「保守主義の原則」とは
保守主義の原則は、会社の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合に、それに備えて慎重な会計処理をするよう求める会計の原則です。企業会計原則の7つの一般原則の一つです。
📌 投資判断のポイント
将来の不利な影響に備え、損失は早めに、利益は確実になってから計上するよう求める慎重さの原則。ただし利益を過小に見せるほどの行き過ぎは認められない。
保守主義の原則はどういう仕組み?
企業会計原則は、予想される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行うことを求めています。代表的なのが、損失や費用は見込みの段階で早めに計上し、利益は確実になってから計上するという考え方です。貸倒れに備える引当金や、価値が下がった資産の評価損を計上するのも、この考え方につながっています。会社の外にいる投資家や債権者が、実態より楽観的な数字を見せられて判断を誤らないようにするための原則ともいえます。
保守主義の原則の具体例と注意点は?
例えば売掛金が1億円あり、過去の実績から2%程度は回収できないと見込まれるなら、まだ取引先が倒産していなくても200万円の貸倒引当金を積み、費用として計上します。反対に、取引先との交渉で値上げがほぼ決まっていても、契約が成立して売上が確定するまでは利益に数えません。ただし、慎重さが行き過ぎて、利益をわざと小さく見せたり、費用を過大に計上したりすることは認められません。
保守主義の原則とよくある誤解
保守主義は、利益を小さく見せればよいという意味ではありません。企業会計原則も、過度に保守的な会計処理によって財政状態や経営成績の真実な報告をゆがめてはならないとしています。利益を必要以上に小さく見せておけば、翌年以降に引当金を取り崩して利益を大きく見せることもできてしまうからです。決算書を読むときは、引当金の大きな積み増しや評価損が出たときに、将来に備えた慎重な処理なのか、業績が実際に悪化しているのかを、注記や経営者の説明から読み分けることが大切です。
決算書のどこを見るか
保守主義の考え方が表れやすいのは、貸借対照表の引当金の欄と、損益計算書の特別損失の欄です。貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債などの残高が大きく動いた年は、注記で理由を確かめましょう。また、棚卸資産の評価損や固定資産の減損損失が出た年は、経営者による財政状態等の分析の欄で、会社がその原因と今後の見通しをどう説明しているかを読むと、慎重な処理なのか業績の悪化なのかを判断しやすくなります。翌年以降に引当金の戻し入れが出たときも、同じように理由を確かめましょう。
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