家族が亡くなり、葬儀や役所の手続きに追われる中で「遺族年金はいくら出るのだろう」と気になる人は多いでしょう。ところが遺族年金は、「配偶者なら必ずもらえる」「亡くなった人の年金がそのまま引き継がれる」という仕組みではありません。

主な制度は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つです。亡くなった人が入っていた年金制度と保険料の納め方、残された家族に対象の子がいるか、続柄・年齢、生活を支えられていたかで、受け取れる種類と金額が変わります。

遺族年金を加入制度、子の有無、続柄と年齢、請求手続きの順番で整理した図解
▲ 遺族年金は加入制度と家族条件を順番に確認する

この記事で分かること

  • 遺族基礎年金と遺族厚生年金で、誰が受け取れるか
  • 令和8年度の遺族基礎年金の金額と子の加算
  • 遺族厚生年金の金額の決まり方と年齢の条件
  • 亡くなった人の納付状況・生計維持・請求の準備

結論|子が1人いる配偶者の遺族基礎年金は年1,091,100円(令和8年度)

令和8年4月分からの遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者で年847,300円に子の加算が付き、子が1人なら年1,091,100円です。会社員だった人が亡くなった場合は、遺族厚生年金として、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の原則4分の3が加わることがあります。

ただし、金額を計算する前に確かめることがあります。①亡くなった人が国民年金・厚生年金のどちらに入っていたか、②保険料の納付要件や受給資格期間を満たすか、③対象の子がいるか、④受け取る人の続柄・年齢・優先順位、⑤亡くなった人に生計を維持されていたか、の5つです。

遺族年金には主に2つの制度がある

制度 主な対象者 金額の基本
遺族基礎年金 子のある配偶者、または子 年度ごとの基本額+子の加算
遺族厚生年金 優先順位・年齢条件を満たす遺族 報酬比例部分の原則4分の3

会社員などで厚生年金に入っていた人が亡くなった場合、条件を満たす家族は遺族厚生年金を受け取れます。対象の子がいる配偶者などは、遺族基礎年金と両方を受け取れる場合があります。

一方、自営業などで主に国民年金に入っていた人が亡くなり、対象の子がいない配偶者は、遺族基礎年金を受け取れないことがあります。その場合は、死亡一時金や寡婦年金など別の制度の対象になるかを確かめましょう。

遺族基礎年金は子の有無で決まる

遺族基礎年金を受け取れるのは、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。子のない配偶者は、原則として対象外です。

ここでいう子は、原則として18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある子です。子がこの年齢を過ぎると受け取れなくなる場合があるので、その後の収入も今のうちに見ておきましょう。

令和8年4月分からの金額は、昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者で年額847,300円に、子の加算額を足したものです。昭和31年4月1日以前生まれの場合は基本額が違います。

令和8年度の子の加算額

  • 1人目・2人目の子:各243,800円
  • 3人目以降の子:各81,300円

対象の子が1人いる配偶者で基本額847,300円が適用されるなら、年額は1,091,100円です。年金額は年度ごとに改定され、生年月日や子の人数でも変わるので、受け取る時点の日本年金機構の金額を確かめてください。

遺族厚生年金は優先順位と年齢の条件がある

遺族厚生年金は、亡くなった人に生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い人が受け取ります。対象は子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母で、続柄ごとに年齢の条件があります。

たとえば、子のない30歳未満の妻が受け取れるのは5年間だけです。子のない夫は原則55歳以上が対象で、受け取り始めるのは60歳からです。父母や祖父母にも年齢の条件があります。

金額の基本は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。一定の要件では、厚生年金の加入期間が300月未満でも300月とみなして計算されます。40歳以上65歳未満の妻などには、中高齢寡婦加算が付く場合もあります。

65歳以上で自分の老齢厚生年金もある人は、両方が満額で出るとは限りません。自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金の一部が止まる調整があるんです。

亡くなった人の納付状況と、生計維持の確認

遺族年金では、亡くなった人の保険料の納付要件も関係します。たとえば加入中に亡くなった場合は、死亡日の前日の時点で、納付済期間と免除期間を合わせて加入期間の3分の2以上あることが原則です。一定の期間までは、65歳未満で直近1年間に未納がなければよいという特例もあります。家族が納付状況を知らなくても、年金事務所で記録を確かめられます。未納があると決めつけて諦めないでください。

