「MSCB」とは
株式に換えるときの価格が株価に応じて修正される条項が付いた転換社債で、行使価額修正条項付きの資金調達手段の代表例です。
📌 投資判断のポイント
転換価額が直近の株価に合わせて修正される転換社債で、株価が下がるほど転換で発行される株式が増える。資金調達はしやすい一方、既存株主にとっての希薄化の規模が発行時点で確定しない。
詳しい仕組み・意味
MSCBはMoving Strike Convertible Bondの略です。通常の転換社債は、あらかじめ決めた転換価額で株式に換えられます。MSCBでは、この転換価額が一定の期間ごとに直近の株価を基準に修正されるため、株価が下がるほど一度の転換で受け取る株式の数が増えます。業績や財務の面で通常の増資が難しい企業にとっては、資金を確保しやすい手段です。引き受けるのは主に証券会社や投資ファンドで、転換して得た株式を市場で売却していきます。
具体例・注意点
既存の株主にとっての懸念は、希薄化の規模が発行の時点で確定しないことです。引受先が転換後の株式を市場で売ると株価に下押しの圧力がかかり、下がった株価で次の転換が行われて株式数がさらに増えるという循環が起きることがあります。こうした問題を受けて、取引所や日本証券業協会は、1か月あたりの転換数量の制限や開示の充実といったルールを設けています。発行が発表されたときは、調達の目的と、転換で増える可能性がある株式数の上限を確認することが大切です。
関連用語
一定条件で株式に転換できる権利が付いた社債。株価上昇時は転換益、上がらなければ債券として償還・利息を得られる非対称な性質を持つ代わり利率は低め。下値を支える債券価値は発行体の信用力に依存し、転換が進むと株式の希薄化も起きる。
新株予約権は将来の株式取得権であり、行使されれば株式数が増えて希薄化を招く。発行済みの潜在株式がどれだけあるかは希薄化後EPSに表れる。ストックオプションが多い成長株ほど、この潜在的な株数増加を織り込んで評価したい。
特定の相手に新株を引き受けてもらう増資で、機動的に資金や提携を得られる反面、既存株主の持分とEPSが希薄化する。増資を一律に悪材料と見るのではなく、引受先・発行価格・資金使途まで確認して評価したい。
希薄化後EPSは潜在株式を考慮した1株利益。株主価値を見るうえで重要である。
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