「個別原価計算」とは
個別原価計算とは、注文ごと・製品ごとに製造指図書を発行し、その指図書ごとに材料費・労務費・経費を集めて製品の原価を計算する方法である。
📌 投資判断のポイント
注文ごとに製造指図書を作り、材料費・労務費・経費を集めて製品の原価を出す方法。仕様が一つずつ違う受注生産に向き、注文ごとの利益を確かめられる
個別原価計算はどういう仕組み?
顧客の注文に応じて一つずつ仕様の違う製品を作る業種では、製品ごとにかかった費用が大きく違う。そこで注文ごとに番号を付けた製造指図書を作り、その製品のために使った材料や作業時間を指図書ごとに集計する。特定の製品のためにかかったと分かる費用は直接その指図書に入れ、工場の光熱費のように複数の製品に共通する費用は、作業時間などの基準で各指図書に割り振る。造船、建設、受注生産の機械、注文住宅などで使われる考え方である。
個別原価計算の具体例と注意点は?
例えば工場が同じ月にA社向けとB社向けの2台の機械を作った場合、それぞれの材料費と作業時間を指図書ごとに集めれば、どちらの注文でいくら利益が出たかが分かる。見積もりの精度を上げるためにも、実際にかかった原価を注文ごとに振り返ることが大切になる。共通費の割り振り方によって原価が変わるため、配分の基準が実態に合っているかも確認したい。
総合原価計算との違い
同じ規格の製品を大量に作る工場では、注文ごとに費用を分けず、一定期間の費用を完成数量で割る総合原価計算が使われる。個別原価計算は「一つずつ違うものを作る」、総合原価計算は「同じものをまとめて作る」場面に向くと覚えると区別しやすい。一つの会社の中でも、製品によって両方を使い分けることがある。
数字で見る例
例えば注文家具の工房で、A様向けの食器棚に材料費12万円・作業30時間、B様向けのテーブルに材料費8万円・作業20時間かかったとする。職人の時間あたりの費用を3,000円とすると、労務費はそれぞれ9万円と6万円になる。さらに工房の家賃や電気代など月20万円の共通費を作業時間の割合で分けると、Aに12万円、Bに8万円が加わる。この結果、食器棚の原価は33万円、テーブルは22万円と計算でき、それぞれの販売価格と比べて利益が出たかを判断できる。見積もりの段階で同じ計算をしておけば、値付けの失敗も防ぎやすい。
関連して知っておきたいこと
あわせて押さえたいのは、同じ製品をまとめて作る場合の総合原価計算、共通費にあたる製造間接費、そして変動費だけを原価にする直接原価計算である。原価計算の方法は、作り方と目的に合わせて選ぶものだと考えると整理しやすい。
関連用語
製品ごとにいくらかかったか直接たどれない、工場の光熱費や設備の減価償却費などの共通費。作業時間などの基準で各製品に割り振って原価に入れる
同じ製品を大量に作る工場で、期間中の製造費用の合計を完成数量で割って1個あたりの原価を出す方法。作りかけの仕掛品は進捗度で完成品に換算する
売れた分だけを費用にするのが売上原価の考え方。期末在庫の数え方ひとつで利益が動くため、在庫が売上より速く増えていないかを合わせて確かめると、決算の数字の確かさが見えてくる。
製品原価に変動費だけを含め、固定費は発生した期の費用として処理します。限界利益が表に出るため計画づくりに向きますが、外部公表用の決算には使えません。
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