通信費は、契約したときの判断がそのまま何年も残りやすい支出です。使う量も、家族の構成も、 各社の料金の並びも、契約したころとは変わっているのに、明細を開く機会がないまま毎月引き落とされていきます。 減らしたいと思っても、手続きが面倒そうだという印象が先に立って、比較そのものが先送りになります。

実際には、乗り換えの障害になっていた仕組みの多くは、この数年で制度として取り除かれました。 電話番号も、メールアドレスも、いま使っている端末も、条件を満たせばそのまま持ち越せます。 この記事では総務省が運営する携帯電話ポータルサイトの内容をもとに、何を確認し、いくらかかり、 何を失うのかを順番に整理します。

通信費の見直し手順について、使用量・ブランド・費用・手続き・見直し後という段階ごとに、確認することと判断の目安を整理した図解
料金表を比べる前に、自分の使用量を確かめます。

この記事でわかること

  • 契約中のマイページで確認すべき4つの項目
  • 携帯ブランドが3つの階層に分かれていること
  • 格安SIMが安い理由と、代わりに割り切る点
  • 乗り換えにかかる手数料の実際の水準
  • 乗り換えで失うものを先に数える方法
  • 合わなかったときに8日以内で戻せる制度

結論|料金表を比べる前に、自分の使用量を確かめる

通信費の見直しでよくある失敗は、各社の料金表から比べ始めることです。 料金表は最も安く見える条件で書かれており、その条件が自分に当てはまるかどうかは、 自分の使用量を知らないまま判断できません。

順番は、使用量の確認、ブランドの階層の選択、費用と失うものの計算、の3つです。 総務省も、料金プランの見直しはまずマイページで自分の利用状況を確認するところから始めるよう案内しています。 データ使用量が契約している量より少ない場合と、通話が多いのにかけ放題に入っていない場合が、 見直しで安くなる典型例として挙げられています。

なお、固定費全体をどの順番で見直すかは 家計改善で先に見直すべき固定費で扱っています。 この記事はそのうち通信費だけを取り出し、実際の手順まで踏み込みます。 保険料の見直しは生命保険の見直し方が担当です。

いまの契約の何を見るか

契約中の携帯会社のマイページにログインすると、見直しに必要な情報はほぼそろいます。 総務省が挙げているのは次の4項目です。

見る項目何がわかるか判断への使い方
支払い料金項目ごとの内訳基本料以外に何を払っているか
データ通信量契約量に対する実際の使用量直近3か月の平均で必要量を決める
オプション契約中の付加サービス使っていないものを外す
通話明細通話の相手と時間かけ放題が要るかどうか

データ通信量は、1か月だけを見ると判断を誤ります。旅行や入院があった月は動画の視聴が増え、 自宅にいる時間が長かった月は無線LANを使うため減ります。 直近3か月ほどを並べ、その平均に少し余裕を足した量を必要量と考えるのが現実的です。

携帯ブランドは3つの階層に分かれている

総務省は携帯会社を、自社で通信設備を整備するMNOと、そのMNOから設備を借りてサービスを提供するMVNOに分けています。 MVNOが、いわゆる格安スマホや格安SIMと呼ばれるものです。 さらにMNOの側も、対面のサポートがあるブランドと、原則としてオンラインだけで完結するブランドに分かれます。

階層サポートの形価格の傾向
MNOのフルサービスブランド店舗での対面サポートあり高め
MNOのオンライン専用プラン対面サポートは原則なし中間
MVNO(格安SIM)オンライン中心。店舗を持つ社もあり低め

総務省はこの関係を、フルサポートで店舗数も多くサポートが手厚いブランドでは料金が高い傾向がある、と説明しています。 つまり価格の差は、通信そのものの差というより、支えの厚さの差です。 自分が年に何度店頭に行くかを思い出せば、どの階層が合っているかはおおむね決まります。

格安SIMが安い理由と、割り切る点

MVNOは大手からネットワークを借りることで低価格のサービスを実現しています。 通信エリアは借りている大手と同じで、山間部でつながらなくなるといった違いはありません。 1ギガバイト、3ギガバイト、6ギガバイトといった小容量のプランがそろっており、 総務省の資料では3ギガバイト以下で月額1,000円以下のプランも存在するとされています。

割り切るのは、混雑する時間帯の速度と、店頭の窓口

総務省は、MVNOでは昼休みや通勤時間帯、夜間など通信が混み合う時間にデータ通信の速度が低下する可能性があること、 店舗が少なくオンラインでの対応が中心になることを注意点として挙げています。 安さはこの2つと引き換えに成り立っています。 昼休みに動画を見る習慣がある人や、設定を店頭で頼みたい人には向きません。 逆に、通信の大半を自宅の無線LANで済ませている人にとっては、影響がほとんど出ない部分です。

