貸倒損失

リスク管理
よみ:かしだおれそんしつ
監修:所得向上委員会 編集部(編集責任者:加藤 寛) 編集方針
🗂 投資戦略・リスクを管理する ★★ 標準

「貸倒損失」とは

取引先の倒産などで、売掛金や貸付金を回収できなくなったときに計上する損失。

📌 投資判断のポイント

売った代金や貸したお金が戻らなくなったときの損失。引当金で事前に備える仕組みがあるため、売掛金の増え方と引当金の残高の釣り合いを見ると、回収リスクの見方が分かる。

貸倒損失はどういう仕組み?

掛け売りや貸付をすると、相手から代金を受け取る権利(債権)が生まれる。しかし相手の会社が倒産したり、支払い能力がなくなったりすると、その債権は回収できなくなる。この回収できない額を費用として計上するのが貸倒損失である。会計では、回収できない可能性があらかじめ見込まれる段階で貸倒引当金を積んでおき、実際に回収できなくなったときに引当金を取り崩す。引当金で足りない分が貸倒損失として計上される。税務では、法的な手続きで債権が消えた場合や、相手の資産状況から全額回収できないことが明らかな場合など、損金にできる条件が定められており、会計上の判断とは別に確認が必要になる。

貸倒損失の具体例と注意点は?

売上の大きな取引先が1社倒れただけで、その期の利益が大きく減ることがある。決算書を読むときは、売上が特定の取引先に集中していないか、貸倒引当金の残高が売掛金の増え方に見合っているかを確かめたい。売掛金がふくらんでいるのに引当金がほとんど変わらない会社は、回収の見通しを甘く見ている可能性がある。取引を始める前に相手の信用状況を調べ、取引額の上限を決めておくことが基本の備えになる。

貸倒損失と貸倒引当金の違い

貸倒引当金は、将来回収できなくなりそうな額をあらかじめ見積もって費用にしておく備えである。貸倒損失は、実際に回収できないことが確定したときの損失である。引当金を十分に積んでいれば、取引先が倒産しても引当金の取り崩しで済み、その期の利益への影響は小さくなる。

決算書での読み方

例えば売掛金が10億円、貸倒引当金が1,000万円なら、回収できない見込みを1%と置いていることになる。この割合が同業他社より極端に低い場合や、売掛金が増えているのに割合が下がっている場合は、見積もりが甘い可能性がある。景気が悪くなる局面では、引当金の積み増しで利益が減ることもある。

個人事業主やフリーランスでも、仕事の代金を回収できなかった場合は、条件を満たせば貸倒損失として必要経費に入れられることがある。税務上の扱いは事情によって異なるため、具体的なケースは税務署や税理士に確かめたい。回収の見込みがあるうちに損失として扱うことは認められないので、督促の記録などを残しておくことも大切になる。

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