確定申告をした後、あるいは自動車税や固定資産税の通知が届いた後に、いざ払おうとして手が止まる。銀行の窓口まで行くのか、コンビニで済むのか、カードで払ってポイントを付けたほうが得なのか。 以前は納付書が郵送で届いたので迷う余地がありませんでしたが、いまはその納付書自体が届かないことがあります。

結論から書くと、手数料がかかるのはクレジットカード納付だけで、それ以外の方法はすべて無料です。 そのうえで方法を絞り込む条件は、納める金額が30万円を超えるかどうかと、いつ口座からお金が出ていくかの2つに整理できます。この記事では、国税庁と総務省の公表資料にある手数料・上限・期日の数字だけを使って、その線引きを示します。

国税と地方税の納付方法を、振替納税・ダイレクト納付・インターネットバンキング・クレジットカード・スマホアプリ・コンビニの6つに分け、手数料と上限額、向いている人を並べて比較した図解
手数料がかかるのはカード納付だけ。あとは上限額と期日で絞り込めます。

この記事でわかること

  • 納付書が郵送で届かなくなった理由と、その影響
  • クレジットカード納付の手数料が具体的にいくらになるか
  • 30万円を超えると選べなくなる方法はどれか
  • 振替納税ダイレクト納付の違いと、使い分けの基準
  • 領収証書が出ない方法で、納付を証明する手立て

結論|無料の方法から選び、カードは還元率を確かめてから

納付方法は6つに整理できます。振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付です。 このうち手数料が発生するのはクレジットカード納付だけで、国税庁は納付税額1円から10,000円までの区分で決済手数料99円(税込)と定め、以降10,000円を超えるごとに同額が加算されるとしています。実質的な負担率は0.99パーセントです。

したがって判断は単純です。まず無料の方法で払えないかを考え、それでもカードを使うなら、そのカードの還元率が0.99パーセントを超えているかを確かめる。 超えていなければ、支払う手数料のほうがポイントより大きくなります。カードそのものの選び方はクレジットカードの選び方|年会費・還元率・国際ブランドの決め方にまとめています。

納付書は、もう届かないことがある

前提として押さえておくべき変更があります。国税庁は納税・納税証明書手続のページで、「令和6年5月以降に送付する分から、納付書の事前の送付を取りやめることとしております」と告知しています。 さらに国税の納付手続のページにも「申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせはありませんのでご注意ください」と書かれています。

つまり、届いた紙を持って窓口へ行くという流れが標準ではなくなりました。納付方法を自分で選び、自分で手続きを起こす必要があります。 一方で地方税は事情が違い、住民税や固定資産税、自動車税は自治体から納税通知書が届きます。この違いを混同すると、国税だけ払い忘れるということが起こります。住民税の通知の読み方は住民税決定通知書の見方|ふるさと納税・副業・控除が反映されたか確認する方法で扱っています。

6つの方法を、手数料と上限で並べる

方法手数料上限額事前の手続き
振替納税不要制限なし依頼書の提出
ダイレクト納付不要口座残高まで届出書の提出
インターネットバンキング不要金融機関による電子申告の利用
クレジットカード納付0.99パーセント1,000万円未満不要
スマホアプリ納付不要30万円以下残高のチャージ
コンビニ納付不要30万円以下二次元コードの作成

金額の大きい納付ほど、選べる方法が減ります。30万円を超えると、無料で使えるのは振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキングの3つに絞られ、いずれも事前の手続きが必要です。 逆に言えば、事前の手続きを済ませていない状態で高額を納めようとすると、手数料のかかるカード納付しか残らないということになります。

クレジットカード納付は、金額を入れて計算してから決める

国税のクレジットカード納付は、納付受託者である株式会社エフレジが運営する専用サイトを経由して行います。利用できるのはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubで、1度の手続きにつき1,000万円未満かつカードの決済可能額以下(決済手数料を含む)が上限です。

30万円を納めるときの損得

決済手数料は10,000円ごとに99円なので、30万円なら99円×30=2,970円です。還元率1.0パーセントのカードなら付与されるのは3,000円相当で、差し引き30円だけ有利になります。 還元率0.5パーセントのカードなら付与は1,500円で、1,470円の持ち出しです。なお国税庁は「決済手数料は、国の収入になるものではありません」と明記しています。手数料は納付受託者が受け取るものです。

もうひとつ、税金の納付をポイント付与の対象外としているカードや、付与率を下げているカードがあります。申し込む前に、そのカードの規約で税金の扱いを確認してください。 ポイントをどこまで一社に寄せるかという判断そのものはポイント経済圏はどこまで寄せるか|集中して得るものと失うもので整理しています。

カード納付には制度上の注意点もあります。国税庁は、納付手続が完了するとその取消しはできず、納付済みとなった国税について納税の猶予等を受けることはできないとしています。資金繰りが厳しい状況でカードを使うと、後から猶予を申請する道が閉じます。

