「資本取引・損益取引区分の原則」とは
資本取引・損益取引区分の原則は、株主がお金を出し入れする取引と、商売でもうけたり損をしたりする取引をはっきり分け、特に資本剰余金と利益剰余金を混ぜてはいけないとする会計の原則です。企業会計原則の7つの一般原則の一つです。
📌 投資判断のポイント
株主の元手の出し入れと、商売のもうけや損を分けて記録するよう求める原則。増資で集めたお金は利益ではなく、資本剰余金と利益剰余金も混ぜずに表示する。
資本取引・損益取引区分の原則はどういう仕組み?
資本取引とは、増資の払い込みのように、株主が会社に元手を出したり、元手を返してもらったりする取引です。損益取引とは、商品を売ったり経費を払ったりして、利益や損失が生まれる取引です。この2つを混ぜると、元手が増えただけなのに「もうかった」ように見えてしまいます。そこで貸借対照表の純資産の部では、株主が出した元手から生まれた資本剰余金と、商売のもうけを積み上げた利益剰余金を分けて表示します。
資本取引・損益取引区分の原則の具体例と注意点は?
例えば、会社が新しく株を発行して1億円を集めても、それは売上でも利益でもありません。損益計算書には載らず、資本金や資本剰余金が増えるだけです。もしこれを利益として扱えば、本業の実力より大きな利益が出ているように見え、配当や評価の判断を誤らせます。決算書を読むときは、純資産が増えた理由が利益の積み上げなのか、増資なのかを、株主資本等変動計算書で確かめると分かりやすくなります。
資本剰余金と利益剰余金の違い
資本剰余金は、株主が出した元手のうち、資本金に組み入れなかった部分などが中心です。利益剰余金は、会社が稼いだ利益から配当などを払った残りを積み上げたものです。どちらも純資産の一部ですが、意味がまったく違います。利益剰余金が年々増えている会社は、本業で稼いだお金を内部に積み上げてきたことを示します。一方、純資産の大部分が資本剰余金で利益剰余金がマイナスの会社は、株主から集めたお金で赤字を埋めてきた可能性があります。例えば、純資産が50億円でも、その内訳が資本剰余金70億円と利益剰余金マイナス20億円なら、稼ぐ力については慎重に見る必要があります。配当の財源にも関係します。会社法は、純資産のうち配当に回せる額(分配可能額)を細かく定めており、元手と稼いだ利益を区別して記録していることが、その計算の前提になります。資本剰余金を取り崩して配当すると、株主に元手の一部を返したことになる点にも注意しましょう。純資産の内訳は、毎年確かめておきたいところです。
関連用語
日本の会計の基本的な考え方をまとめたルールで1949年に公表。真実性・継続性・保守主義など7つの一般原則を含み、今も会計基準の土台にある。
株主の払込額のうち資本金に組み入れなかった部分などを積み立てた純資産の項目。これを原資にした配当は税務上「資本の払戻し」として扱われる
利益のうち配当せず社内に積み立てた累計額で、内部留保の中心。財務の安定を支えるが、会計上の累計であり同額の現金があるわけではない。着実な積み上げは収益力の証拠。ただし還元も投資もしなければ資本効率が低いと見られ、ROEと併せて評価したい。
純資産が1年でどう動いたかを原因別に示す財務諸表。利益剰余金の減少は赤字とは限らず、配当や自己株式取得といった株主還元の結果であることもあります。
特定の相手に新株を引き受けてもらう増資で、機動的に資金や提携を得られる反面、既存株主の持分とEPSが希薄化する。増資を一律に悪材料と見るのではなく、引受先・発行価格・資金使途まで確認して評価したい。
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