「後入先出法」とは
後入先出法とは、最後に仕入れた棚卸資産から先に売れたとみなして売上原価を計算する方法である。英語ではLIFOと呼ばれる。日本の会計基準では現在は認められていない。
📌 投資判断のポイント
最後に仕入れた商品から先に売れたとみなす在庫の計算方法。日本の会計基準とIFRSでは認められていないが、米国の会計基準では使うことができる
後入先出法はどういう仕組み?
後入先出法では新しい単価から先に売上原価へ回すため、売上原価は直近の仕入値に近くなり、期末の在庫には古い単価が残る。仕入値が上がり続ける時期には売上原価が大きく出て、利益が小さく計算されやすい。日本では企業会計基準委員会が棚卸資産の評価に関する会計基準を改正し、後入先出法を選べる方法から外した。国際会計基準(IFRS)も後入先出法を認めていない。一方、米国の会計基準では使うことが認められており、海外の教科書や授業では今も比較のために登場する。
後入先出法の具体例と注意点は?
例えば単価100円で10個、次に単価120円で10個仕入れて15個売れたとき、後入先出法では売上原価が120円×10個+100円×5個の1,700円、期末在庫は100円×5個の500円になる。同じ取引でも先入先出法より売上原価が100円多い。海外企業の決算書を読むときは、在庫の評価方法の違いで利益の見え方が変わることに注意したい。
日本で使えなくなった理由
後入先出法では、古い単価の在庫が貸借対照表に長く残り、時価から大きく離れた金額で表示されることがある。また、期末に仕入れを増やすだけで売上原価を動かせるといった問題も指摘されてきた。日本ではこうした点や国際的な会計基準との足並みをそろえる観点から、選べる方法から外された。過去の決算書や米国企業の資料を読むときに出てくる用語として押さえておきたい。
米国企業の決算書で見かけるとき
米国では、後入先出法を使う会社が、もし先入先出法を使っていたら在庫がいくらになっていたかとの差額を、注記などで開示する例がある。この差額が大きいほど、貸借対照表の在庫が古い単価のまま低く載っていることを意味する。物価が長く上がり続けた会社では、この差が数億ドル規模になることもある。日本企業と米国企業の利益率を比べるときは、在庫の評価方法の違いが数字に混ざっていないかを意識しておくと、読み違いを減らせる。会計の基準は国や時代によって違うという、分かりやすい例の一つである。
関連して知っておきたいこと
あわせて押さえたいのは、先入先出法と平均原価法、そして日本基準・IFRS・米国会計基準という3つの会計の基準の違いである。在庫の評価方法は、基準の違いが利益の数字に表れる代表的な場面の一つになっている。
関連用語
販売のために持つ商品・製品・仕掛品・原材料などの総称で、貸借対照表の流動資産に計上される。期末の評価額が売上原価と利益を左右する。売上が伸びないのに増えているなら売れ残りを疑う。
売れた分だけを費用にするのが売上原価の考え方。期末在庫の数え方ひとつで利益が動くため、在庫が売上より速く増えていないかを合わせて確かめると、決算の数字の確かさが見えてくる。
先に仕入れた商品から先に売れたとみなして売上原価を計算する方法。仕入値が上がる時期は売上原価が小さく出やすく、期末の在庫は新しい単価で評価される
米国企業の決算書のルール。日本の経常利益にあたる区分がなく、のれんの扱いも違う。米国企業が強調する調整後の利益は、基準どおりの利益と並べて読みたい。
IASBが定める国際的な会計基準で、日本では2010年3月期から任意適用が可能。2022年8月末時点で267社が適用・適用予定で、のれんを償却しないなど日本基準と違う点がある。
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