「移動平均法」とは
移動平均法とは、棚卸資産の払い出し単価を決める平均原価法の一つで、仕入れのたびに手元の在庫と合わせた平均単価を計算し直し、その単価で売上原価を求める方法である。
📌 投資判断のポイント
仕入れのたびに在庫と合わせた平均単価を計算し直し、その単価で売上原価を求める方法。株価チャートの移動平均線とは別物で、単価の上下がならされて表れる
移動平均法はどういう仕組み?
平均原価法には、期間全体の仕入れをまとめて平均する総平均法と、仕入れのたびに平均を更新する移動平均法がある。移動平均法では、仕入れが起きるごとに「手元の在庫金額+今回の仕入金額」を「手元の数量+今回の仕入数量」で割り、新しい平均単価を出す。払い出しの時点でいつでも単価が決まっているため、商品有高帳を付けながら日々の売上原価を把握できるのが利点である。株価チャートで使う移動平均線とは名前が似ているが、まったく別の考え方である。
移動平均法の具体例と注意点は?
例えば単価100円の在庫が10個あるところへ、単価130円で10個仕入れると、新しい平均単価は(1,000円+1,300円)÷20個で115円になる。この後に5個売れれば売上原価は575円である。仕入れの回数が多いと計算の手間が増えるが、会計ソフトではほぼ自動で処理される。先入先出法と比べると、仕入値の上げ下げが売上原価にならされて表れやすい。
総平均法との違い
総平均法は、月や年といった期間の終わりに、期首の在庫と期間中の仕入れをすべて合計して一つの平均単価を出す。計算は期末の1回で済むが、期間の途中では払い出しの単価が決まらない。移動平均法は手間がかかる代わりに、日々の在庫と原価をその都度把握できる。どちらも平均原価法に含まれ、日本の会計基準で認められている。
決算書を読むときの注意点
移動平均法では仕入値の上がり下がりが平均でならされるため、先入先出法に比べて売上原価の動きが緩やかになりやすい。原材料の値段が1年で20%上がったような局面でも、売上原価への表れ方は少しずつになる。そのため、同じ業種でも評価方法が違う会社同士では、仕入値が急に動いた年の利益率の差を、そのまま経営の上手さの差と受け取らないほうがよい。どの方法を使っているかは有価証券報告書の重要な会計方針の注記に書かれている。個人の株式投資で平均取得単価を計算する考え方とも近く、仕組みとしては身近なものである。
関連して知っておきたいこと
あわせて押さえたいのは、先に仕入れたものから売れたとみなす先入先出法と、商品ごとの受け払いを記録する補助簿の商品有高帳である。移動平均法の計算は、商品有高帳の上で行うのが基本の形になっている。
関連用語
販売のために持つ商品・製品・仕掛品・原材料などの総称で、貸借対照表の流動資産に計上される。期末の評価額が売上原価と利益を左右する。売上が伸びないのに増えているなら売れ残りを疑う。
売れた分だけを費用にするのが売上原価の考え方。期末在庫の数え方ひとつで利益が動くため、在庫が売上より速く増えていないかを合わせて確かめると、決算の数字の確かさが見えてくる。
先に仕入れた商品から先に売れたとみなして売上原価を計算する方法。仕入値が上がる時期は売上原価が小さく出やすく、期末の在庫は新しい単価で評価される
主要な帳簿だけでは分からない取引先別・商品別などの明細を記録する帳簿。総勘定元帳の残高と照らし合わせることで、記帳の誤りを見つける手がかりにもなる
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