ポートフォリオのリバランスはいつ・どうやるか|頻度と方法の決め方

加藤 寛
加藤 寛
代表取締役 / コンテンツプロデューサー
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株式60%・債券40%で積立を始めて1年。株式が大きく上がった年の終わりに残高を見ると、株式75%・債券25%になっていた。資産は増えているのに、これで本当にいいのでしょうか。

値上がりした資産は比率が膨らみ、値下がりした資産は縮みます。放っておくと、最初に決めた配分から少しずつずれていくんです。このずれを元に戻す作業をリバランスといいます。やりすぎれば手間とコストが増え、まったくやらなければ想定より大きなリスクを取ることになります。

値上がりで比率が膨らんだ資産を売り、比率が縮んだ資産を買い増して配分を戻すリバランスの手順を表で示した図解
リバランスは「儲けを増やす作業」ではなく、取っているリスクを当初の想定に戻す作業です。

この記事で分かること

  • リバランスの目的が「リスクを戻す」ことである理由
  • 頻度の決め方(年1回か、±5ポイントのずれか)
  • 売らずに戻す方法と、売るときの税金の注意
  • NISA・iDeCoでのやり方の違い

結論|年1回、または目標から±5ポイントずれたら戻す

リバランスは、儲けるためではなく、取りすぎたリスクを戻すための作業です。冒頭の株式75%の状態では、最初に「ここまでなら耐えられる」と決めた水準を超えていて、次に相場が下がったときに想定より大きな金額が減ります。

個人の資産形成なら、年1回の見直しを基本に、目標から±5ポイント以上ずれた年だけ追加で動く形が現実的です。戻すときは、まず毎月の積立配分の変更で、次に非課税口座の中で、最後に課税口座の売却で、という順番で考えます。結果としてリターンが良くなることもありますが、それはおまけと考えておくと判断がぶれません。

頻度は「時間」か「ずれの幅」で決める

実行するタイミングの決め方は、大きく2つあります。

方式ルールの例向いている人
時間基準年1回、決めた月に見直す相場を見る時間を取りたくない人
乖離幅基準目標比率から±5ポイント以上ずれたら実行大きく動いたときだけ動きたい人
併用年1回確認し、ずれが小さければ何もしない手間と精度のバランスを取りたい人

頻度を上げるほど配分は正確に保てますが、売買のたびにコストがかかり、課税口座なら税金も出ます。実行する月は「相場が良さそうな月」ではなく、誕生月や年末、ボーナス月など、毎年必ず思い出せる月に固定しておきましょう。

まずは売らずに戻す

リバランスというと売却を思い浮かべますが、積立を続けている人には売らずに戻す方法があります。毎月の積立額の配分を変えて、比率が減った資産を多めに買うやり方で、ノーセル・リバランスと呼ばれます。

  • 売却しないので、課税口座でも税金が発生しない
  • 売買手数料や信託財産留保額の負担が生じにくい
  • NISAの非課税枠を売却で消費しない

ただ、資産が大きくなるほど、毎月の積立額だけではずれを埋めきれなくなります。積立額に比べて保有額が大きくなってきたら、売却を伴うリバランスも選択肢に入れます。

売るなら、税金と口座の違いを先に見る

課税口座(特定口座・一般口座)で値上がりした投資信託を売ると、その利益に税金がかかります。配分を整えるためだけに売るのは、税金の前払いをするのと同じこと。複利で運用を続けるなら、小さくない差になり得ます。だからこそ、次の順番で考えると無駄が減ります。

  1. まず積立配分の変更(ノーセル)で戻せないか考える
  2. それでも足りなければ、非課税口座の中での入れ替えを検討する
  3. 最後に、課税口座での売却を検討する

口座ごとの税金の扱いは「特定口座・一般口座・NISAの違い」で整理しています。

口座リバランスの扱い注意点
課税口座売却益に課税される税金の前払いになる
NISA売却益は非課税買い直しにはその年の投資枠が必要
iDeCoスイッチング(預け替え)が可能売却時点での課税はない

NISAで売った分の非課税保有限度額は翌年以降に復活しますが、その年のうちにすぐ買い直せるとは限りません。考え方は「NISAの売却ルールと非課税枠の復活」にまとめています。

iDeCoには、持っている商品を別の商品に預け替える「スイッチング」と、これからの掛金の配分を変える「配分変更」があり、別々の手続きです。積み上がった資産の比率を直したいならスイッチング、これから買う分を変えたいなら配分変更を使います。

