「トランシェ」とは
証券化で同じ資産プールから、元利金を受け取る順番やリスクの大きさが異なる複数の層に分けて発行した、それぞれの部分のことです。
📌 投資判断のポイント
証券化で同じ資産から受け取り順位とリスクの異なる層に分けた各部分。損失は下位から吸収するが、前提を超える損失では上位の層にも及ぶことを金融危機が示した。
詳しい仕組み・意味
フランス語で「切り分けた一片」を意味します。住宅ローンや自動車ローンなどの債権をまとめて証券化するとき、入ってくる元利金を上位の層から順に支払い、損失は下位の層から先に負担する取り決めをします。上位のシニア債は安全性が高く利回りが低め、中間のメザニン債は中程度、最下位のエクイティ部分や劣後債は最初に損失を受ける代わりに高い利回りを狙います。同じ資産から、リスクを好む投資家と避けたい投資家の双方に合う商品を作り出す仕組みです。
具体例・注意点
層ごとに格付けが付き、シニア部分が最上位の格付けを得られるのは、下位の層が損失のクッションになるためです。ただし2008年の金融危機では、裏付け資産の損失が想定を大きく超え、高い格付けを得ていた層にまで損失が及びました。トランシェの安全性は、裏付け資産の質と、下位の層の厚みという前提に左右されます。格付けの記号だけで判断せず、どの順番で損失を負うのか、下位にどれだけの厚みがあるのかを確かめることが大切です。下位の層ほど利回りが高いのは、損失を先に負う役割の対価であり、高い利回りだけに注目すると損失の順番を見落とします。発行時の資料には各層の発行額と支払いの順位が記載されているので、全体に占める下位の層の割合を計算してみると厚みを把握できます。
関連用語
証券化商品で裏付け資産の損失から投資家への支払いを守る仕組みの総称。優先劣後構造や超過担保などの内部型と保証などの外部型があり、保証者の信用力低下で効果が薄れる。
劣後債は高い利回りと引き換えに、破綻時の弁済順位が低いというリスクを負う。表面利回りの高さだけで選ぶのは危険で、発行体の信用力や格付け、利払い繰り延べ・早期償還の条件まで読み込む必要がある。安全な債券とは性格が異なる点に注意したい。
発行体の返済能力を評価した指標で、債券のリスク判断の基準となる。格付けが低いほど利回りは高くなる傾向がある。
多数の住宅ローン債権を束ね、元利金の支払いを裏付けに発行する証券。国債より利回りが高めだが、借り換えなどで元本が早く戻る期限前償還リスクを負う。
発行額や借入額を上回る資産を裏付けに入れ、差額を損失のクッションにする仕組み。担保資産の価値が下がれば超過分は目減りし、安全性は追加担保の取り決めにも左右される。
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