乗り換えにかかる費用は思ったより小さい

費用は乗り換え元と乗り換え先の両方に発生します。総務省が示している水準は次のとおりです。

費用発生する側金額の目安
MNP転出手数料乗り換え元ウェブは無料。電話・店舗は1,100円以下がかかる場合がある
SIMロック解除手数料乗り換え元ウェブは無料。電話・店舗は3,300円がかかる場合が多い
契約事務手数料・SIMカード代金乗り換え先おおむね3,300円前後

つまり、手続きをすべてウェブで済ませれば、出ていくのは乗り換え先の事務手数料が中心になります。 月額が2,000円下がるなら、数か月で取り戻せる水準です。 ただし、定期契約や最低利用期間のあるプランでは、途中の解約で違約金が発生することがあります。

失うものを先に数える

料金だけを比べると見落とすのが、乗り換えによって消える割引や機能です。 総務省は乗り換え元で確認すべき点として、次のようなものを挙げています。

月額の差から差し引くもの

  • 固定回線や家族契約とのセット割引。乗り換えで失効し、残った家族の料金が上がることがある
  • 端末代金の分割払いの残債。解約後も支払いは続く
  • 携帯料金との合算払い。回線契約に紐づく決済は使えなくなる
  • ポイント。契約に紐づくものは失効する場合がある
  • 解約を忘れたオプション。乗り換え後も請求が続くことがある

比べるべきは月額の差ではなく、これらを差し引いた後の差です。 家族4人で1回線だけ動かすと、残る3回線の割引が薄くなって全体では増える、という結果も起こりえます。 世帯の合計で計算してください。

乗り換え先については、サポートの方法、必要なオプションの有無、支払い方法、 家族割や固定回線とのセット割が使えるかを確認します。 口座やカードの整理と合わせて考える場合は ネット銀行の金利と口座の使い分けが参考になります。

手続きはウェブだけで完結する

電話番号を変えずに乗り換える仕組みが番号ポータビリティです。 2023年5月24日からはワンストップ方式が使えるようになり、乗り換え先のウェブサイトで申し込むだけで手続きが進みます。 従来必要だった予約番号の発行は要りません。申し込みの途中で乗り換え元のページへ自動で移り、 解約についての説明を受けたあと元のページに戻ります。回線が切り替わると、乗り換え元との契約は自動で解約されます。

端末も、そのまま使える場合が多くあります。総務省の資料では、2021年12月の調査で乗り換え経験者の37.2%が端末を変えていません。 2021年10月以降に発売されたスマートフォンには原則としてSIMロックが禁止されています。 それ以前に大手3社で購入した端末は解除の手続きが必要になることがあり、 解除しても対応する周波数の関係でつながりにくい場合があるため、乗り換え先の動作確認端末の一覧で機種名を調べておきます。

メールアドレスも、有料の持ち運びサービスで引き継げます。申し込み先は現在契約している携帯会社で、 解約と同時、あるいは解約後31日以内など、期限は会社によって異なります。 申し込みを忘れると引き継げなくなるため、乗り換えの前に手続きの順番を確かめておいてください。

合わなければ8日以内に戻せる

それでも踏み切れない場合に知っておきたいのが初期契約解除制度です。 契約書面を受け取ってから8日以内であれば、事業者の承諾を得ることなく、利用者の側から一方的に契約を解除できます。 電波が届かない、説明と違ったといった理由を証明する必要はありません。

支払うのは、使った日数分のサービス利用料、事務手数料、SIMカードの発行手数料などの実費です。 ただし端末の購入はキャンセルできない場合が多い点に注意が必要です。 端末を買い替えずに回線だけ移せば、この制度は試すための安全網として機能します。

見直しで浮いた分の使い道は、まず手元の現金を厚くすることです。考え方は 生活防衛資金はいくら必要かにまとめています。 物価が上がる局面で固定費を下げる意味については インフレに負けない家計と資産形成も合わせてご覧ください。

まとめ|順番を変えるだけで判断できる

料金表から入ると比較は終わりません。マイページで使用量と通話とオプションを確かめ、 自分に必要な支えの厚さから階層を選び、失う割引を差し引いてから月額を比べる。 この順番にすると、判断すべきことは3つに減ります。

手続き上の障害はすでに小さくなっています。番号は持ち越せ、端末も多くの場合そのまま使え、 メールアドレスも有料で引き継げます。ウェブで手続きすれば転出とSIMロック解除の手数料はかからず、 合わなければ8日以内に戻せます。残っているのは、比べるかどうかという最初の一歩だけです。

参考資料

本記事は2026年8月12日時点の公開情報をもとに作成しています。 手数料の水準や各社の取り扱い、料金プランの内容は変更されることがあります。 記載した金額は総務省が目安として示しているもので、実際の請求額は契約内容と手続き方法によって異なります。 乗り換えの可否や端末の対応状況は機種ごとに違うため、実行する際は各社の最新の案内をご確認ください。 本記事は制度と手順の一般的な説明であり、特定の事業者やプランを推奨するものではありません。