「在庫評価損」とは
売れ残った商品などの価値が下がったとき、帳簿上の金額を引き下げて計上する損失。棚卸評価損とも呼ばれる。
📌 投資判断のポイント
売れ残りの価値が下がった分を、帳簿から切り下げて費用にする損失。在庫が売上より速く増えている会社では、ある期にまとめて出て利益を押し下げることがある。
在庫評価損はどういう仕組み?
商品や製品などの在庫(棚卸資産)は、原則として仕入れや製造にかかった金額で貸借対照表に載る。しかし、流行遅れや品質の劣化、市場価格の下落で、売れる見込みの価格から販売にかかる費用を引いた額(正味売却価額)が帳簿の金額を下回ることがある。日本の会計基準では、その場合に帳簿の金額を正味売却価額まで切り下げ、差額を費用にする。この費用は原則として売上原価に含めるため、粗利益を押し下げる。臨時に発生し金額も大きい場合は、特別損失に計上することもある。在庫が膨らんでいる会社では、将来この評価損が出る可能性を頭に入れておきたい。
在庫評価損の具体例と注意点は?
1個1,000円で仕入れた商品が1万個残り、売れる見込みの価格が600円、販売の費用が1個100円なら、1個あたり500円、合計500万円の評価損になる。売上が伸びないのに在庫だけが増えている会社や、棚卸資産回転率が下がっている会社では、決算期末にまとめて評価損が出て利益が急に落ちることがある。在庫の増え方を売上の伸びと比べて見ておきたい。
棚卸減耗との違い
在庫評価損は、在庫の数は合っているのに1個あたりの値打ちが下がった場合の損失である。これに対し、盗難や紛失、破損などで帳簿より実際の数が少なかった場合の損失は棚卸減耗と呼ばれ、区別して扱われる。どちらも在庫の管理や商品の売れ行きの状態を映す数字である。
決算書で確かめる場所
在庫評価損の金額は、損益計算書の本体には独立した行として出ないことが多い。売上原価に含められているため、有価証券報告書の注記で「通常の販売目的で保有する棚卸資産の収益性の低下による簿価切下額」といった項目を探すと、その年にいくら計上したかが分かる。売上総利益率が急に下がった年は、この注記を確かめたい。
なお、在庫の評価損を計上した商品が後で予定より高く売れれば、その期の利益は押し上げられる。評価損を多めに計上した翌年に利益が急に改善している場合は、こうした戻りの影響も考えられる。在庫を多く抱える小売業やアパレル、半導体などの業種では、季節の変わり目や市況の悪化のたびに評価損が話題になりやすい。
関連用語
販売のために持つ商品・製品・仕掛品・原材料などの総称で、貸借対照表の流動資産に計上される。期末の評価額が売上原価と利益を左右する。売上が伸びないのに増えているなら売れ残りを疑う。
棚卸資産回転率は在庫が売上に変わる速さを見る指標。需要鈍化のサインにもなる。
売れた分だけを費用にするのが売上原価の考え方。期末在庫の数え方ひとつで利益が動くため、在庫が売上より速く増えていないかを合わせて確かめると、決算の数字の確かさが見えてくる。
最終利益が沈んだ決算の理由はこの欄に集まる。読むうえで大事なのは、毎期のように計上している企業がないかを数期分で確かめること。常態化していれば、それはもう臨時ではなく実力の一部として見るべきものになる。
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