「EV/EBITDA倍率」とは
企業価値が、本業の稼ぎの何年分にあたるかを示す指標で、買収価格の妥当性を測る目安としても使われます。
📌 投資判断のポイント
企業価値を本業の稼ぎで割った倍率。借入の多寡や償却方法の違いを除いて比べられるため、設備産業や国際比較で使いやすいが設備投資の負担は映さない
詳しい仕組み・意味
分子のEV(企業価値)は、時価総額に有利子負債を足し、現預金を差し引いて求めます。株主のものと債権者のものを合わせた、会社をまるごと買うのに必要な金額という考え方です。分母のEBITDAは営業利益に減価償却費を戻した金額で、支払利息や税金、償却方法の違いによる差を取り除いた本業の稼ぐ力を表します。この組み合わせにより、借入の多い会社と少ない会社、償却負担の重い会社と軽い会社を同じ物差しで比較できます。会計基準や税率の異なる国どうしを比べる場面でも、PERより歪みが小さくなります。
具体例・注意点
時価総額1,000億円、有利子負債300億円、現預金100億円ならEVは1,200億円です。EBITDAが150億円なら倍率は8倍となり、企業価値を8年分の稼ぎで回収できる計算になります。一般に1桁台なら割安、2桁後半なら割高と語られますが、成長率や資本の重さによって適正な水準は業種ごとに大きく違います。EBITDAは設備投資の負担を映さないため、投資が継続的に必要な企業では実際の資金繰りより良く見える点に注意が必要です。また現預金を差し引く計算のため、手元資金の厚い企業ほどEVは小さく出ます。事業に使えない拘束された預金が含まれている場合は、実態より割安に見える点も踏まえて読む必要があります。
関連用語
利息や税金などを除いた利益で、本業の収益力を比較するための指標。現金や最終利益とは異なるため、用途を限定して使う必要がある。
企業全体の実質的な価値を示す指標で、時価総額に負債や現金を加味して計算される。企業買収の視点で重要。
EV/Salesは企業価値÷年間売上高で、PSRに有利子負債と現金を加味した改良版。資本構成が異なる企業の比較に向く。売上の質(粗利率・継続率)を別軸で確認しないとミスリードになるため、EV/EBITDA・EV/FCFと組み合わせて使う。
EV/FCF倍率は企業価値÷年間フリーキャッシュフロー。会計利益でなく実際に残る現金で評価する厳密なバリュエーション指標。S&P500長期平均は20〜25倍が目安。設備投資の重い業種で会計利益と乖離するため、3〜5年平均FCFで読むのが実務的。
株価が1株当たり利益(EPS)の何倍かを示す基本評価指標。PBR(資産ベース)と異なり利益の稼ぐ力で評価する。業種別目安(成長株20〜30倍超/バリュー株10〜15倍)を押さえて同業種内比較に使う。
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本用語解説は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。