「正常営業循環基準」とは
本業の取引の流れの中で生まれる資産や負債を、期間の長さにかかわらず流動資産・流動負債に入れる基準のこと。
📌 投資判断のポイント
仕入れから販売、代金の回収までの本業の流れで生まれる売掛金や在庫などを、期間に関係なく流動に入れる基準。在庫の長い業種は流動比率が高く見えやすい。
正常営業循環基準はどういう仕組み?
会社の本業は、材料や商品を仕入れ、つくって売り、代金を回収するという流れを繰り返している。この流れの中にある売掛金・受取手形・買掛金・支払手形・棚卸資産(在庫)などは、回収や支払いまでに1年を超えるものでも流動として扱う。日本の会計では、まずこの基準で判断し、本業の流れに乗らない貸付金や借入金などには一年基準を当てはめる、という二段構えになっている。
正常営業循環基準の具体例と注意点は?
お酒の熟成や大きな建物の工事のように、仕入れから販売まで何年もかかる業種では、在庫が1年以上残っていても流動資産に入る。そのため、こうした業種の流動比率は高く見えやすい。業種の違う会社どうしを流動比率だけで比べると判断を誤りやすいので、在庫がどれくらいの期間で売れているかもあわせて見たい。
一年基準との違い
一年基準は、決算日の翌日から1年以内に現金化や支払期限が来るかどうか、という期間の長さだけで分ける。正常営業循環基準は、期間ではなく本業の流れに乗っているかどうかで分ける点が違う。同じ「1年を超えて回収する債権」でも、本業の商品を売った代金なら流動、取引先に貸したお金なら一年基準で固定になる。
数値でみる
例えば10年かけて熟成させるウイスキーの在庫は、販売まで10年かかっても流動資産に入る。仕入れから代金の回収までの1周が長い会社ほど、流動資産が大きく見える。在庫が売れるまでの日数(棚卸資産回転日数)が100日の会社と300日の会社では、同じ流動比率でも中身の速さが違うと考えたい。
投資家が気をつけたいこと
流動資産が大きいからといって、すぐに使えるお金が多いとは限らない。在庫が中心の流動資産は、売れるまで現金にならないうえ、売れ残れば価値が下がる。短い期間の支払い能力をより厳しく見たいときは、在庫を除いた当座資産で計算する当座比率もあわせて確かめるとよい。業種ごとの事業の流れの長さを頭に入れておくと、流動比率の高さを正しく受け止めやすい。同じ業種の中で比べる場合でも、在庫の回転日数が前の年より長くなっていないかを確かめると、売れ行きの変化に早く気づける。在庫の内訳は注記に書かれていることが多い。
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