅れれば物理的リスクが増える関係にもあります。
関連用語
環境規制や技術の変化で想定より早く価値を失い、投資を回収できなくなる資産。石炭火力や油ガス田の権益が代表例で、会計上は減損損失として一度に計上され自己資本を削ることがある
温室効果ガス排出量のうち、調達や輸送、販売した製品の使用など自社の外で起きる分を指す区分。15のカテゴリに整理され、多くの企業では排出の大半を占めるが、算定範囲や手法が企業ごとに違う
実態が伴わないのに環境へ配慮しているように見せかける表示や説明。金融商品の名称と中身のずれとしても現れるため、数字と期限、第三者の検証、削減対象の範囲の三点で確かめるのが手がかりになる
カントリーリスクプレミアムは新興国株式・債券の適正割引率の核心。格付け変化・政変・制裁などでCRPが急上昇すると株価が急落するリスクがある。ダモダラン教授のCRPデータベースを定期参照し、投資先国のリスク水準の変化をバリュエーションモデルに反映させることが重要だ。
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