「配賦」とは
配賦とは、いくつもの製品や部門に共通してかかった費用を、何らかの基準を決めて割り振ることです。原価計算の中で最もよく出てくる言葉の一つです。
📌 投資判断のポイント
複数の製品や部門に共通してかかった費用を、稼働時間や作業時間などの基準で割り振ること。選ぶ基準によって製品の原価が変わる点に注意が要る。
配賦はどういう仕組み?
製品を作るときの費用には、どの製品に使ったかがはっきり分かるもの(材料費など)と、分からないもの(工場の電気代、工場長の給料など)があります。前者はその製品に直接集めることができ、これを「賦課(直課)」と呼びます。後者は直接ひも付けられないので、機械の稼働時間、作業時間、床面積、人数など、費用の発生と関係が深い基準を選んで割り振ります。これが配賦です。日本の原価計算の基本ルールである「原価計算基準」(1962年に当時の大蔵省企業会計審議会が公表)でも、間接費を部門や製品に配賦する手順が定められています。
配賦の具体例と注意点は?
工場全体の製造間接費が600万円で、製品Aが機械を2,000時間、製品Bが1,000時間使ったとします。機械の稼働時間を基準にすると、1時間あたり2,000円なので、Aに400万円、Bに200万円を配賦します。同じ600万円でも、作業時間を基準にするとAとBの比率が変わり、製品の原価も変わります。
配賦基準の選び方でよくある誤解
配賦された原価は「正確な事実」のように見えますが、実際は選んだ基準によって変わる計算結果です。基準がその費用の発生と結び付いていないと、ある製品の原価が実態より高く、別の製品が安く見えます。その結果、もうかっている製品をやめたり、赤字の製品を安く売り続けたりする判断ミスにつながります。費用の発生に合った基準を選ぶことと、配賦の仕方が判断を左右しうると知っておくことが大切です。
配賦の結果をどう使うか
配賦で計算した製品の原価は、値段を決める、製品の採算を比べる、決算書の在庫や売上原価を計算する、といった目的に使われます。ただ、目的によって望ましい配賦の仕方は違います。決算書のための計算はルールに従って一貫させることが大切ですが、値決めや製品の取捨選択の判断では、配賦した固定費を含めずに、その製品を作ることで増える費用だけを見たほうがよい場合もあります。目的に合った原価を使い分けることが大切です。どの基準で配賦しているかは、社内の資料や原価計算の手順書に書かれているはずなので、判断に使う前に確かめておきましょう。
関連用語
製品ごとにいくらかかったか直接たどれない、工場の光熱費や設備の減価償却費などの共通費。作業時間などの基準で各製品に割り振って原価に入れる
工場の中で製品を直接作らず、作る部門を支える修繕・動力・事務などの部門の費用。まず製造部門に配賦し、そこから製品の原価に含める。
間接費を段取りや検査などの活動ごとに集め、各製品がその活動をどれだけ使ったかで割り当てる原価計算。ABCとも呼ばれ、製品ごとの手間の差を原価に反映できる。
固定費も含めて製造にかかった費用をすべて製品の原価に入れる計算方法。公表する決算書の基本で、作りすぎると在庫に固定費が残り、利益が大きく見えることがある
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