「棚卸資産」とは
販売するために持っている商品や、製造途中の製品・原材料など、在庫の総称です。
📌 投資判断のポイント
販売のために持つ商品・製品・仕掛品・原材料などの総称で、貸借対照表の流動資産に計上される。期末の評価額が売上原価と利益を左右する。売上が伸びないのに増えているなら売れ残りを疑う。
棚卸資産はどういう仕組み?
棚卸資産には、仕入れた商品、自社で作った製品、製造途中の仕掛品、原材料、事務用品などの貯蔵品が含まれます。貸借対照表では流動資産に計上され、一般に「在庫」と呼ばれるものに当たります。
期末に残っている在庫の額は、売上原価の計算に直結します。期首の在庫に当期の仕入れを足し、期末の在庫を差し引いた額が売上原価になるため、期末の在庫の評価額が大きいほど、その期の利益は大きく計算されます。販売できる見込みの価格が帳簿の額を下回ったときは、帳簿の額を切り下げて損失を計上します。
棚卸資産の具体例と注意点は?
売上が伸びていないのに棚卸資産が膨らんでいる場合は、売れ残りが積み上がっている可能性があります。売上原価を棚卸資産で割った棚卸資産回転率が下がっていないかを確かめます。
業種によって適正な在庫の水準は大きく違います。小売業は回転が速く、長い製造期間を要する機械や不動産の業種では在庫が大きくなりがちなので、同業他社や過去の水準と比べて判断します。
在庫を多めに持つことが、すべて悪いわけではありません。部品の調達が滞るおそれがある時期には、あえて在庫を積み増して生産の停止を防ぐ企業もあります。増えた理由を決算説明資料で確かめてから、良し悪しを判断します。棚卸資産の評価方法には先入先出法や移動平均法などがあり、どれを選ぶかで利益の額が変わります。
売上原価との関係を数値でみる
期首の在庫が100万円、期中の仕入れが500万円、期末の在庫が150万円なら、売上原価は100万円+500万円-150万円=450万円です。売上高が600万円なら売上総利益は150万円になります。
ここで期末の在庫を評価し直して120万円に切り下げると、売上原価は480万円に増え、売上総利益は120万円に減ります。在庫の評価額が30万円変わると、利益も同じ30万円だけ動くということです。決算期末に在庫の評価損が計上されると利益が急に減るのは、この仕組みによります。同じ売上でも期末の在庫をどう評価するかで利益が変わるため、決算を読むときは棚卸資産の評価方法と評価損の有無を注記で確かめます。評価方法を途中で変えた年は、前の年との比較に注意が要ります。
関連用語
棚卸資産回転率は在庫が売上に変わる速さを見る指標。需要鈍化のサインにもなる。
在庫が売れるまでの平均日数。棚卸資産を1日あたりの売上原価で割って求め、売上債権や仕入債務の期間と合わせて資金が拘束される長さを測れる。
事業を回すために立て替える手元資金で、流動資産−流動負債で表す。売掛金と在庫が膨らむほど利益が出ていても現金は苦しくなり、黒字倒産の原因にもなる。利益だけでなく運転資本の推移と営業キャッシュフローを併せて確認したい。
仕入れた商品や原材料の代金のうち未払いの額で、貸借対照表の流動負債に計上される。支払手形と合わせて仕入債務と呼ぶ。売上が伸びないのに買掛金だけが増えるなら資金繰りの悪化を疑う材料になる。
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