「仕掛品」とは
製造の途中にあり、まだ完成していない製品のことです。棚卸資産の一部として貸借対照表の流動資産に計上されます。
📌 投資判断のポイント
製造の途中にある未完成の製品で、棚卸資産として計上される。売上以上に増えていれば工程の遅れや採算悪化を疑う。期末の評価額が完成品の原価と利益を左右する。
仕掛品はどういう仕組み?
工場では、原材料を投入してから製品が完成するまでに時間がかかります。決算日の時点で作りかけのものは、そこまでにかかった材料費・労務費・経費を集計して仕掛品として資産に計上します。完成すれば製品に振り替わり、販売されたときに売上原価になります。
棚卸資産は、原材料、仕掛品、製品(商品)の順に形を変えていきます。貸借対照表の注記や有価証券報告書では、棚卸資産の内訳としてこの3つが分けて示されることが多く、どの段階で在庫が膨らんでいるかを読み取れます。
受注から完成まで何か月もかかる造船、重機、ソフトウエア開発などの業種では、仕掛品の額が大きくなります。建設業では同じものを未成工事支出金と呼びます。
仕掛品の具体例と注意点は?
仕掛品が売上の伸び以上に増えている場合は、工程の遅れや、受注した案件の採算悪化を疑います。作りかけの案件で完成までの総原価が受注額を上回る見込みになると、損失を先に計上する必要があり、利益が急に減ることがあります。
逆に、受注が増えて生産を前倒ししている局面でも仕掛品は増えます。増えた理由が良いものか悪いものかは、受注残や決算説明資料の説明と合わせて判断します。
数値でみる
期首の仕掛品が200万円、当期に投入した製造費用が1,000万円、期末の仕掛品が300万円なら、当期に完成した製品の原価は200万円+1,000万円-300万円=900万円です。期末の仕掛品を多く見積もるほど完成品の原価は小さくなり、その期の利益が大きく見えます。
仕掛品の水準は、売上原価を365日で割った1日当たりの原価と比べると把握しやすくなります。1日当たりの原価が10万円で仕掛品が300万円なら、30日分の作りかけを抱えている計算です。この日数が前年より延びていないかを、決算短信の貸借対照表で確かめます。
ソフトウエアの受託開発では、仕掛品の中身が主に開発担当者の人件費です。完成前に顧客の要望が変わって作業が膨らむと、仕掛品に積み上がった原価を回収できず、まとめて損失を計上することがあります。IT企業の決算で仕掛品の急増が注目されるのはこのためです。
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