「株主代表訴訟」とは
取締役などが会社に損害を与えたのに会社自身が責任を追及しないとき、株主が会社に代わって損害賠償を求める訴訟。会社法第847条に定められ、賠償金は訴えた株主ではなく会社に支払われる。
📌 投資判断のポイント
取締役などの責任を会社が追及しないとき、株主が会社に代わって損害賠償を求める訴訟。公開会社では6か月前から株式を持つことが要件で、賠償金は会社に支払われる。
株主代表訴訟はどういう仕組み?
公開会社の場合、6か月前から引き続き株式を持つ株主が、まず会社に対して取締役らの責任を追及する訴えを起こすよう請求する。会社が請求の日から60日以内に訴えを起こさなければ、株主は自ら訴訟を提起できる。訴訟の目的の価額は財産権上の請求でないものとみなされるため、請求額が数百億円でも裁判所に納める手数料は1万3,000円で済む。
訴えを起こした株主が敗訴しても、悪意で訴えたのでなければ会社に損害を賠償する必要はない。一方、不当な目的の訴えを抑えるため、被告となった取締役は、原告株主の悪意を疎明して裁判所に担保の提供を命じるよう申し立てることができる。親会社の株主が子会社の取締役の責任を追及する多重代表訴訟の制度も、2015年5月施行の改正会社法で設けられた。
株主代表訴訟の具体例と注意点は?
粉飾決算や違法な取引で会社が巨額の損失を被った事件では、株主代表訴訟で旧経営陣に数十億円単位の賠償を命じる判決が出たこともある。一方で、勝訴しても株主個人の手元にお金が入るわけではなく、恩恵は会社の価値の回復を通じて間接的に及ぶにとどまる。経営判断の結果として損失が出ただけでは、責任が認められにくい点にも注意が要る。
株主提案権との違い
株主提案権は、株主総会の議題や議案を株主が提案する権利で、会社の今後の方針に働きかけるものである。株主代表訴訟は、すでに生じた損害について経営陣の責任を問うもので、向きが逆になる。役員がこうした責任に備えるため、会社が保険料を負担する会社役員賠償責任保険に加入していることが多い。
株主代表訴訟が提起されると、会社は遅滞なくその旨を公告するか株主に通知しなければならず、ほかの株主も訴訟に参加できる。和解で終わる場合も、会社の同意など一定の手続きを経る必要がある。訴訟の動向は、会社の適時開示や有価証券報告書の記載で確認できる。
関連用語
株主が総会の議題を追加したり議案を提出したりできる権利。取締役会設置の公開会社では議決権の1%以上または300個以上を6か月保有する株主が、総会の8週間前までに請求できる
取締役の選任や配当、定款の変更などを株主が決める会社の最高意思決定機関。3月決算の会社は6月下旬に開くことが多く、出席しなくても議決権を事前に行使できる
その会社の業務執行に関わったことがない立場から経営を監督する取締役。プライム市場では独立社外取締役を取締役会の3分の1以上選ぶことが求められる
上場企業向けの企業統治指針で、コンプライ・オア・エクスプレインが特徴。資本効率や株主還元を意識した経営を後押しする。形式的な順守表明にとどまる企業もあり、社外取締役比率や実際の資本政策など中身を確かめたい。
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