「負ののれん」とは
企業を買収したときに、支払った対価が、取得した資産から負債を差し引いた時価の純額を下回った場合の差額。安く買えたことによる利益として、日本の会計基準では発生した年度の特別利益に計上する。
📌 投資判断のポイント
買収の対価が、取得した純資産の時価を下回ったときの差額。日本基準では資産・負債の配分を見直したうえで、発生した年度の特別利益に一度に計上する。
負ののれんはどういう仕組み?
企業結合の会計では、買収の対価を、受け入れた資産と引き受けた負債に時価で配分する。対価のほうが大きければ差額は「のれん」として資産に計上し、小さければ差額が「負ののれん」になる。
日本の企業結合に関する会計基準では、負ののれんが生じると見込まれる場合、まず資産・負債の識別と時価の配分が適切だったかを見直し、それでもなお差額が残れば、発生した事業年度の利益(負ののれん発生益)として処理する。2010年4月以降に始まる事業年度からこの扱いになり、それ以前は20年以内で規則的に償却していた。国際財務報告基準(IFRS)でも、再検討を行ったうえで割安購入益として損益に計上する。
負ののれんの具体例と注意点は?
純資産の時価が100億円の会社を80億円で買収すれば、差額の20億円が負ののれん発生益として、その年度の特別利益に一度に計上される。純利益は大きく伸びるが、本業で稼いだ利益ではなく、翌年度以降は繰り返さない。
負ののれんが出る背景には、売り手が事業の整理を急いでいた、対象会社が赤字で将来の損失が見込まれていたなどの事情があることが多い。買収した年度の純利益の伸びを、営業利益や経常利益と分けて読む必要がある。PBRが1倍を下回る会社が買収されると、負ののれんが生じやすい。
のれんとの違い
のれんは、ブランドや人材、取引関係など、貸借対照表に個別に載らない超過収益力への対価で、日本基準では20年以内に償却し、IFRSでは償却せずに減損テストを行う。負ののれんは資産として残さず、発生時に一度に利益として処理する点が大きく違う。
負ののれん発生益は、決算短信の損益計算書で特別利益の内訳として示されるほか、企業結合の注記に、取得原価の内訳や発生した理由が記載される。1株当たり純利益(EPS)やPERを計算するときに、この一時的な利益を含めたままにすると、翌年度に利益が大きく落ちたように見えてしまう。業績の推移を比べるときは、特別損益を除いた経常利益や、会社が示す調整後の利益で見るのが基本である。
関連用語
のれんは買収価格と純資産の差額。将来収益が崩れると減損リスクになる。
買収で計上したのれんを一定期間で費用に振り替える処理です。日本基準は20年以内の定額償却、国際会計基準は償却せず減損テストで判定するため、利益の見え方が変わります。
買収の対価を、買収先の資産・負債に時価で割り振る手続き。無形資産も識別して計上し、残りがのれんになる。配分は企業結合日から1年以内に完了させる。
株価が1株あたり純資産を下回る状態で、解散価値より安いことを示す。東証の改善要請を機に自社株買い・増配・再編が加速した。ただし低PBRは万年割安の罠もあり、ROE改善や株主還元など解消策の実行を伴うかを見極める必要がある。
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