「資本生産性」とは
工場や機械、店舗などの設備が、どれだけの付加価値を生み出しているかを示す指標です。付加価値額を有形固定資産で割って求め、設備投資効率とも呼ばれます。設備1円あたりの稼ぐ力を測る物差しです。
📌 投資判断のポイント
付加価値額を有形固定資産で割った、設備1円あたりの付加価値の大きさ。労働生産性は資本生産性と労働装備率の掛け算に分解でき、生産性の高さの理由を見分けるのに使う。
資本生産性はどういう仕組み?
資本生産性は、労働生産性を分解すると位置づけが分かります。従業員1人あたりの付加価値である労働生産性は、資本生産性と、従業員1人あたりの有形固定資産である労働装備率の掛け算に分けられます。
式で書くと、付加価値額÷従業員数=(付加価値額÷有形固定資産)×(有形固定資産÷従業員数)です。労働生産性が高い理由が、設備を十分に持っているからなのか、持っている設備を効率よく使えているからなのかを見分けられます。
資本生産性の具体例と注意点は?
付加価値額が10億円、有形固定資産が25億円、従業員が100人の会社なら、資本生産性は40%、労働装備率は1人2,500万円、労働生産性は1人1,000万円です。新しい工場に25億円を投じて設備を倍にしても、付加価値が増えなければ資本生産性は20%に半減します。
建設中で稼働していない設備は付加価値を生まないため、計算では有形固定資産から建設仮勘定を除くのが一般的です。また、古い設備は減価償却で帳簿上の金額が小さくなるので、設備が古い会社ほど資本生産性が高く見えることがあります。設備の年齢も合わせて確認すると、見誤りを防げます。
有形固定資産回転率との違い
有形固定資産回転率は、売上高を有形固定資産で割った指標で、設備がどれだけの売上を生んでいるかを示します。資本生産性は分子が付加価値額なので、仕入れや外注に頼った売上は含まれません。外部への支払いを除いた、自社の設備が生んだ価値の大きさを測る点が異なります。
日本企業全体では、設備投資の増加に見合うだけ付加価値が伸びないと、資本生産性が低下します。株主の立場から見ると、資本生産性が低い状態での大型投資は、資本を有効に使えていない兆しになることがあります。投資を発表した企業を評価するときは、その後の数年で付加価値が設備の増加に追いついているかを確かめると、投資判断の良し悪しを検証できます。ROAや総資産回転率と合わせて見ると、資本の使い方を多面的に評価できます。
なお、同じ業種でも、自社で工場を持つ企業と生産を外部に委託する企業とでは、有形固定資産の大きさが大きく異なります。
関連用語
労働生産性は成長と賃金の持続性を測る指標。生産性が伸びれば、賃上げとインフレ抑制を両立しやすい。
有形固定資産を従業員数で割り、1人あたりどれだけ設備が備わっているかを見る指標。労働生産性を労働装備率と設備投資効率に分解でき、生産性の改善が設備増強によるものかを切り分けられる
売上高から外部から買い入れた原材料や外注費などを除いた、企業が自ら生み出した価値の大きさ。法人企業統計では人件費・支払利息等・賃借料・租税公課・営業純益の合計で求める。
売上高を有形固定資産で割った指標で、設備が1年にどれだけの売上を生んだかを回数で示す。装置産業では1回未満、小売やソフトウェアでは数回以上と業種差が大きく、同業比較が基本。
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