「製造原価明細書」とは
製造原価明細書とは、メーカーがその期に完成させた製品を作るのに、材料費、人件費、その他の経費がそれぞれいくらかかったかを示す明細書です。損益計算書の売上原価のうち、製品を作るのにかかった部分の内訳を表します。
📌 投資判断のポイント
メーカーがその期に完成させた製品の原価を、材料費・労務費・経費と仕掛品の増減に分けて示す明細書。売上原価が増えた理由を工場の中まで追える。
製造原価明細書はどういう仕組み?
損益計算書の売上原価は、期首の製品の在庫に、その期に完成させた製品の原価を足し、期末の製品の在庫を引いて計算します。この「その期に完成させた製品の原価」が当期製品製造原価で、製造原価明細書はその内訳を示します。中身は、材料費、労務費、経費を合計した当期総製造費用に、期首の作りかけの製品である仕掛品を足し、期末の仕掛品を引くという形が基本です。財務諸表等規則では、当期製品製造原価の内訳を記載した明細書を損益計算書に添付するとしています。ただし、連結財務諸表でセグメント情報を注記している場合は、この限りでないとされています。
製造原価明細書の具体例と注意点は?
例えば、ある期の材料費が600万円、労務費が250万円、経費が150万円なら、当期総製造費用は1,000万円です。期首の仕掛品が50万円、期末の仕掛品が80万円なら、当期製品製造原価は1,000万円+50万円−80万円で970万円になります。材料費の割合が上がっていれば原材料の値上がりの影響を、労務費の割合が上がっていれば人件費の増加を読み取れます。注意したいのは、連結財務諸表でセグメント情報を注記している上場会社は、この例外にあたり、単体の決算書で明細書の添付を省いていることがある点です。
製造原価明細書と損益計算書の違い
損益計算書は、売上からさまざまな費用を引いて、最後にいくら利益が残ったかを示します。製造原価明細書は、そのうち工場の中でかかった費用だけを取り出して、何にいくら使ったかを示します。損益計算書だけでは、売上原価が増えた理由が材料なのか人なのか分かりません。明細書があれば、もうけが減った原因を工場の中まで追いかけることができます。
明細書を使った分析の例
当期総製造費用に占める割合を計算すると、工場のお金の使い方の特徴が見えます。例えば、材料費が600万円、労務費が250万円、経費が150万円なら、材料費の割合は60%です。次の期に材料費が700万円に増え、ほかが変わらなければ、割合は約64%に上がります。売上が同じなら、その分もうけが減ります。同じ業種の会社と割合を比べたり、何年か分を並べたりすると、値上げの影響を製品の値段に転嫁できているかどうかを考える手がかりになります。
関連用語
売れた分だけを費用にするのが売上原価の考え方。期末在庫の数え方ひとつで利益が動くため、在庫が売上より速く増えていないかを合わせて確かめると、決算の数字の確かさが見えてくる。
製造の途中にある未完成の製品で、棚卸資産として計上される。売上以上に増えていれば工程の遅れや採算悪化を疑う。期末の評価額が完成品の原価と利益を左右する。
注文ごとに製造指図書を作り、材料費・労務費・経費を集めて製品の原価を出す方法。仕様が一つずつ違う受注生産に向き、注文ごとの利益を確かめられる
本来かかるはずの原価を目標として決め、実際の原価との差を価格の差・数量の差などに分けて分析する方法。原価の上がった原因と改善すべき場所が分かる
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