MSワラント

企業アクション
よみ:えむえすわらんと
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛) 編集方針
🗂 株価・企業を分析する ★★ 標準

「MSワラント」とは

株価の動きに応じて、株式に換える価格(行使価額)が定期的に見直される新株予約権。正式には「行使価額修正条項付新株予約権」と呼ばれ、企業が証券会社などの割当先に発行し、割当先が行使して得た株式を市場で売ることで資金を調達する。

📌 投資判断のポイント

株価に応じて行使価額が見直される新株予約権。業績が苦しい企業でも資金を集めやすい反面、行使のたびに株式が増えて売られるため、希薄化と株価下落が連鎖しやすい。

MSワラントはどういう仕組み?

通常の新株予約権は、行使価額が発行時に固定されている。MSワラントは、行使価額が株価に合わせて修正される。たとえば「各行使日の前日終値の90%」のように決められ、株価が下がっても行使価額が下がるため、割当先は行使を続けられる。

企業にとっては、業績が苦しく公募増資が難しい局面でも、市場の株価に応じて少しずつ資金を集められる。割当先は、株価より低い価額で取得した株式を市場で売ることで差額を得る。

一方、行使されるたびに新しい株式が増え、市場で売却される。株式の数が増えて1株あたりの利益や価値が薄まる希薄化と、売り圧力が同時に生じる。

MSワラントの具体例と注意点は?

株価1,000円の企業が、行使価額を前日終値の90%とするMSワラントを発行したとする。割当先は900円で株式を取得し、市場で売る。売りによって株価が900円に下がれば、次の行使価額は810円になり、さらに多くの株式が発行される。

このように株価下落と株式の増加が連鎖しやすいため、既存株主にとって不利な資金調達とみなされることが多い。発行の発表をきっかけに株価が大きく下がる例もある。

行使価額に下限が設けられている場合、株価が下限を下回ると行使が止まり、予定した資金が集まらないこともある。発表資料では、潜在株式数が発行済株式数の何%になるか(希薄化率)と、行使価額の下限を確かめておきたい。

公募増資との違い

公募増資は、決められた価格で一度に新株を発行し、多くの投資家に買ってもらう。希薄化は発表時点で一度に確定する。

MSワラントは、時間をかけて少しずつ株式が発行され、総額も最終的な株数も株価次第で変わる。希薄化がいつ、どこまで進むかが読みにくい点が大きな違いである。

日本証券業協会は、MSワラントなどの第三者割当について、割当先による空売りの扱いなどの規則を定めている。投資家としては、適時開示の資料で資金の使い道、割当先、行使価額の修正の頻度(毎日か、一定期間ごとか)を確認し、調達した資金が企業の成長につながるのか、当面の運転資金の穴埋めなのかを見極めたい。

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