「循環取引」とは
複数の会社の間で、実際には動いていない商品やサービスを売ったり買ったりしたことにして、取引をぐるぐる回し、売上を膨らませる不正な手口のこと。
📌 投資判断のポイント
複数の会社の間で実体のない取引を回し、売上を膨らませる不正な手口。売上が伸びても営業キャッシュフローが増えないことが見分ける手がかりになる。
循環取引はどういう仕組み?
A社がB社に売り、B社がC社に売り、C社がA社から買い戻す、というように取引を一周させると、それぞれの会社に売上が計上される。書類の上では取引が成り立っているように見えるが、実際の需要に基づく販売ではなく、利益も代金の流れも実体を伴わない。商品の受け渡しを伴わない取引や、システム開発のように成果物が見えにくい取引で起こりやすく、日本でも過去の不正会計の事例でたびたび指摘されてきた。
循環取引の具体例と注意点は?
循環取引は外から見抜くのが難しいが、売上が急に伸びているのに営業キャッシュフローが増えない、売掛金や在庫が売上以上に膨らんでいる、特定の取引先との取引が急増している、といった点が手がかりになる。こうした兆しが重なるときは、決算説明や注記の説明と照らし合わせて慎重に読みたい。発覚すると過去の決算の訂正や上場廃止につながることもある。
押し込み販売との違い
押し込み販売は、実際に商品を取引先に出荷しており、取引そのものは存在する。ただし必要以上の量を引き取らせて、売上を前倒しにする。循環取引は、取引の相手がぐるりと回って元の会社に戻ってくるため、最終的な買い手が存在しない点が違う。押し込み販売は翌期の反動で表に出やすいが、循環取引は取引を回し続ける限り表面化しにくく、発覚したときの影響が大きくなりやすい。
数値でみる
3社が1億円分の同じ商品を順に売り回すと、帳簿の上では3社それぞれに1億円、合わせて3億円の売上が計上される。しかし実際の需要に基づいた販売は1件もない。回すたびに少しずつ利益を上乗せすると金額はさらに膨らみ、売掛金や在庫だけが積み上がっていく。
投資家が気をつけたいこと
個人投資家が循環取引を決算書だけで見抜くのは難しい。現実的な対策は、売上と営業キャッシュフローの差が数年続けて広がっていないか、売上債権回転日数が長くなっていないかを定期的に確かめることである。会計監査人の交代、決算発表の延期、第三者委員会の設置といった発表は、不適切な会計処理が見つかった合図であることが多い。こうした兆しが出た会社には、集中して投資しないことが大切である。
関連用語
利益を良く見せるために決算書の数字をゆがめる行為。利益は増えても現金は増えないため、利益と営業キャッシュフローの差が広がり続ける会社には注意したい。
期末に取引先へ商品を多めに出荷して売上を前倒しする行為。その期の数字はよく見えても翌期に反動が出る。売掛金が売上以上に増えていないかが見分ける手がかりになる。
提出済みの有価証券報告書などに誤りや重要な変更が見つかったときに出す書類。過去の利益を何年分も直す訂正は、不適切な会計処理の合図であることが多い。
営業・投資・財務の3区分で現金の出入りを示す決算書。利益に現金の裏付けがあるかを確かめる道具で、利益が出ていても営業キャッシュフローが赤字なら売掛金や在庫の増え方を確認する。
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本用語解説は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任で行ってください。