30万円の壁|スマホアプリ納付とコンビニ納付

スマホアプリ納付は、納付税額が30万円以下の場合に使えます。決済手数料はかからず、その代わりアカウント残高を使った支払いに限られるため、事前のチャージが必要です。 令和7年2月1日から、専用サイトへのアクセス方法は電子申告を経由する形に集約されました。国税庁は上限について「30万円を超える税額の納付には、他のキャッシュレス納付手段であれば一度で手続を終えることができ大変便利です」として、分割しての納付を控えるよう求めています。

コンビニ納付(二次元コード)も上限は30万円以下で、手数料はかかりません。使えるのはローソン、ナチュラルローソン、ミニストップのLoppi設置店舗と、ファミリーマートのマルチコピー機設置店舗です。 ただし店頭での支払いは現金に限られ、クレジットカードや電子マネーは使えません。事前に確定申告書等作成コーナーなどで二次元コードを作り、印刷するか画面に表示して持ち込みます。

口座から落とす2つの方法は、性格が違う

振替納税は、本人名義の預貯金口座から自動で引き落とす方法です。手数料はなく、金額の上限もありません。対象は所得税と、個人事業者の消費税に限られます。 特徴は引き落とし日が納期限より後にくることです。令和7年分の所得税は納期限が令和8年3月16日、振替日が令和8年4月23日でした。消費税は納期限が令和8年3月31日、振替日が令和8年4月30日です。約5週間、手元に資金を置いたままにできます。

ダイレクト納付は、電子申告の受信通知から金額と日付を指定して引き落とす方法です。こちらは税目を選ばず使え、納期限までの好きな日を指定できます。 ただし利用開始まで時間がかかります。国税庁によれば、届出書をオンラインで提出した場合は1週間程度、書面で提出した場合は1か月程度です。農業協同組合や漁業協同組合、一部のインターネット専業銀行では利用できません。

どちらも便利ですが、期限が延びるわけではない点は共通しています。振替日に残高が足りなければ、法定納期限の翌日にさかのぼって延滞税が計算されます。 退職した年のように翌年の納税額が読みにくい場合は、あらかじめ資金を分けておく必要があります。その考え方は退職後にかかる住民税|退職翌年の支払いに備える方法が参考になります。

地方税は、納付書に印刷されたコードから始まる

住民税、固定資産税、自動車税といった地方税は、国税とは別の仕組みで動いています。総務省の報道資料によれば、令和5年4月1日から地方税統一QRコード(eL-QR)を活用した納付が始まりました。 納付書に印刷されたコードをスマホ決済アプリで読み取ればそのまま支払え、地方税お支払サイトで読み取ればクレジットカードやインターネットバンキングが使えます。

この統一によって、対応している金融機関であれば全国どこの窓口でも納付できるようになりました。総務省は導入時点で、都市銀行・地方銀行・ゆうちょ銀行・信用金庫・労働金庫等372機関が対応していると公表しています。 なお地方税のクレジットカード納付は令和5年4月3日から可能になりましたが、地方税共同機構は「納付額に応じて『F-REGI公金支払い』サイトのシステム利用料がかかります」としています。国税と同じく、カードだけは有料です。

領収証書は出ない。納税証明書には時間差がある

キャッシュレスで納めた場合、領収証書は発行されません。振替納税、ダイレクト納付、クレジットカード納付、スマホアプリ納付のいずれも同じです。コンビニ納付では払込金受領証が出ますが、これは領収証書ではありません。 領収証書が必要なら、金融機関または税務署の窓口で納付する必要があります。

もう一点、融資の申し込みなどで納税証明書が要る場合は時間差に注意します。国税庁は、クレジットカード納付やコンビニ納付をした後に納税証明書を請求すると、納付受託者が立替払いを行うまでの間、最大3週間程度は納税証明書にその旨が記載されるとしています。振替納税でも、納付済みの証明が可能になるまで口座引落しから1週間程度かかる場合があります。 住宅ローンや事業資金の審査を控えているなら、納付は早めに済ませておくのが安全です。副業がある方の申告と納付の関係は副業の「20万円ルール」で確定申告は本当に不要か|住民税の落とし穴で扱っています。

まとめ|期日と上限で絞り、カードは最後に検討する

納付方法を選ぶ順序は、金額と期日から入るのが確実です。30万円以下なら、スマホアプリ納付かコンビニ納付で手数料なしに終わります。30万円を超えるなら、振替納税かダイレクト納付、インターネットバンキングのいずれかを事前に用意しておきます。 用意が間に合わずカードを使う場合は、0.99パーセントの手数料と自分のカードの還元率を比べてから決めます。

そして、どの方法を選んでも法定納期限は動きません。振替納税で引き落としが約5週間後になっても、それは支払日が後ろにずれるだけで、期限が延びたわけではないということです。 ふるさと納税のように前年の行動が翌年の税額に影響する仕組みを使っているなら、納付額の見込みも早めに立てておきたいところです。仕組みの全体像はふるさと納税とは何か|仕組み・上限額・ワンストップ特例をやさしく整理にまとめています。

参考資料

本記事は2026年8月27日時点の公開情報をもとに作成しています。手数料や上限額、納期限・振替日は改定されることがあるため、納付の前に国税庁および各自治体の最新の公表資料をご確認ください。