取得原価の配分(PPA)

企業分析
よみ:しゅとくげんかのはいぶん
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛) 編集方針
🗂 株価・企業を分析する ★★ 標準

「取得原価の配分(PPA)」とは

企業を買収したとき、支払った対価(取得原価)を、買収先の資産と負債に時価で割り振る会計の手続き。英語のPurchase Price Allocationの頭文字からPPAと呼ばれ、割り振った残りがのれんになる。

📌 投資判断のポイント

買収の対価を、買収先の資産・負債に時価で割り振る手続き。無形資産も識別して計上し、残りがのれんになる。配分は企業結合日から1年以内に完了させる。

取得原価の配分はどういう仕組み?

買収では、相手の貸借対照表の帳簿価額ではなく、買収時点の時価で資産・負債を受け入れる。土地や建物の含み益を時価に直すだけでなく、相手の貸借対照表には載っていなかった顧客との関係、商標、技術、受注残といった無形資産も、識別できれば時価で計上する。対価からこれらの純額を差し引いた残りがのれん、マイナスなら負ののれんになる。

日本の企業結合に関する会計基準では、配分が買収した決算期までに終わらない場合は暫定的に会計処理し、企業結合日から1年以内に配分を完了させる。国際財務報告基準(IFRS)でも、同じく最長1年の測定期間が設けられている。

取得原価の配分の具体例と注意点は?

対価300億円で、帳簿上の純資産が120億円の会社を買収したとする。土地の含み益30億円と、顧客関係などの無形資産60億円を時価で認識し、関連する繰延税金負債を差し引くと、のれんは300億円から識別した純資産を引いた残りになり、無形資産を認識しなかった場合より小さくなる。

識別した無形資産は、それぞれの耐用年数(たとえば顧客関係なら10年前後)で償却されるため、のれんに比べて利益を押し下げる期間や金額が変わる。買収後の決算で営業利益が想定より伸びないときは、PPAによる無形資産の償却費が増えていないかを注記で確かめたい。

のれんとの違い

のれんは、個別に識別できない超過収益力をまとめて表す差額の金額で、PPAの結果として残るものである。PPAは、その差額を出す前に、識別できるものをできるだけ時価で取り出す作業を指す。PPAで多くの無形資産を識別するほど、のれんは小さくなる。

PPAの結果は、有価証券報告書の企業結合の注記で、取得原価、受け入れた資産・負債の主な内訳、のれんの金額と償却期間などとして開示される。買収した年度に暫定的な処理をしていた場合は、翌年度に配分が確定した時点で前年度の数値が見直されることもあるため、前年との比較では注記の「暫定的な会計処理の確定」に関する記載を確かめたい。

関連用語

企業分析 の他の用語

🏷 関連タグ

PPA 取得原価の配分 企業結合 無形資産

RECOMMENDED COURSE

この用語を、講座で体系的に学ぶ

意味だけでなく、投資判断にどう使うかまで専門家から学べます。

講座を見る →

⚠️ ご利用にあたって

本用語解説は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。

講座を見る → 無料ガイドを受け取る