「明瞭性の原則」とは
明瞭性の原則は、決算書を読む人に必要な会計の事実を分かりやすく示し、会社の状況について判断を誤らせないようにすることを求める会計の原則です。企業会計原則の7つの一般原則の一つで、公開性の原則と呼ばれることもあります。
📌 投資判断のポイント
必要な会計の事実を分かりやすく示し、読む人の判断を誤らせないよう求める原則。段階別の利益の表示、総額での表示、会計方針の注記などはこの考え方の表れ。
明瞭性の原則はどういう仕組み?
数字が正しくても、並べ方が分かりにくければ読む人は判断を誤ります。そのため決算書には、見やすさのための決まりがいくつもあります。損益計算書で売上総利益、営業利益、経常利益と段階ごとに利益を区切って示すこと、貸借対照表で流動と固定を分けて並べること、売上と費用を差し引きせずに総額で示すことなどです。また、どの会計方針を選んだか、決算日の後に大きな出来事があったかなど、数字だけでは伝わらない情報は注記で補います。
明瞭性の原則の具体例と注意点は?
例えば、ある会社が本業の売上100億円と費用95億円を相殺して「純額5億円」とだけ示したら、事業の規模も利益率も分かりません。総額で示すから、読む人は売上の伸びや費用の割合を比べられます。決算書を読むときは、表の数字だけで終わらせず、会計方針や偶発債務などの注記にも目を通すと、明瞭性の原則が求める情報を十分に受け取れます。
明瞭性の原則と注記の関係
表の数字だけでは伝えられない情報を補うのが注記です。どの会計方針を選んでいるか、担保に入れている資産はあるか、保証している借金はあるか、決算日の後に大きな出来事があったかなどが書かれます。有価証券報告書では注記が何十ページにも及ぶことがあり、表本体より長いことも珍しくありません。読む人の判断に影響する事実を、数字の陰に隠さずに示すことが明瞭性の原則の考え方です。例えば、借金の返済条件を守れないと一括返済を求められる取り決め(財務制限条項)は、表の借入金の額だけでは分からず、注記を読んで初めて気づくことがあります。重要な情報ほど注記に書かれていると考えて、最初の数ページだけでも目を通す習慣をつけると安心です。また、同じ内容でも、表の区分を細かくしすぎると全体像がつかめなくなります。重要な項目は独立して示し、小さな項目は「その他」にまとめるという見せ方の工夫も、読む人の判断を助けるための明瞭性の一部です。決算書を読む側は、「その他」の金額が急に大きくなった年には、何がまとめられているかを注記で確かめるとよいでしょう。
関連用語
日本の会計の基本的な考え方をまとめたルールで1949年に公表。真実性・継続性・保守主義など7つの一般原則を含み、今も会計基準の土台にある。
会計は会社の財政状態と経営成績を真実に報告しなければならないという、企業会計原則の一般原則の第一。判断や方法の選択が入るため、求められるのは相対的な真実とされる。
損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書などを含む、外部の人に会社の成績と財産を伝える書類一式。会計基準に沿って作られるため、他社や過去の年度と比較できる。
会社法の計算書類4つのうちの一つで、数字の前提や補足をまとめた書類。会計方針、継続企業の前提、関連当事者との取引、重要な後発事象などを書く。
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