自己株式の消却

企業分析
よみ:じこかぶしきのしょうきゃく
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛
🗂 株価・企業を分析する ★★ 標準

「自己株式の消却」とは

企業が買い戻して保有している自社株を消滅させ、発行済株式総数そのものを減らす手続きです。

📌 投資判断のポイント

買い戻した自社株を消滅させ、発行済株式総数を減らす手続きです。将来の再放出による希薄化がなくなる点が買い戻しだけの場合との違いで、現金が出るのは買い戻しの段階です。

詳しい仕組み・意味

自社株を市場から買い戻した段階では、株式は自己株式として会社の手元に残り、いつでも再び市場に出す余地があります。消却はこの株式を法的に消滅させる行為で、会社法にもとづき取締役会の決議によって行われ、発行済株式総数が減少します。買い戻しだけで終える場合と比べ、将来の再放出による希薄化の可能性がなくなるため、1株当たり利益の押し上げが後戻りしないという意味を持ちます。消却しても資本金の額が自動的に減るわけではなく、その他資本剰余金などの内訳が変わる形で処理されます。実施の事実は適時開示され、有価証券報告書の株式の状況にも反映されます。

具体例・注意点

発行済株式総数が減ることで、同じ純利益でも1株当たり利益は増えます。ただし、消却の時点で会社から現金が出ていくわけではなく、現金が出ているのは買い戻しの局面です。株主還元の強さを見るときは、買い戻しの金額と、その後に消却まで進んだかどうかを分けて確認します。消却の予定がないまま自己株式が積み上がっている場合は、将来の資金調達や株式交換の対価に使う意図が残っている可能性があります。自己株式には議決権も配当もないため、保有中も1株当たりの実質的な価値は高まっています。消却の規模は、発行済株式総数に対する割合で見ると企業間で比べやすくなります。

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