「重要性の原則」とは
重要性の原則は、金額が小さいなど重要性の乏しいものは、厳密な処理ではなく簡単な方法で処理してもよい、とする会計の考え方です。企業会計原則の注解に定められ、簡単な処理も正規の簿記の原則に従った処理として認められます。
📌 投資判断のポイント
重要性の乏しいものは簡単な方法で処理してもよいとする会計の考え方。少額の消耗品を買ったときに費用にするのが代表例で、逆に重要なものは厳密に処理し注記で示す。
重要性の原則はどういう仕組み?
会計の目的は、読む人の判断に役立つ情報を出すことです。何千円の文房具まで資産に計上して何年もかけて費用にしていたら、手間ばかりかかって、読む人の判断はほとんど変わりません。そこで企業会計原則の注解は、消耗品のうち重要性の乏しいものは買ったときに費用にしてよいこと、前払費用や未払費用などのうち重要性の乏しいものは計上しなくてよいこと、重要性の乏しい引当金は計上しなくてよいことなどを例として挙げています。逆に、重要なものは厳密に処理し、注記でも詳しく示すことが求められます。
重要性の原則の具体例と注意点は?
例えば、売上が100億円の会社が、来月分の雑誌代1万円を前払いしたとき、これを前払費用として資産に載せなくても判断はゆがみません。ただし、重要かどうかは金額だけでなく、取引の性質でも判断します。小さな金額でも、役員との取引や不正に関わるものは重要とされることがあります。なお、ESGの文脈で使われるマテリアリティ(重要課題)とは別の考え方です。
重要性の原則とマテリアリティの違い
言葉は似ていますが、使われる場面が違います。会計の重要性の原則は、決算書を作るときに、どこまで細かく処理するかを決めるための考え方です。一方、ESGや統合報告書で使うマテリアリティは、会社の経営や社会にとって特に重要な課題を選ぶ考え方で、気候変動や人材の確保などが挙がります。また、会計監査の世界でも重要性という言葉が使われ、監査人は決算書全体に対して、どの程度の誤りなら読む人の判断に影響しないかという基準額を決めます。例えば税引前利益の5%程度を目安にする例が知られていますが、会社の状況によって変わります。どの意味で使われているかは、文脈で確かめましょう。なお、重要性が乏しいとして簡単な処理を選べるのは、あくまで判断に影響しない範囲に限られます。小さな金額でも同じ処理を何百件も積み重ねれば合計は大きくなり、重要になることがあります。重要かどうかは一件ずつではなく、全体への影響でも考えるのが基本です。
関連用語
日本の会計の基本的な考え方をまとめたルールで1949年に公表。真実性・継続性・保守主義など7つの一般原則を含み、今も会計基準の土台にある。
すべての取引を漏れなく、証拠で確かめられる形で、筋道立てて記録するよう求める原則。代表的な方法は複式簿記で、青色申告の65万円控除の条件にも関わる。
払ったお金のうち、まだ受けていない期間の分は費用ではなく資産として残す、という考え方を示す勘定。費用を先送りしている形でもあるので、急に膨らんだ年は中身を確かめたい。
将来の費用や損失のうち、原因が当期にあるものを見積もって先に計上する項目です。見積もりを含むため、利益の質を見るときの手がかりになります。
会社の経営や社会にとって特に重要な課題のこと。統合報告書などで公表される。選んだ理由と目標の数字、進み具合まで書かれているかを確かめたい。
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