「最終仕入原価法」とは
最終仕入原価法とは、期末に残った在庫を、その期の最後に仕入れたときの単価で評価する方法である。計算が簡単なため、中小企業や個人事業で広く使われている。
📌 投資判断のポイント
期末の在庫を、最後に仕入れたときの単価で評価する方法。税務では届け出がないときの法定の方法で、手間は少ないが仕入れ値の変動で在庫の金額が実態とずれやすい
最終仕入原価法はどういう仕組み?
期末の在庫の数量に、期末に最も近い時点の仕入単価を掛けて在庫の金額を出し、売上原価は「期首の在庫+当期の仕入れ−期末の在庫」で逆算する。法人税では、在庫の評価方法を税務署に届け出なかった場合に自動的に適用される法定の評価方法とされており、個人事業でも同様である。一方、上場企業などが従う会計基準が挙げる評価方法には含まれておらず、中小企業向けの会計指針では、期間の損益の計算に大きな弊害がない場合に限って使えるとされている。
最終仕入原価法の具体例と注意点は?
例えば期末に商品が5個残り、最後の仕入れの単価が120円なら、在庫は600円と評価される。実際には100円で仕入れた古い商品が残っていても、最後の単価で評価されるため、仕入れ値が上がる局面では在庫が大きく、利益も大きめに出やすい。逆に最後の仕入れだけが特売で安かった場合などは、在庫の金額が実態とずれる。手間は少ないが、在庫の金額が大きい事業や、仕入れ値の変動が激しい商品を扱う事業では、ほかの方法と比べて影響を確かめておきたい。
先入先出法との違い
先入先出法は、残った在庫を新しい仕入れから順に評価するため、期末近くに何度か仕入れていれば複数の単価が混ざる。最終仕入原価法は、残った在庫すべてに最後の1回の単価を当てはめる。最後の仕入れの数量が少ないほど、在庫全体の金額が1回の取引の値段に大きく引っ張られる点が違いである。
使うときの注意点
個人事業や小さな会社では、届け出をしていないため気付かないうちにこの方法になっていることが多い。在庫が年商の1割を超えるような事業で、仕入れ値が年10%以上動く商品を扱うなら、ほかの方法を届け出たほうが利益の実態に近づく場合がある。届け出には期限があるので、変えるなら早めに税務署の案内を確かめたい。会計ソフトの多くは在庫の数量と最後の仕入単価を入力するだけで計算できるため、手軽さの面では今も根強く使われている。
関連用語
販売のために持つ商品・製品・仕掛品・原材料などの総称で、貸借対照表の流動資産に計上される。期末の評価額が売上原価と利益を左右する。売上が伸びないのに増えているなら売れ残りを疑う。
先に仕入れた商品から先に売れたとみなして売上原価を計算する方法。仕入値が上がる時期は売上原価が小さく出やすく、期末の在庫は新しい単価で評価される
一定期間の仕入れの合計金額を合計数量で割った平均単価で、売上原価と期末の在庫を計算する方法。計算は簡単だが、期間が終わるまで単価が決まらない
売れた分だけを費用にするのが売上原価の考え方。期末在庫の数え方ひとつで利益が動くため、在庫が売上より速く増えていないかを合わせて確かめると、決算の数字の確かさが見えてくる。
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