「移転価格税制」とは
親会社と海外子会社などの取引価格を、第三者どうしなら成立したはずの価格に引き直して所得を計算する制度です。
📌 投資判断のポイント
国外の関連会社との取引価格を、第三者どうしなら成立した価格に引き直して課税所得を計算する制度。利益を低税率国へ移す行為に対処する一方、相手国と課税が重なれば二重課税になるため相互協議で調整する
詳しい仕組み・意味
グループ内の取引価格は当事者が自由に決められるため、利益を税率の低い国の会社へ寄せることができてしまいます。移転価格税制は、国外関連者との取引が独立企業間価格と異なる価格で行われた場合に、独立企業間価格で行われたものとみなして課税所得を計算し直します。独立企業間価格の算定方法には、独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法のほか、取引単位営業利益法や利益分割法があり、取引の内容に応じて最も適切な方法を選びます。国外関連者とは、株式の50パーセント以上を直接または間接に保有する関係などで結ばれた外国法人を指します。対象になるのは製品の売買だけでなく、役務提供、貸付金の利率、知的財産の使用料も含まれます。
具体例・注意点
日本の親会社が海外子会社へ製品を原価割れで売れば、日本側の利益は圧縮され、子会社側に利益が残ります。この差額が是正の対象です。事前に税務当局と価格算定方法を合意しておく事前確認制度を使えば、後年の否認リスクを抑えられます。一方で、二国の当局が同じ利益を別々に課税すると二重課税が生じるため、租税条約に基づく相互協議で調整します。海外へ進出する局面では、契約書と価格の根拠資料をそろえておくことが実務上の要になります。一定規模以上の取引には文書化の義務があり、求められた期限までに提示できないと推定課税を受けることがあります。個人の投資家が直接関わる制度ではありませんが、グローバル企業の税負担率や一過性の追徴計上を読むうえでは前提知識になります。
関連用語
外国税額控除は海外配当の二重課税を調整する制度。米国株投資家の検索需要が高い。
外国企業がその国に持つ支店や工場などの拠点で、事業所得への課税権が生じるかどうかの分かれ目になる概念。支店・建設工事・代理人の三類型が基本で、準備的で補助的な活動だけの場所は除かれる
実体のない海外子会社にためた所得を日本の親会社の所得に合算して課税する制度。租税負担割合がペーパー・カンパニー等は27パーセント、それ以外は20パーセント以上なら適用が免除される
租税条約に沿わない課税や国際的な二重課税が生じたときに、二国の税務当局が話し合って解決する手続。日本では国税庁の相互協議室が窓口で、移転価格課税や恒久的施設の認定をめぐる争いが主な対象になる
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