「事業的規模」とは
不動産の貸付けが、所得税の計算上「事業として」行われているかどうかを判定する目安。建物の貸付けでは、アパートなどの独立した部屋がおおむね10室以上、または独立した家屋がおおむね5棟以上なら、原則として事業として扱われる。「5棟10室基準」とも呼ばれる。
📌 投資判断のポイント
不動産の貸付けが所得税の計算上で事業として扱われるかの目安。アパートなどおおむね10室以上か、独立家屋おおむね5棟以上なら原則として事業となり、青色申告特別控除などの扱いが変わる。
事業的規模はどういう仕組み?
不動産の貸付けで得た所得は、規模に関係なく不動産所得になる。ただし、事業として行われているかどうかで、所得金額の計算の扱いが変わる。
国税庁は、事業かどうかは原則として社会通念上事業と呼べる程度の規模かで実質的に判断するとしたうえで、建物の貸付けについては次のいずれかに当てはまれば原則として事業として扱うとしている。
- 貸間・アパートなどで、貸与できる独立した室数がおおむね10室以上
- 独立家屋の貸付けで、おおむね5棟以上
たとえば戸建て1棟を2室分と数え、戸建て3棟とアパート4室で合わせて10室に相当すると判断する考え方も、実務で用いられている。
事業的規模の具体例と注意点は?
事業的規模かどうかで変わる主な点は次のとおりである(2026年4月1日現在の法令による)。
- 青色申告特別控除は、事業的規模で正規の簿記で記帳するなどの要件を満たせば最高55万円(電子申告などで65万円)。それ以外は最高10万円
- 青色事業専従者給与(白色は事業専従者控除)は、事業的規模の場合にだけ使える
- 建物の取壊しなどの資産損失は、事業的規模なら全額を必要経費にできるが、それ以外はその年の不動産所得の金額が限度になる
- 家賃の貸倒れは、事業的規模なら回収不能になった年の必要経費になるが、それ以外は収入に計上した年にさかのぼって計算をやり直す
5棟10室はあくまで目安で、満たさなくても実態によって事業と認められる場合がある。逆に満たしていても、貸付けの実態がなければ事業とされないこともある。
事業所得との違い
事業的規模の不動産貸付けでも、所得の区分は事業所得ではなく不動産所得のままである。
事業的規模かどうかは、不動産所得のなかで控除や必要経費の扱いを分ける基準であり、所得の種類そのものを変えるものではない。ただし、ホテルや食事付きの下宿のように、サービスの提供が主となる場合は事業所得や雑所得になる。
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