退職給付債務

企業分析
よみ:たいしょくきゅうふさいむ
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛
🗂 株価・企業を分析する ★★ 標準

「退職給付債務」とは

従業員が将来受け取る退職金や企業年金のうち、決算日までの勤務ですでに発生している分を、現在の価値に割り引いて表した金額。

📌 投資判断のポイント

従業員が将来受け取る退職金のうち、決算日までの勤務で発生した分を現在価値に割り引いた金額です。金利が下がると債務が膨らみ、業績と無関係に決算へ影響します。

詳しい仕組み・意味

退職給付債務は、退職給付会計における中心的な数値である。将来の退職給付見込額を、昇給率や退職率、死亡率などの見積りを置いて予測し、そのうち決算日までの勤務に対応する部分を、割引率を使って現在価値に直して算定する。企業年金の資産を保有している場合は、退職給付債務から年金資産の時価を差し引いた差額が、貸借対照表に退職給付に係る負債として計上される。年金資産が債務を上回れば資産として計上される。見積りと実績のずれや、割引率の変更によって生じる差額は数理計算上の差異と呼ばれ、一定期間にわたって費用処理される。

具体例・注意点

割引率は通常、安全性の高い長期債の利回りを基礎とする。金利が下がると割引率も下がり、同じ将来給付でも退職給付債務は膨らむ。逆に金利上昇局面では債務が縮み、利益を押し上げる方向に働く。つまり業績と関係のない金利変動が、決算に見かけの影響を与える。歴史の長い製造業ほど金額が大きく、自己資本と比べた規模を確認する価値がある。年金資産の運用が株式に偏っていれば、相場の下落が翌期以降の費用として効いてくる点も押さえておきたい。注記には割引率や長期期待運用収益率が示されているので、前提の置き方が同業他社と大きく違っていないかを見比べたい。

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