親の介護が始まると、仕事を続けられるのか、収入はどうなるのか、家族で誰が動くのかという不安が一気に出てきます。介護費そのものだけでなく、通院付き添い、ケアマネジャーとの面談、役所手続き、急な呼び出しで仕事を休む時間も家計に影響します。

ただ、介護が必要になったからといって、すぐに退職を決める必要はありません。介護休業、介護休暇、短時間勤務等の両立支援制度、介護休業給付金、公的介護保険サービスを組み合わせることで、仕事を続けながら介護体制を整えられる場合があります。

この記事では、介護離職を防ぐために、退職前に確認したい制度と相談先を整理します。親の介護費の記事と合わせて、家族のお金と働き方を同時に見てください。

この記事でわかること

  • 介護離職を決める前に確認する順番
  • 介護休業と介護休暇の違い
  • 介護休業給付金の基本的な考え方
  • 短時間勤務等、仕事と介護を両立する制度
  • 地域包括支援センター、勤務先、ハローワークへの相談先

結論:退職より先に制度と相談先を確認する

介護が始まったときは、最初から「仕事を辞めるかどうか」で考えないことが大切です。次の順番で整理します。

  1. 親の住所地の地域包括支援センターや市区町村へ相談する
  2. 要介護認定、ケアマネジャー、利用できる介護サービスを確認する
  3. 勤務先へ介護休業、介護休暇、短時間勤務等の制度を確認する
  4. 介護休業を取る場合は介護休業給付金を確認する
  5. 休業中・短時間勤務中の収入減少を家計に入れる
介護離職を防ぐには、介護サービスと勤務先制度を同時に確認することが出発点です。
介護離職を防ぐために介護サービス、介護休業、給付金、働き方を順番に確認する図解
▲ 介護離職を防ぐには、休む制度、給付金、働き方、相談先を分けて確認します。

介護休業は体制を整えるためのまとまった休み

介護休業は、対象家族を介護するために、まとまった期間仕事を休める制度です。対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できます。

ここで大切なのは、介護休業を「93日間、自分がすべて介護する期間」と考えないことです。実際には、要介護認定の申請、ケアマネジャーとの相談、介護サービス選び、施設見学、家族分担、親のお金の確認など、長く続く介護体制を整えるために使う視点が重要です。

介護休業中に進めたいこと

  • 要介護認定とケアプランの確認
  • 在宅介護か施設介護かの方向性
  • 通院、買い物、見守り、金銭管理の分担
  • 親の年金、預貯金、保険、介護費の整理
  • 職場復帰後の働き方と勤務時間の調整

介護費の見方は、親の介護費はいくらかかるのかも合わせて確認してください。

介護休暇は短い用事に使いやすい

介護休暇は、通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、役所手続き、介護サービスの契約など、短い用事に使いやすい制度です。

介護休業がまとまった休みであるのに対し、介護休暇は日々の用事に対応するための制度と考えると整理しやすくなります。時間単位で取れる場合もあるため、勤務先の就業規則や申請方法を確認してください。

制度 主な使い方 確認先
介護休業 介護体制を整えるまとまった休み 勤務先・ハローワーク
介護休暇 通院付き添い、面談、手続き 勤務先
短時間勤務等 仕事を続ける働き方の調整 勤務先

介護休業給付金は休業中の収入減を補う制度

介護休業を取ると、給与が減る、または支払われない場合があります。その収入減を補う制度が、雇用保険の介護休業給付金です。

ハローワークは、介護休業給付の支給額を、原則として「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」と説明しています。ただし、これは手取り収入の67%が必ず入るという意味ではありません。雇用保険の被保険者期間、休業中の賃金、就業日数、支給上限額などで変わります。

介護休業給付金は、勤務先とハローワークの手続きで確認します。上限額等は毎年見直されるため、最新情報を確認してください。

給付金を受け取るための主な条件

介護休業給付金は、雇用保険の被保険者が一定の条件を満たして介護休業を取得した場合に対象となります。主な確認点は次のとおりです。

  • 介護休業開始日前の一定期間に、雇用保険の被保険者期間があるか
  • 対象家族が2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態か
  • 対象家族1人につき通算93日・3回までの範囲か
  • 休業期間中の賃金が一定以上支払われていないか
  • 支給単位期間ごとの就業日数が要件内か
  • 勤務先が必要書類をハローワークへ提出できるか

休業中に賃金が支払われる場合、給付金は減額または不支給になることがあります。会社独自の有給扱い、休職制度、介護休暇の賃金扱いも合わせて確認してください。

働き続けるための制度も確認する

介護離職を防ぐ制度は、介護休業だけではありません。仕事を続けながら介護をするために、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、短時間勤務等の措置などがあります。

2025年以降は、介護離職防止のための雇用環境整備、40歳等への早期の情報提供、介護に直面した労働者への個別周知・意向確認も強化されています。勤務先の制度が分からない場合は、人事・総務へ「介護に関する両立支援制度を確認したい」と相談します。

会社に相談することに不安がある場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などの相談先もあります。介護休業等の取得を理由とする不利益取扱いは禁止されています。

家計では収入減少を先に見積もる

介護休業給付金があっても、休業中の収入は通常時より減ることがあります。さらに、交通費、見守りサービス、配食、日用品、家族の宿泊費など、介護保険の対象外になりやすい費用も発生します。

退職してしまうと、給与だけでなく、賞与、厚生年金の加入、健康保険、将来のキャリアにも影響します。介護費と収入減を同じ表に入れ、生活防衛資金をどれだけ使うか確認してください。

投資や貯金との優先順位は、生活防衛資金はいくら必要かも参考になります。

相談先を分ける

  • 介護サービス:親の住所地の地域包括支援センター、市区町村
  • ケアプラン:ケアマネジャー
  • 介護休業・介護休暇:勤務先の人事・総務
  • 介護休業給付金:勤務先、ハローワーク
  • 職場トラブル:都道府県労働局
  • 家計全体:家族、FP、必要に応じて社会保険労務士

介護は、家族だけで抱え込むと続きません。介護サービスの専門家と、職場の制度担当者の両方に早めに相談することが、離職を防ぐ第一歩です。

家族で決めておきたいこと

介護が始まる前後に、家族で次の点を話し合っておくと、仕事との両立を考えやすくなります。

  • 親本人の希望、住まい、医療・介護の状態
  • 通院付き添い、買い物、見守り、手続きの分担
  • 親本人の年金、預貯金、保険、介護費の支払い方
  • 兄弟姉妹や親族で分担できること
  • 仕事を休む人の収入減少と家計への影響
  • 緊急時に誰が連絡を受けるか

親のお金や保険、不動産を含めた整理は、相続の前に家族で話しておきたいお金のことにもつながります。

まとめ

介護離職を防ぐには、退職を決める前に、介護保険サービス、介護休業、介護休暇、短時間勤務等、介護休業給付金を順番に確認することが大切です。

介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できる制度です。介護休業給付金は、一定要件を満たす雇用保険の被保険者が介護休業を取得した場合に対象となり、支給額は原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算されます。

ただし、給付金だけで家計が元通りになるわけではありません。親の介護費、休業中の収入減少、家族の分担、仕事の続け方を一緒に整理し、地域包括支援センター、勤務先、ハローワークへ早めに相談しましょう。

ご注意

本記事は一般的な制度情報を整理したもので、個別の受給資格、雇用契約、会社規程、家計判断を助言するものではありません。介護休業制度、介護休業給付金、上限額、勤務先の制度は変更される場合があります。最新情報は厚生労働省、ハローワーク、勤務先、市区町村、地域包括支援センター等で確認してください。