親の介護が始まると、「使える制度はないか」と調べる人は多いでしょう。ところが、介護のお金で本当に難しいのは制度名を知ることではありません。いつ申請するかです。

要介護認定は介護サービスを使う入口です。住宅改修は原則として工事前の申請が必要です。施設の食費・居住費を軽減する負担限度額認定は利用前に確認します。一方、高額介護サービス費は1か月の支払い後、医療・介護合算は8月から翌年7月までの1年間を単位に確認します。

この記事では、親の介護に関係する主な公的制度を、介護が始まる前、サービス利用前、毎月の支払い後、年単位、家族が仕事を休むときの順に整理します。細かな金額より、「いつ、どこへ、何を確認するか」をつかむことが目的です。

この記事でわかること

  • 最初に相談する窓口と要介護認定の時期
  • 住宅改修を工事前に申請する理由
  • 施設利用前に確認する負担限度額認定
  • 高額介護サービス費を月単位で確認する方法
  • 医療・介護合算を年単位で確認する理由
  • 介護休業給付を休業前から準備する順番

先に結論|介護制度は5つの時点に分ける

確認時期主な制度最初の確認先
困り始めたとき要介護・要支援認定親の市区町村・地域包括
購入・工事・入所前福祉用具、住宅改修、負担限度額市区町村・ケアマネジャー
毎月の支払い後高額介護サービス費市区町村
8月〜翌7月の1年後高額医療・高額介護合算医療・介護保険窓口
家族が休業するとき介護休業・介護休業給付勤務先・ハローワーク
介護のお金は、制度の金額より先に「支払う前の申請か、支払った後の申請か」を分けると整理しやすくなります。
親の介護で使う制度を困り始めた時、購入・工事・入所前、毎月の支払い後、年単位、家族の休業時に分けた申請タイミング図解
▲ 支払う前に必要な手続きと、支払い後に確認する給付を分けます。

困り始めたら|地域包括支援センターへ相談する

親の生活に支障が出始めたら、最初の相談先は親が住んでいる市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターです。地域包括支援センターは、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防などを支援するため、市町村が設置する機関です。

「まだ介護というほどではない」という段階でも相談できます。転倒が増えた、服薬管理が難しい、買い物や入浴に不安がある、退院日が決まったなど、具体的な困りごとと期限を伝えます。

子どもが遠方に住む場合も、相談先は原則として親の住所地です。親の住所、介護保険被保険者証、かかりつけ医、困っていることを整理します。

制度名を指定するより、「入浴と買い物に困っている」「来月退院する」と生活上の問題を伝える方が相談が進みます。

介護サービスの入口|要介護認定は早めに申請する

介護保険サービスを利用するには、原則として要介護または要支援の認定が必要です。申請後、認定調査、主治医意見書、一次判定、介護認定審査会の二次判定を経て結果が通知されます。

通知は原則として申請から30日以内ですが、調査や主治医意見書の状況で時間がかかる場合があります。退院日や家族の休業開始日が決まってからではなく、必要性が見えた段階で相談します。

認定前に暫定利用できる場合もありますが、非該当や想定より低い認定なら自己負担が増える可能性があります。急ぎの場合も自己判断で契約せず、地域包括支援センター、市区町村、ケアマネジャーへ確認します。

工事前|住宅改修は先に契約・着工しない

手すりの取り付け、段差の解消、床材や扉の変更などは、介護保険の住宅改修費の対象になる場合があります。ただし、原則として工事前に市区町村へ申請書類を提出します。

先に契約・着工すると、必要性や対象工事の確認ができず、給付を受けられない可能性があります。ケアマネジャー等へ相談し、見積書、改修前写真、理由書など自治体が求める書類を確認します。

住宅改修の基本順序

  1. 本人の状態と生活動線を確認
  2. ケアマネジャー等へ相談
  3. 見積書と必要書類を準備
  4. 市区町村へ事前申請
  5. 自治体の確認後に工事
  6. 工事後書類を提出
住宅改修は「工事後に領収書を出せばよい」と考えず、契約・着工前に自治体の手順を確認します。

購入前|福祉用具は貸与・購入・対象外を分ける

車いすや特殊寝台などは貸与、腰掛便座や入浴補助用具などは特定福祉用具販売の対象になり得ます。ただし、要介護度、品目、身体状態、指定事業者の利用など条件があります。

通販や一般店で先に購入すると給付対象にならないことがあります。購入前にケアマネジャー、福祉用具専門相談員、市区町村へ、対象品目、指定事業者、支払方式、申請書類を確認します。

