家族の連絡はスマートフォンで済み、自宅の電話が鳴るのは営業や勧誘ばかり。それでも基本料だけは毎月引き落とされている。2026年4月にNTTの加入電話の基本料が上がったことをきっかけに、固定電話をやめるかどうか考え始めた人もいるでしょう。

先に結論を書くと、固定電話の止め方は「解約」「利用休止」「一時中断」の3つで、費用・電話番号・電話加入権の扱いがそれぞれ違います。番号を使い続けたいのか、権利だけ残したいのか、完全にやめるのかを決めれば、選ぶ手続きはほぼ決まります。ここではNTT東日本・西日本の公表資料をもとに、維持した場合の費用と3つの手続きの違いを整理します。

固定電話の4つの選択肢を比べた図解。維持すると住宅用の基本料が月2,090円などかかり番号はそのまま使える。一時中断は基本料が続くが番号を残せる。利用休止は停止の工事費3,300円で月額は不要だが再開時に番号が変わる。解約は加入電話の撤去工事が無料で電話加入権は消える
金額は税込で、NTT東日本・西日本の加入電話(住宅用)の例です。光回線の電話や他社の電話は条件が異なります。

この記事でわかること

  • 2026年4月の基本料改定で、固定電話の維持費が年いくら増えたか
  • 解約・利用休止・一時中断の費用と、電話番号・電話加入権の扱い
  • 2027年4月に予定されている通話料と工事費の改定
  • やめる前に確かめておきたい、固定電話の番号に紐づく契約
  • 親の固定電話を相続するときの電話加入権の扱い

結論|番号と権利のどちらを残したいかで手続きが決まる

使う予定がなく番号にも未練がなければ解約、いつか再び使うかもしれず権利だけ残したいなら利用休止、長期の入院や施設入所の間も同じ番号を残したいなら一時中断が候補になります。NTT西日本の案内では、手続きごとの違いは次のとおりです。

手続き止めるときの工事費毎月の料金電話番号・権利
解約加入電話は無料なし契約が終わり、復活できない
利用休止3,300円なし権利を最大10年預ける。再開時に番号は変わる
一時中断3,300円〜22,000円程度回線使用料が続く再開時も同じ番号

いずれの手続きでも、加入時に払った施設設置負担金や取付工事費は払い戻されません。「権利を残しておけば後で売れる」と考えるより、これから先に使うかどうかで決めるほうが判断を誤りにくくなります。

維持費|住宅用の基本料は2026年4月から月220円上がった

NTT東日本とNTT西日本は、2026年4月1日利用分から加入電話と加入電話・ライトプランの回線使用料を改定しました。住宅用は月220円、事務用は月330円の値上げで、住宅用の3級取扱所(プッシュ回線)では月1,870円が2,090円になりました(いずれも税込)。年間では2,640円の負担増で、基本料だけで年25,080円かかる計算です。

理由として両社は、光回線や携帯電話の普及で加入電話の利用が減り、老朽化した銅線(メタル)設備の維持が難しくなっていることを挙げています。総務省の資料によると、2025年3月末のNTT東西の加入電話は1,147万契約で、メタル回線の固定電話は2030年に約730万、2035年に約500万まで減ると見込まれています。同資料は「NTT東西は、2035年頃を目途としたメタル回線設備の縮退を表明しており」と記しています。

2027年4月には通話料と工事費も上がる

NTT東日本は2026年9月30日、2027年4月1日から料金と工事費を改定すると発表しました。加入電話から固定電話への通話料は3分9.35円から10.45円、携帯電話への通話料は1分17.6円から19.8円になります。加入電話の新設などの工事費は22,000円から27,500円になり、2027年4月1日以降の申し込み分から適用されます。

解約|権利は消えるが、撤去の工事費はかからない

解約は116番(NTT東日本・西日本の受付窓口)かウェブで申し込みます。NTT西日本の案内では、加入電話の撤去工事費は無料で、解約金もかかりません。ただし契約は終わり、復活の手続きはできません。あとで必要になったときは新規の申し込みとなり、施設設置負担金を改めて払うことになります。

固定電話の番号をスマートフォンへ移すことはできないため、番号は手放すことになります。光回線を使う電話(ひかり電話など)に切り替えて番号を残す方法もありますが、光回線の月額料金がかかるため、通信費全体で比べる必要があります。携帯電話の料金の見直し方はスマホ・通信費の見直し方で扱っており、この記事では固定電話の手続きに絞ります。