実行前の6つの手順

  1. 目標比率を書き出す:そもそも何%にしたかったのかを確認する
  2. 全口座の残高を合計する:口座をまたいだ実際の比率を出す
  3. ずれの大きさを見る:数ポイントなら何もしない判断も正しい
  4. 売らずに戻せるか考える:積立配分の変更で足りるかを先に検討する
  5. 売る場合は口座を選ぶ:非課税口座を優先し、課税口座は最後に考える
  6. 目標比率そのものを見直す:年齢や使う時期が変われば、目標も変わってよい

2番目は見落としやすいところです。NISA、iDeCo、企業型DC、課税口座に分かれていると、合計の比率が分からなくなります。年に1回、すべての口座の残高を1枚の表に書き出すだけで、判断がずっと楽になるでしょう。

6番目も忘れられがちです。50代以降で使う時期が近づいたなら、比率を戻すのではなく、守る資産そのものを厚くする判断もあります。年代別の考え方は「老後に向けた資産配分の考え方」を参照してください。

ここは誤解しやすいポイント

  • 値上がりしたものを売り、値下がりしたものを買うので、感覚的にはやりにくい作業です。「もっと上がりそうだから売らない」はルールの放棄になります
  • 下落時にやめてしまうと、本来いちばん効く場面で実行できていないことになります。逆に毎月の微調整はコストばかり増えます
  • 生活防衛資金の現金や預金まで含めて比率を計算すると、配分を見誤ります
  • リバランスの効果は売買のうまさではなく、決めたことを続けられるかで決まります。値上がりしたものを売る行動は、そのときの気分に任せると実行できません

まとめ|ルールを先に決めておく

  • 年1回、または目標から一定以上ずれたときに実行する
  • まず積立配分の変更で戻せないか考える
  • 売るなら非課税口座を優先し、課税口座は最後にする

よくある質問

Q. リバランスはどのくらいの頻度で行うべきですか?
年1回を基本にし、目標比率から一定以上ずれた年だけ追加で対応する形が現実的です。頻度を上げるほど配分は正確に保てますが、売買コストがかかり、課税口座では税金も発生します。実行する月は忘れにくい月に固定しておくと続けやすくなります。
Q. 売らずにリバランスする方法はありますか?
積立を続けている場合、毎月の積立額の配分を変えて、比率が減った資産を多めに買う方法があります。売却しないため課税口座でも税金が発生せず、NISAの非課税枠も消費しません。ただし資産規模が大きくなると、積立額だけではずれを埋めきれなくなります。
Q. リバランスをすると利益は増えますか?
増えることもありますが、それは副産物です。主な目的は、自分が決めたリスクの範囲内に配分を戻すことです。値上がりしたものを売る行動は感覚的にやりにくいため、あらかじめルールを決めておくことが重要になります。
Q. NISAとiDeCoではリバランスの方法が違いますか?
違います。NISAは売却益が非課税ですが、買い直しにはその年の投資枠が必要です。iDeCoには保有商品を預け替えるスイッチングと、今後の掛金の配分を変える配分変更があり、この2つは別の手続きです。課税口座では売却益に課税されます。
Q. 複数の口座に分かれている場合はどうしますか?
NISA、iDeCo、企業型DC、課税口座に分散していると全体像が見えなくなります。年に1回、すべての口座の残高を1枚の表に書き出して合計の比率を出してください。なお、生活防衛資金は投資の配分計算には含めません。

参考資料

本記事は2026年6月10日時点の公開情報をもとに作成しています。 制度・商品内容・手数料は変更される場合があります。 実際の売買や口座内の手続きの前には、金融機関の最新の案内をご確認ください。

⚠️ 本記事のご利用にあたって

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。

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この記事の著者
加藤 寛
加藤 寛
代表取締役 / コンテンツプロデューサー

「人が学ぶ喜びを取り戻す」を信念に25年以上教育・組織変革を牽引。累計指導実績3万人超。株式会社インカムアップ代表取締役。投資・資産形成の本質を平易に解説し、多くの初心者投資家の道標となっている。

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