施設利用前|負担限度額認定を確認する

介護保険施設やショートステイでは、介護サービス費に加え、食費・居住費または滞在費がかかります。所得や資産等が一定以下なら、負担限度額認定で負担が軽減される場合があります。

自動適用ではなく、市区町村への申請と認定証の提示が必要です。本人と配偶者の所得・預貯金等を確認する書類が求められることがあります。

施設を検討し始めた段階で、対象要件、必要書類、有効期間、更新時期を確認します。施設だけでなく親の市区町村にも確認し、見積もりは認定あり・なしの両方で取ります。

毎月の支払い後|高額介護サービス費を確認する

1か月の介護保険サービス利用者負担が、所得区分に応じた上限を超えた場合、超過分が高額介護サービス費として支給されることがあります。申請先は市区町村です。

食費・居住費、日常生活費、福祉用具購入費、住宅改修費、支給限度額超過分など、対象外の費用があります。支払総額がそのまま合算されるわけではありません。

市区町村から案内が届く場合もありますが、初回後の自動振込などは自治体により異なります。利用者負担が増えた月は、案内を待つだけでなく窓口へ確認します。

医療費も多い年|高額医療・高額介護合算を確認する

同じ医療保険上の世帯について、毎年8月1日から翌年7月31日までの医療保険と介護保険の対象自己負担を合計し、基準額を超えた場合に支給される制度です。

月ごとの高額療養費や高額介護サービス費を適用した後の負担を年単位で確認します。親子が同居していても医療保険が別なら、同じ合算単位にならない場合があります。年度途中で保険が変わると自己負担額証明書等が必要になることがあります。

受付時期や申請先は医療保険・介護保険の窓口へ確認します。領収書や通知を月別に保管し、毎年7月末を過ぎたら対象可能性を確認します。

家族が仕事を休む前|介護休業と給付を同時に確認する

介護休業給付の詳細は、介護離職を防ぐ制度で解説しています。

申請が休業終了後でも、準備は休業前です。勤務先へ対象家族、休業期間、雇用保険、休業中の賃金、必要書類、申請担当者を確認します。

申請期限は原則として介護休業終了日の翌日から2か月後の月末までです。退職すると家計への影響が大きいため、退職届を出す前に勤務先、地域包括支援センター、ハローワークへ相談します。

「親のお金」と「子のお金」を分ける

公的制度を使っても介護費がすべてなくなるわけではありません。まず親本人の年金、預貯金、保険、住まいからどこまで負担できるか確認し、不足分と手続きの分担を家族で話し合います。

子どもが立て替える場合は、日付、目的、金額を記録します。兄弟姉妹では金銭負担と通院・手続きなどの時間負担を分けて見える化します。

親の判断能力低下に備える口座・後見の準備は、親が認知症になる前に考えるお金の管理を確認してください。

介護費の内訳は、親の介護費はいくらかかるのかで整理しています。

申請漏れを防ぐ家族の管理表

  • 制度名と対象者
  • 相談先・担当者・電話番号
  • 申請前にしてはいけないこと
  • 申請日、受付番号、提出書類
  • 認定結果と有効期間
  • 更新申請を始める日
  • 毎月の自己負担額
  • 還付・給付の振込口座と振込日
  • 兄弟姉妹の担当

介護保険被保険者証、負担割合証、負担限度額認定証、ケアプラン、領収書、医療保険通知の保管場所も家族で共有します。

この記事のまとめ

  • 最初の相談先は親の住所地の地域包括支援センターまたは市区町村。
  • 要介護認定は困り始めた段階で相談する。
  • 住宅改修は原則工事前。福祉用具も購入前に確認する。
  • 施設利用前に負担限度額認定を確認する。
  • 高額介護サービス費は月単位、医療・介護合算は8月から翌7月の年単位。
  • 介護休業給付は休業前から準備し、終了後の期限を管理する。
  • 対象・書類・有効期間は自治体、保険者、勤務先で最終確認する。
介護制度を使い切るコツは、「支払う前に確認する制度」と「支払った後に申請する制度」を家族で管理することです。

家族に万一があった後の保障は、遺族年金はいくらもらえるのかも合わせて確認してください。

本記事は2026年7月3日時点の公表情報をもとに作成しています。制度の要件、負担上限、書類、支給方法は改正や自治体・保険者・勤務先の取扱いにより異なる場合があります。実際の手続きは、親の住所地の市区町村、地域包括支援センター、ケアマネジャー、加入する医療保険、勤務先、ハローワークへ確認してください。