利用休止|権利を最大10年預け、毎月の料金は止まる

利用休止は、電話加入権をNTTに預けて毎月の料金を止める手続きです。停止の工事費は3,300円で、休止中の月額料金はかかりません。預かる期間は5年で、5年後に申し出がなければさらに5年延長され、休止(期間延長)の手続き日から10年間申し出がなければ解約扱いになります。

再開するときは3,300円〜22,000円程度の工事費がかかり、電話番号は変わります。また、加入電話・ライトプランは電話加入権のない契約のため、利用休止の対象外です。休止の手続き後に届く「利用休止のお知らせ」は再開や延長の際に必要になるので、保管しておきましょう。

一時中断|番号を残せるが、基本料は払い続ける

一時中断は、電話を使えない状態にしたまま番号を残す手続きです。再開すれば同じ番号が使えますが、中断中も回線使用料を毎月払います。止めるときと再開するときにそれぞれ3,300円〜22,000円程度の工事費がかかるため、数か月程度の不在では、そのまま維持したほうが安く済むこともあります。

やめる前に|固定電話の番号に紐づく契約を確かめる

固定電話の番号は、思わぬところで連絡先や本人確認に使われています。解約の前に、次の届け出先を携帯電話の番号へ変えておくと、あとで連絡が届かない事態を避けられます。

  • 銀行・証券会社・保険会社に届け出ている電話番号
  • 電気・ガス・水道など公共料金の契約(電気・ガス代の見直しと同時に確かめると効率的です)
  • ホームセキュリティや高齢者の見守りサービスなど、電話回線を使う機器
  • FAXや、固定電話の番号で登録している自治会・学校・病院の連絡網

固定電話の料金を口座振替やクレジットカードで払っている場合は、解約後に最終月分が請求されてから引き落としが止まります。固定費を整理する全体の順序は投資の前に固定費を見直すにまとめています。

相続|親の固定電話は承継か解約かを決める

契約者が亡くなった場合、相続人が契約を引き継ぐ(承継)か解約するかを選びます。手続きの全体の順番は死亡後の手続きの順番を参照してください。

電話加入権は相続財産ですが、評価の方法は2021年に見直されました。国税庁の資料によると、従来の標準価額は平成26年以降、1回線あたり1,500円という低い金額になっていたため廃止され、売買実例価額などを参考に評価することになりました。あわせて「一括して評価する家庭用動産等に、電話加入権を含めることとして差し支えない」とされており、家具や家電と一緒に家庭用財産として申告できます。

まとめ|使う予定・番号・権利の3つを決めてから連絡する

固定電話の基本料は2026年4月から住宅用で月220円上がり、3級取扱所では年25,080円になりました。2027年4月には通話料と工事費も上がります。使う予定がなければ解約、権利を残したければ利用休止、同じ番号を残したければ一時中断です。

手続きの前に、銀行や公共料金などに届けた電話番号を携帯電話の番号へ変えておきましょう。級局や回線の種類によって料金が違うため、自宅の料金は請求書かNTTの窓口で確認してください。

よくある質問

Q. 固定電話の基本料は2026年4月からいくら上がりましたか?
NTT東日本・西日本の加入電話と加入電話・ライトプランは、2026年4月1日利用分から住宅用で月220円、事務用で月330円上がりました(税込)。住宅用の3級取扱所(プッシュ回線)では月1,870円が2,090円になり、年間では2,640円の負担増です。
Q. 解約と利用休止はどう違いますか?
解約は契約そのものが終わり、加入電話の撤去工事費はかかりませんが、電話加入権は消えて復活できません。利用休止は停止の工事費3,300円で電話加入権を最大10年間NTTに預け、休止中の月額料金はかかりません。ただし再開時は工事費がかかり、電話番号は変わります。
Q. 同じ電話番号を残したまま止めることはできますか?
一時中断を選ぶと、再開したときも同じ電話番号を使えます。ただし中断中も回線使用料を毎月払い、止めるときと再開するときにそれぞれ3,300円〜22,000円程度の工事費がかかります。短期間の不在なら、そのまま維持したほうが安く済むこともあります。
Q. 親の電話加入権は相続税でどう評価しますか?
国税庁は2021年に評価方法を見直し、標準価額を廃止して売買実例価額などを参考に評価することにしました。相続税の申告では、家具や家電などと一括して評価する家庭用動産等に電話加入権を含めて差し支えないとされています。

参考資料

本記事は2026年10月17日時点の公開情報をもとに作成しています。料金は級局・回線の種類・契約内容によって異なります。個別の料金や手続きは、NTT東日本・NTT西日本の窓口(116番)でご確認ください。