もう1つの条件が「生計を維持されていた」ことです。同居していた、扶養に入っていたという1つの事実だけで決まるとは限りません。日本年金機構は、生計を同じくしていたことに加え、原則として前年の収入850万円未満または所得655万5千円未満などの収入要件を示しています。別居でも仕送りなどで認められる場合や、将来の収入減少が見込まれる場合など、個別の確認もあります。

請求の手続きと、相談前に用意するもの

死亡届を出しても、遺族年金が自動で振り込まれるとは限りません。受け取る遺族が、必要書類をそろえて請求します。

相談前に確認したいもの

  • 亡くなった人と請求者の基礎年金番号
  • 戸籍謄本・住民票等の家族関係書類
  • 死亡診断書等の死亡を確認する書類
  • 請求者の収入・所得を確認する書類
  • 振込先口座、別居時の仕送り記録等

必要書類は、亡くなった状況や受け取る年金、家族関係で変わります。まず年金事務所、街角の年金相談センター、市区町村の国民年金窓口などに相談しましょう。

遺族年金は、民間の死亡保険金、勤務先の死亡退職金、預貯金・不動産などの相続財産とは別のお金です。生命保険の見直しや相続前のお金整理と合わせて、家族が使えるお金を一覧にしておくと安心です。

ここは誤解しやすいポイント

  • 「配偶者だから受け取れる」とは限りません。子のない配偶者は遺族基礎年金の原則対象外で、遺族厚生年金にも年齢の条件があります
  • 遺族厚生年金の「4分の3」は、亡くなった人が受け取っていた年金総額や給与の4分の3ではありません。報酬比例部分の4分の3です
  • 遺族基礎年金・遺族厚生年金は原則として所得税や相続税がかかりません。一方、死亡保険金や死亡退職金、相続財産は、契約者・受取人・金額などで税金の扱いが変わります

まとめ|金額より先に「誰が、どの制度を」受け取れるか

  • 遺族基礎年金は子のある配偶者または子が対象で、子1人なら年1,091,100円(令和8年度・昭和31年4月2日以後生まれ)
  • 遺族厚生年金は優先順位と年齢の条件を満たす遺族が対象で、基本は報酬比例部分の4分の3
  • 自動では支給されないので、加入記録・納付状況・生計維持を年金事務所で確かめて請求する

よくある質問

Q. 配偶者が亡くなったら、遺族年金は必ずもらえますか?
必ず受け取れるわけではありません。亡くなった方の加入制度・保険料納付状況と、遺族の続柄、年齢、子の有無、生計維持関係などで決まります。遺族基礎年金は主に子のある配偶者または子が対象で、遺族厚生年金には優先順位や年齢条件があります。
Q. 遺族基礎年金と遺族厚生年金は両方もらえますか?
要件を満たせば、子のある配偶者などが両方を受け取れる場合があります。ただし、亡くなった方の加入制度、子の年齢、受給者の続柄・年齢などで変わります。年金事務所で個別に確認してください。
Q. 遺族厚生年金はいくらになりますか?
基本的には、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3をもとに計算します。給与や年金総額の4分の3ではありません。加入期間、受給要件、受給者自身の老齢厚生年金、中高齢寡婦加算等で変わります。
Q. 子どもがいない配偶者でも遺族年金を受け取れますか?
遺族基礎年金は原則として子のある配偶者または子が対象です。遺族厚生年金は子のない配偶者も対象になり得ますが、年齢や受給期間の条件があります。たとえば子のない30歳未満の妻は5年間のみ、子のない夫は原則55歳以上で受給開始は60歳からです。
Q. 遺族年金は自動的に振り込まれますか?
通常は請求手続きが必要です。死亡届だけで遺族年金の請求が完了するとは限りません。亡くなった方の年金番号、戸籍、住民票、収入関係書類など必要書類を確認し、年金事務所や市区町村等へ早めに相談してください。

参考資料

ご注意

本記事は2026年10月26日時点の公開情報をもとに作成しています。本記事は一般的な制度情報を整理したもので、個別の受給資格・年金額を判断するものではありません。年金額や制度は改定される場合があります。最新情報は日本年金機構・厚生労働省で確認し、具体的な受給資格と必要書類は年金事務所等へご相談ください。