「意見不表明」とは
監査人が、財務諸表が適正かどうかについての意見を表明しないことです。英語ではDisclaimer of Opinionといいます。
📌 投資判断のポイント
監査人が必要な監査証拠を得られず、財務諸表が適正かどうかの意見を表明しないこと。4種類ある監査意見の中で最も重い部類に入る。上場会社では上場廃止の審査につながることがある。
意見不表明はどういう仕組み?
監査人は、監査の結論として監査報告書に監査意見を書きます。監査意見には、無限定適正意見、限定付適正意見、不適正意見、意見不表明の4種類があります。
意見不表明になるのは、監査人が意見の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手できず、その影響が財務諸表全体に及ぶ可能性がある場合です。たとえば、重要な子会社の帳簿が提出されない、取引の実在を確かめる資料が得られない、といった状況が当てはまります。財務諸表が正しいとも誤っているとも判断できないため、意見そのものを出さないという結論になります。
意見不表明の具体例と注意点は?
上場会社で意見不表明の監査報告書が出ると、証券取引所は上場廃止に当たるかどうかの審査を行います。東京証券取引所の上場廃止基準には、監査報告書に「意見の表明をしない」旨が記載され、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかな場合が含まれています。上場廃止に至らなくても、特別注意銘柄に指定されることがあります。
意見不表明が公表されると、株価は大きく下落するのが一般的です。背景に不正な会計処理の疑いや、第三者委員会の調査が長引いているといった事情があることも多く、決算の発表が延期されたり、有価証券報告書の提出期限が延長されたりすることが前触れになります。
有価証券報告書は、原則として事業年度の終了後3か月以内に提出しなければなりません。承認を受けた延長期限までにも提出できない場合、それ自体が上場廃止の基準に当たります。意見不表明の監査報告書を付けて期限内に提出するか、提出そのものを遅らせるかは、会社の置かれた状況によって異なります。
限定付適正意見との違い
限定付適正意見は、一部に問題があるものの、その影響が財務諸表全体には及ばないと判断した場合の意見です。問題のある箇所を除けば適正だという結論なので、財務諸表は投資判断に使えます。意見不表明は財務諸表全体について判断ができない状態で、投資判断の前提となる数字そのものが信頼できるか分からないという点で、重さが大きく異なります。
関連用語
無限定適正でも将来の業績を保証したものではなく、確かめられたのは過去の数字の作り方にすぎない。むしろ読む価値があるのは監査上の主要な検討事項で、監査人がどこを難所と見たかがそのまま会計リスクの地図になる。
財務諸表の一部に問題があっても、全体としてはおおむね適正と監査人が判断したときの意見。監査報告書に除外した項目と理由が書かれるため、その項目が業績の判断にどう響くかを読むことが出発点になる。
会計士が財務諸表の適正性について述べた意見。無限定適正・限定付適正・不適正・意見不表明の4種類があり、意見が変わったときは事業の異変を示す合図です。
注記が付いたことと倒産が決まったことは別で、解消計画が機能して注記が外れる企業もある。見るべきは注記の有無そのものではなく、本文に書かれた資金繰りの手当てが実際に進んでいるかどうか。
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