「会計方針の変更」とは
会社がそれまで使っていた会計の処理方法を、別の認められた方法に切り替えること。新しい会計基準の適用によるものと、会社が自ら変えるものがある。
📌 投資判断のポイント
それまでの会計の処理方法を別の方法へ切り替えること。過去の数字にもさかのぼって当てはめるのが原則で、前の年と比べる前に注記で影響額を確かめたい。
会計方針の変更はどういう仕組み?
会計の方法は、毎年同じものを使い続けるのが原則である。方法が毎年変わると、前の年と比べても意味がなくなるからだ。ただし、新しい会計基準ができた場合や、より適切な方法があると判断した正当な理由がある場合には変更が認められる。日本では企業会計基準第24号に基づき、変更した場合は過去の決算書にもさかのぼって新しい方法を当てはめる「遡及適用」が原則とされ、変更の内容や理由、影響額を注記で説明する。
会計方針の変更の具体例と注意点は?
在庫の評価方法を変えると、同じ年でも利益の額が変わる。前の年より利益が増えたように見えても、その一部が方法の変更によるものなら、本業の実力が上がったとは言い切れない。決算書を前の年と比べるときは、注記に会計方針の変更が書かれていないか、変更の影響額がどれくらいかを確かめたい。見積りを変えた場合は「会計上の見積りの変更」として扱いが別になる点にも注意する。
見積りの変更・誤謬の訂正との違い
企業会計基準第24号は、会計上の変更を「会計方針の変更」「表示方法の変更」「会計上の見積りの変更」に分け、過去の誤りを直す「誤謬の訂正」とも区別している。会計方針の変更は過去にさかのぼって当てはめるが、見積りの変更は変更した年度以降に反映させる。誤謬の訂正は、過去の決算書を正しい数字に直して示す(修正再表示)。同じ「数字が変わった」でも意味がまったく違うので、注記の見出しを確かめることが大切である。
数値でみる
企業会計基準第24号は、2011年4月1日以後に開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更と過去の誤謬の訂正から適用されている。それ以前は、方針を変えても過去の決算書を作り直さないのが一般的だったため、比べやすさが大きく改善した。
投資家が気をつけたいこと
会計方針の変更が行われた年は、決算短信や有価証券報告書に変更の影響額が書かれる。前の年より営業利益が5億円増えていても、そのうち3億円が方針の変更による影響なら、本業の伸びは2億円にとどまる。会社の説明が変更の影響を除いた数字で語られているか、変更の理由が納得できるものかを確かめておきたい。業績が苦しい時期に、利益が増える方向の変更が続く場合は特に慎重に見る。
関連用語
在庫の評価や減価償却、引当金、売上の計上時点など、決算書づくりで会社が選んだ主な会計の方法を示す注記。同業他社と比べる前に前提の違いを確かめるのに役立つ。
引当金や減損など、確定していない金額を決算時点の情報で算出すること。前提次第で利益が大きく動くため、注記で主な仮定を確かめておきたい。
財務諸表の作り方を定めた共通ルール。日本の上場会社は日本基準・米国基準・IFRS・修正国際基準の4つから選べ、基準が違えばのれんの扱いなどで利益の額も変わる。
日本の多くの上場企業が使う決算書のルール。経常利益の区分や、のれんを毎年償却する点がIFRSと違うため、基準の異なる会社を比べるときは利益の見え方の差に注意したい。
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