安定調達比率

リスク管理
よみ:あんていちょうたつひりつ
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛 編集方針
🗂 投資戦略・リスクを管理する ★★ 標準

「安定調達比率」とは

銀行が長く保有する資産に対して、腰の据わった資金をどれだけ手当てできているかを測る規制上の比率です。

📌 投資判断のポイント

長く抱える資産に対して安定した資金をどれだけ手当てできているかを測る比率。日本では国際統一基準行に適用され、2021年9月期から100%以上の維持が求められる。

安定調達比率はどういう仕組み?

バーゼルIIIで導入された流動性規制のひとつで、利用可能な安定調達額を所要安定調達額で割って求めます。分子は自己資本や残存期間1年以上の負債、個人や中小企業からの預金など、簡単には逃げていかない資金です。分母は、貸出金や流動性の低い有価証券など、長く抱えることになる資産です。それぞれの項目には性質に応じた掛け目が設定されており、自己資本や1年以上の負債は100%、個人や中小企業の預金は90〜95%、残存6か月未満の金融機関からの借入は0%といった具合に重みづけされます。日本では国際統一基準行に適用され、2021年9月期から100%以上を維持することが求められています。

安定調達比率の具体例と注意点は?

個人投資家がこの比率を直接使う場面はほとんどありませんが、銀行がなぜ個人の預金を重んじるのかを説明する数字ではあります。市場からの短期調達より個人預金のほうが安定調達として高く評価されるため、預金基盤の厚さが規制上も価値を持つ構造になっています。逆にいえば、短期の市場調達に頼って長期の貸出や有価証券を積み上げる経営は、この比率の側から抑制がかかります。2008年の世界的な金融危機では、自己資本は足りているのに資金繰りが続かず立ちゆかなくなる例が相次ぎました。その反省から、自己資本の規制とは別に流動性の規制が置かれたという経緯があります。国内業務に限る国内基準行には適用されないため、すべての銀行が同じ物差しで測られているわけではない点も押さえておきましょう。

出典: 金融庁「流動性比率規制(第1の柱・第3の柱)に関する告示等の概要」金融庁「自己資本比率規制等(バーゼル規制)について」

流動性カバレッジ比率との違い

流動性カバレッジ比率は、資金流出が集中する30日間を高品質の流動資産で乗り切れるかを見る、短期のストレス耐性の指標です。安定調達比率が見るのは1年という時間軸で、短期の資金に頼って長期の資産を持ちすぎていないかという構造の問題を扱います。短距離走と長距離走の両方を測っている、と考えると整理しやすくなります。

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